大井町には90年以上続いてきた老舗の蕎麦店があります。その名は『楓庵(かえであん)』。気取らず大衆的な雰囲気で、価格も手頃です。家族連れの昼食から黒帯の呑兵衛さんたちの宴会まで、幅広い用途に対応。駅からは徒歩10分ほど離れていますが、訪れる価値は十分にあります。
目次
見晴通りで90年、地元に愛される大衆蕎麦店
外観

大森を起点に、JR東海道線と京急電鉄の間を並行するように北上し、大井町の仙台坂に至る桜新道・見晴通り商店街は、同様に南北へ伸びる旧道の東海道とはまた違った味がある商店街です。見晴通りの名の通り、東京湾方向(東)へ向かって急な傾斜がある際(きわ)を通る道で、江戸時代はきっと大森の浜を一望できる通りだったと思います。
歴史ある通りなので、長く続く個人店が多く、今回ご紹介する『楓庵』も、1931年(昭和6年)創業と歴史があります。
内観

老舗の蕎麦店というと、庭付き、白木の内装、お着物をきた女将さんがいるような料亭風の店を思うかもしれません。ですが、『楓庵』は、地元密着、毎日の食事を支えてきた大衆店で、値段はむしろ最近開業する蕎麦店よりも良心的。エプロン姿の元気なベテラン店員さんがチャキチャキと接客されています。

壁に書かれた定番の蕎麦・丼ものの品書き。ボトルキープの棚。入れ替わりやってくる子連れの家族や、近所の文具メーカー風の会社員、そして昼間から飲みに来る70代の黒帯呑兵衛さんたち。気取らないこの雰囲気がたまらなく好きです。
店は外観から予想する以上に奥へ広く、平日の昼食ピーク時間帯以外はゆっくり飲める雰囲気なのも嬉しいです。
品書き
お酒

- 大樽(樽生)ビール キリン一番搾り:グラス350円・ゴブレット450円・小ジョッキ550円・中ジョッキ650円
- 瓶ビール キリンラガー大瓶・キリンクラシックラガー大瓶:各750円
- 一番搾り<黒生>:小瓶550円
- 生レモンサワー:550円

- 日本酒 桃川 本醸造:650円
- 日本酒 稲田姫 純米吟醸:800円
- 日本酒 南部美人 純米吟醸:900円
- 日本酒 興譲 純米吟醸:900円
- 本格蕎麦焼酎 刈干:グラス550円 ボトル2,500円
- 本格麦焼酎 ピュアブルー:グラス550円 ボトル2,100円
一品料理

- 板わさ:400円
- ミニ親子煮:450円
- ミニかつ煮:450円
- 油揚げの煮物:450円
- もつ煮込み:600円
- 合鴨ねぎ:700円
- かつ煮:700円
- あじフライ
- かつおののっけ盛り
- まぐろとヒラメの酢味噌和え
- イカのバターしょうゆ焼き
蕎麦・丼


- たぬき丼:800円
- カツカレー丼:1,050円~
- カツ丼:900円~
- 天丼:1,100円~
- もり蕎麦:600円
- 合鴨せいろ:1,050円
- 玉子とじ:750円
- 肉なんばん:850円
- 天とじ:1,050円~
休日の昼、天丼とキリンビールを楽しむ小さな贅沢
キリンクラシックラガー大瓶(750円)

キリンクラシックラガーで乾杯!
土曜日、日曜日は昼食を兼ねて飲む人や、4~5人で来て宴会するお父さんたちの姿があります。駅から徒歩10分ほど歩く、住宅街にある商店街の蕎麦店という立地を考えると、これほど飲み客が多いのは不思議に思えます。
蕎麦前ニーズにあわせて増えたのか、お酒が充実しているから呑兵衛が集まるのか、お酒の品数は居酒屋並に充実しています。ボトルキープも可能。中休みはあるものの昼営業は15時までなので昼飲みに最適です。

お酒を頼むとちょっとした小鉢がでてきます。この日は枝豆。
上天丼(1,350円)

ミニサイズのカツ煮をつまみに、地酒でちびちび飲もうかな。などと悩んでいたら、先客が注文した天丼があまりに美味しそうで、香りと見た目に釣られて、こちらも天丼を。しかも、休日の昼飲みなので少し贅沢に上天丼を注文しました。

上天丼にすると、自慢の海老が1本増えるのだと店員さん。海老正という専門業者から仕入れたという大きくぷりっとした海老は満足感あり。
そのほか、キスやナス、ししとうなど、王道の具材が入ります。

東京育ちの筆者としては、天丼はやはりこのくらいの濃い色合いが好みです。蕎麦店らしい厚みのある衣は、つゆをしっかりと吸っています。

それでいてパリッとした食感は損なわれず、ザクザクとした食べ応えがあります。口を火傷しそうになった時には、ビアタンからビールを一口。夢中になって食べていることに気づきました。
ごちそうさま

大井町で用事があるときは、立ち寄られてみてはいかがでしょう。個人店ながら、土日も通常営業しているため、休日に昼飲みにぴったりです。アットホームな雰囲気の中で、のんびりとした時間を過ごしながら蕎麦店飲み・蕎麦前を楽しんでみてはいかがでしょうか。
今度は今日のオススメメニューにあった、イカバター醤油焼きが食べたい!
近くの酒場
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | 楓庵 |
住所 | 東京都品川区東大井3-3-14 |
営業時間 | 営業時間 11:00~15:00(第3水曜日は、14:30まで) 16:30~20:30 日曜営業 定休日 木曜 |
開業時期 | 1931年 |