中延『忠弥』もつ焼きとカクテルの不思議な関係。3時間だけ営業

中延『忠弥』もつ焼きとカクテルの不思議な関係。3時間だけ営業

2021年4月9日

中延駅すぐ、老舗やきとり(もつ焼き)の「忠弥」。平日の17時から20時まで3時間のみの営業をする酒場で、連日常連さんで賑わう一軒です。名物は驚くほどクセのない濃厚塩煮込みともつ焼き、そして謎の「カクテル」です。

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銭湯のような店、軽い緊張感が心地いい

忠弥と聞いて、「祐天寺にもありますね」と答える方は、きっと相当なもつ焼き通でしょう。両店は姉妹店のような関係と聞きます。

お店オリジナルのカクテルや煮込みなどに両者のメニューに類似点がありますが、最大の共通事項といえば、ともに「なかなか入れない人気店」ということ。

営業は17時から20時まで。食材が売り切れたら早じまいもあります。口開けを狙って訪ねればきっと大丈夫です。

外観

ベッドタウンの品川区・中延。お店の周辺も民家が多く、飾り気のない店構えもあって一種独特な銭湯のような雰囲気すら感じられます。

コの字カウンター、パリッとした雰囲気が心地良い

暖簾をくぐると、きっと予想以上の大きい空間に驚くでしょう。

蛍光灯に照らされた空間、厨房はすのこ敷き。幅1mはある巨大な熱線式焼鳥台にはずらりと串が並び、ねじり鉢巻に鉛筆を差した大将が忙しく焼き具合を調整しています。煮込み鍋が2台、名物の煮込みが入り、これが売り切れると店じまいです。

それを囲むように長いコの字カウンターが奥へと続きます。カウンターのみで、さらにファンの多いお店ですから、グループ利用は2名くらいまでが良いかと思います。

大将が司令塔で、それを支える女将さんらが注文を受けたり飲み物を用意されています。パリっとしたまさに職人というタイプ。軽い緊張感も心地よさのひとつです。長く続く店ですが手入れが行き届き、厨房機器のステンレスは鏡のように蛍光灯を反射させています。

着席後、しばらくすると注文を聞きにきてくれますので、最初はやはりビールから。老舗もつ焼き店にはキリンラガー(大びん720円)がよく似合います。それでは乾杯!

注文は紙に書く、煮込みをお忘れなく

お通しはキャベツの浅漬け。煮込みのスープ、焼鳥のタレと和えて食べるなど、食べ方は人それぞれ。

注文はカウンターに置かれた紙に鉛筆で書いて手渡します。串は塩かタレの表記も一緒に。

煮込み(550円)

お通しのキャベツと一緒に、すぐにでる煮込み。部位のバリエーションが多く、様々な食感を楽しめます。特筆すべきことは、この煮込みがまったくクサミやエグさがなく、旨味のかたまりであるということ。煮込みを普段それほど好んで食べないという人も、忠弥の煮込みはぜひお試しを。

脂はある程度浮いていますが、非常に澄んだスープ。根菜などでアクを抜くこともなく、大変手間をかけてつくっていることがうかがえます。

特製カクテル420円

あわせるお酒は、ぜひ特製カクテルを。都度大きな氷を砕いて使用しています。独特な色と風味です。ベースのアルコール飲料にウィルキンソンジンジャエールなどを加えるオリジナルのもの。一口目はアルコール感があるものの、二杯目からはすいすいと飲めてしまいます。

瓶ビールでキリンと並び置いてある「ヱビス プレミアム ブラック」の小瓶を一緒に頼む人もいます。あわせて飲むと山手風シャンディガフの出来上がり。

焼き物は大ぶりです

なんこつ

串の入荷は日によって異なり、焼台後ろに本日の入荷品と描かれた札掛があり、そこを確認して注文します。

ほっぺ、はつ、ハラミは串2~3本分はある大串で、価格は500円前後。串の献立に「タタキ」(190円)とありますが、こちらのタタキは一般的に言うつくねのこと。通常の串は180円程度です。

タン、ぺてん(頭肉)、はつ、レバー、なんこつ、すじ、はつ下、チレ、あぶら、ヒモ、がつ、てっぽうなど。味はタレ、塩が選べます。

大串のほっぺはインパクト大!柔らかいヒモスタミナも絶品

ほっぺ大串(上)は食べやすく2本で登場、味付けはタレ。ヒモ(下)は一般的にはシロと呼ばれる部位。

焼き具合が絶妙で、しっかり火が通っているのに柔らかくジューシーです。このサイズを1本で出してくれることもあり、それはもうバーベキュー串ステーキそのものです。

ヒモはくせになります。脳裏に残る味で、これを食べにまた暖簾がくぐりたくなります。

ヒモに限りませんが下ごしらえが大変丁寧にされているように思います。ヒモもよく脂が落とされていて、やわらかくフニフニとした食感。一般的なシロの中でも比較的あっさりとしています。これにニラがたっぷり入ったスタミナタレが非常によく合います。

七味もよいですが、練り辛子を気持ち多めに塗って、ハフハフと頬張るのも幸せです。

他の地域のもつ焼きとは一味違う、独特な忠弥の味を一度味わってみませんか。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名忠弥
住所東京都品川区東中延2-10-9
営業時間営業時間
16:15~18:40
定休日
土曜日、日曜日、祝日