桜木町『石松』午前開店。名物は鮪と鰯!45年続く家族経営の立ち飲み

桜木町『石松』午前開店。名物は鮪と鰯!45年続く家族経営の立ち飲み

2022年2月21日

桜木町駅直結。野毛の入り口にあるぴおシティの地階で45年続く老舗立ち飲み『石松』をご紹介します。横浜の中央卸売市場で仕入れる新鮮な魚介類が看板料理。魚種が豊富で目移りしますが、イチオシは上まぐろブツ。家族経営のあったかい接客も人気の理由です。

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施設竣工時から営業を続ける数少ない一軒

JR桜木町駅と野毛エリアに挟まれた場所に立つレトロなビル「ぴおシティ」。桜木町駅前の再開発と横浜市営地下鉄の乗り入れ施設として1968年に竣工しました。オフィスや場外馬券場のほか、アパレル、酒販店、青果店、そして居酒屋などがはいる複合施設です。かつて桜木町ゴールデンセンターと呼ばれていました。

地下2階はお昼から営業する立ち飲み店が多く、庶民的な酒場を目指す老若男女で賑わっています。ちょっとした屋内型横丁の雰囲気です。

レトロな雰囲気が若い世代にも人気ですが、竣工時から続く店はそれほど多くはありません。施設内南端にあり、日中から賑やかな石松は、1968年に創業した数少ない一軒です。

由来

果物店として1968年にオープン。地下鉄が開通した翌年の1977年からは立ち飲みに業態を変え、以来45年になります。店名は「遠州森の石松」の講談の雰囲気のようなにぎやかな店になってほしいと『石松』と名付けたそうです。店のシンボルである大提灯には髷(まげ)頭に眼帯という石松をデフォルメしたアイコンが描かれています。

店構え

間口は10m以上ある石松ですが、奥行きはわずかしかありません。地階とはいえ、目の前は幅の広い地下道ということもあり開放感すら感じます。空気が流れているので冬はちょっぴり寒いですが、それも含めて地階立ち飲みの醍醐味でしょう。「なんだか大阪の地下街みたいね」と言う人もいます。

どこから入っても大丈夫。女将さんに「ここでいいですか?」と伺って、ではお酒と料理をお願いしましょうか。

乾杯はアサヒスーパードライの大瓶で

ここで!と決めたら、すぐに一杯目のオーダーを聞いてくれます。忙しいお店ですし、おまたせしないようにささっと注文。立ち飲みはやはり瓶ビールが似合うのでは?

アサヒスーパードライ大瓶(550円)で乾杯!

品書き

お酒

樽生ビールアサヒスーパードライ)大:700円、中:500円、小:380円。アサヒスーパードライ大瓶:550円。

清酒は宝酒造の佳撰松竹梅「豪快」。コップ:290円、大徳利:530円。

酎ハイ:350円、ウーロンハイ:350円、レモンサワー:350円、ホッピー(白・黒):350円。ブラックニッカハイボール:400円など。

定番料理

上まぐろ大とろ:580円、上まぐろ中とろ:500円、上まぐろブツ:400円、しめさば:400円、こはだ酢:380円、いか刺身:450円、いか納豆:400円、アジフライ:350円など。

魚介料理がほとんどですが、実はハムカツ:380円も名物料理です。ボローニャソーセージのようなふっくらとしたハムを使っているのが特長で、分厚く食べごたえもあります。

これに加えて黒板メニューがあります。

黒板メニュー

いわし刺身:400円、あじ刺身:400円、生クジラ刺:580円、つぶ貝刺身:450円、寒ブリ刺身:450円、カンパチ刺:450円、サーモン刺:400円、さわら炙り刺:450円、生だこ刺:480円、やりいか刺身:450円、いわし酢:300円、新サンマ酢じめ:350円、酢だこ:450円、穴子蒲焼切り落とし:450円、ニシン昆布巻:350円、さけ塩焼き:350円、イカフライ:380円、カキフライ:480円、ホタルイカ沖漬け:350円など。内容は入荷次第でかわります。

四畳半ほどの小さな厨房によくこれだけ入っていると驚かされる品数の多さ。刺身も常時15品以上あり、活気のある店でなければ、なかなかこれだけの種類を用意できなさそうです。

気になる刺身とお酒を「飲みねえ、食いねえ」

上まぐろブツ(400円)

本場水産物部卸売場で長年仕入れる『石松』自慢の上まぐろ。中とろでも500円と大変良心的ですが、ここの赤身もかなり上物です。身が引き締まり、味が濃く非常に美味。これで400円!長年、人気の理由です。

松竹梅豪快 コップ(290円)

燗で味が引き締まる、松竹梅の豪快。コップが似合う、文字通り豪快なお酒です。

立ち飲みで「まぐろブツにコップ酒」、しめて690円。「ぱっときて、ぱっと帰る」なんていう一寸一杯も歓迎とのこと。

あん肝ポン酢(450円)

とはいえ、この価格にこの内容。軽く一杯なんてもったいない!短時間でもいろいろ頼みたくなるのが『石松』の魅力です。お燗酒とあうおつまみばかり。あん肝ポン酢を頼んでしまえば、お酒がもう一杯必要です。※お酒は適量で。

生くじら刺(580円)

野毛に老舗はクジラを定番メニューにする店が多く、どの店でも、この界隈は船乗りのお客さんが多くてクジラがよく食べられてきたと話します。石松でも同様に、くじらは黒板メニューながらほぼいつでもある人気メニューです。しっとりした食感と旨味が楽しめます。

いわし刺身(400円)

まぐろと並ぶ人気の一品、いわし刺身。その理由は、鮮度のよさでしょう。大羽鰯かと思うほど立派で脂ののりも抜群にいいです。

ほっき貝サラダ(380円)と緑茶ハイ(350円)

箸休めにほっき貝サラダを。これもまた魚介料理です。身が大きくコリコリとした食感とマヨネーズがあうのだから不思議。濃いめの緑茶ハイが進みます。

安いだけではない、人がいい、モノがいい

新しい飲食店が次々誕生し、ぴおシティは昨今の野毛ブームの中で賑わいを取り戻しつつあります。そんな中で、昔も今も変わらない『石松』。ちゃんとした美味しい魚と、立ち飲み価格のお酒たち。女性一人でも利用しやすいようにと、女将さんや大将の気遣いも嬉しいです。

地下鉄直結のビルの地階。せわしなく人が出入りしていますが、ここのカウンターはなぜだかとっても「ホーム」な気分になります。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名石松
住所神奈川県横浜市中区桜木町1-1 ぴおシティ B2F
営業時間12:00~21:30(土は10:00~21:00・日は10:00~20:00・祝は11:00~20:00・月定休)
開業年1968年創業、1977年から立ち飲み