銀座5丁目の三原橋横丁、かつて中華三原があった場所に突如、角打ち営業をする酒屋さんがオープンしました。店の名は『337Ale』。日本全国47都道府県から仕入れたクラフトビールを地域別に陳列しており、その場で飲むことも可能。鉄道好きの店長と旅の話をしながら乾杯!
銀座で最もディープな酒屋さん
銀座プレイスや三越、和光が囲む東京の商業地の中心、銀座4丁目交差点。こんな華やかな場所にも、裏へ入れば昭和の風景が奇跡的に残っています。三原橋横丁と呼ばれる一画で、かつて銀座を南北に流れていた三十間堀川にかかる晴海通りの橋「三原橋」が由来です。
小さな酒場などがびっしりと入る二階建て長屋風の建物で、かつて「中華三原」という銀座で働く人の胃袋を支えてきた有名な大衆中華がありましたが、2020年代に入り休業が続き、ついに看板をおろしてしまいました。
そんな中華三原の跡地を訪ねてみたら、なにやら立ち飲みのような店になっているではありませんか。店名は『337Ale』。お昼からビール好きの外国人がご機嫌になっていました。
『337Ale』は、正確には立ち飲みではなく角打ちができる酒販店なんです。品揃えは国産クラフトビールのみで、47都道府県別にすべての地域のビールが数銘柄ずつ入っています。クラフトビールということもあり価格は700円ほどから。
お店のコンセプトは旅とビール。一般的な酒販店のようなビールのタイプ別陳列ではなく、都道府県別になっているのがおもしろいです。
鉄道カメラマン兼角打ちの店長
店内には店長の山田さんが撮影した47都道府県の写真がびっしり。それぞれの地域の名勝なのかと思いきや、ほとんどが鉄道写真ではありませんか。モニターに流れる鉄道が走る風景映像も山田の自作。
実は山田さん、鉄道関連の写真集も出すプロの鉄道カメラマンをされているそうで、店内でも販売されています。いまは北海道の廃止される駅を記録するため、JRのダイヤ改正前は店番の合間を縫って北海道の大地を駆け回っていると楽しそうに話してくれました。
飲食店ではない酒屋の「角打ち」ですから、料理はありません。気になる缶詰があればどうぞ、というスタイル。
その地に思いを馳せながら飲むビール
ずらっと並ぶビールは見ているだけで楽しいです。思い出の地の銘柄を選ぶか、行ってみたい土地から選ぶか。
私は和歌山県白浜のビール「ナギサビール」をチョイス。旅情も酒の肴、ご当地のビールを飲みながら山田さんとその土地の話をすれば、気分はすっかり和歌山県です。
取り扱う銘柄はときどき入れ替わっていくそうで、好きなものだけを集めたと山田さん。とくにおすすめのIPAは?と尋ねると、山口県岩国のアーチブルワリーがつくる「アーチIPA」を提案してくれました。
正統派IPAのしっかりとした味わい。ブランド名は錦帯橋のアーチから来ているのでしょうね。
ごちそうさま
全国のブルワリーに「三三七拍子でエールをおくりたい」という思いが店名の由来。
土日祝日は正午から、平日も14時から営業しており、銀座の隠れ家的昼飲みスポットです。ビール好き、鉄道好きの方はふらっと立ち寄られてみてはいかがでしょう。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | 337Ale(サンサンナナエール) |
住所 | 東京都中央区銀座5-9-5 三原橋横丁 |
営業時間 | 営業時間 月~金 14時~19時頃 土・日・祝 12時~19時頃 定休日 不定休 |
創業 | 2023年 |