市場が移転しても依然として賑わい続ける食の街・中央区築地。中央市場は移転しましたが、場外市場と呼ばれている近隣の小売店は変わらず営業していますし、飲食店向けなど小口の業務用取引ができる中央区主体の施設、築地魚河岸が小田原橋棟(おだわらばしとう)と海幸橋棟(かいこうばしとう)の2棟で営業中です。
お寿司や海鮮丼のイメージが強いこの界隈ですが、昔から続く魚の美味しいお店も実は充実しています。たとえば築地小学校横の「のみたや」も近隣で働く魚好きが通う一軒です。
営業時間はなんと2時まで。東京の台所として眠らず稼働する築地ならではの深夜営業です。創業から24年目を迎えました。
テーブル席だけの店内ですが、結構スーツや作業着姿のお一人様も多いです。メインは近隣の食品関係で働く会社員の”いつもの店”という使い方です。
かつて銀座に本社があったサッポロビール。その関係か、隣接する築地もサッポロ率が高く、のみたやも樽生が黒ラベルです。昔ながらのたっぷりはいるジョッキで、状態抜群の生で乾杯!
「のみたや」を紹介する利用は、ずばり鮪。脳天、中落ち、そして定番の赤身など、抜群に美味しい鮪を楽しませてくれます。もっちもち歯ごたえのある赤身にうっとりです。
市場関係者とのつながりから出せる、安くて美味しいもにこだわる「のみたや」。お刺身日替り 300円~630円とリーズナブルです。
ほぼ魚介類だけのメニュー。定番でも十分に築地・豊洲にはいる魚や野菜が楽しめます。
飲み物はウーロンハイやレモンサワーが420円。ビールは520円、ビンではサッポロヱビスが中びん560円です。深夜まで営業している中央区のお店というロケーションを考えると、とっても良心的です。
ビールで魚もよいのですが、せっかくですからお店おすすめのお酒、小倉山。水戸のお酒で明利酒類がつくる定番酒です。なんとこの樽酒をおいていて、樽から直接ではないものの風味が楽しい素敵な一杯が楽しめます。
築地でやっているお店はなにも場内だけが特別ではありません。この文化の中で長く続いているお店は、なにかしら市場と関係を持ち、そしてよい食材をだしているものです。のみたやはまさににそんな一軒。
まぐろのメンチ(500円)も、築地ならではの一品。脂の多い部位もミックスされているようで、普段食べている豚メンチにも負けないジューシーさです。ほかにも鮪の料理は豊富で、まぐろのあご焼きなども人気です。
ビール、日本酒のローテーションが続くと酔っ払ってしまうので、休憩に緑色過ぎると言われている酒場の玉露ハイ。しっかり焼酎濃いめ、氷はすくなく、1ハイ420円であっても十二分に酔いが進むものです。
よく酒場の黒板メニューは季節物なんていいますが、ここの黒板は市場モノ。旬とは別に、市場に入ったし良くて安いものを集めています。タコ串なんて、ちびちび飲むのに最高です。
近くの席で飲んでいらっしゃるのは、海産物関連の皆さん。とっても楽しそうに宴会中です。地元の方が使うお店に行きたい、そんな思いで築地を訪れるならば、まさにこんなお店がぴったりでしょう。
派手じゃない、ガイドブックにも載っていない。でも市場近くだからこそできる質よく安くの魚が楽しめる素敵な一軒です。それは界隈で働く舌のこえた人々が集まることからもわかります。
ぶらり築地でどこか飲めないかと探される方、ここはおすすめです。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
のみたや
03-3542-7288
東京都中央区築地2丁目14-5
17:00~26:00(土日祝定休)
予算3,000円