八丁堀「新富おきらく」 家族経営の良いお店。コの字でちょうどいい肴に舌鼓

八丁堀「新富おきらく」 家族経営の良いお店。コの字でちょうどいい肴に舌鼓

JR八丁堀駅近く、2017年にオープンした飲み屋「新富おきらく」が素敵な空間なのでご紹介します。軽井沢駅前で飲食店を経営していたご家族が東京に転居し、そして開いたお店です。

この界隈を散策している人でなければ、あまり気づかないような一本入った路地にあり、都心の喧騒から離れた落ち着いた雰囲気が魅力です。銀座や京橋(東京都)からもさほど離れていないのですが、入船の街は静か。界隈にはこうした大人の飲み屋がぽつぽつと点在していてます。

 

レトロに作り込まれたようなお店ではなく、丁度いい感じの飲み屋のシンプルな作り。オープンキッチンの厨房を囲むコの字カウンターとちょっとしたテーブル席だけの空間です。

まずは、赤星の中瓶をもらって、トトトとビヤタンを満たしそのままクイっと一口。あ、忘れてた。乾杯!

 

ビールは樽生がサントリープレミアムモルツ。瓶ビールでは赤星ことサッポロラガーを用意。ともに550円。

入船は新川と並び酒の街。近くに酒造会社の東京支店も多く、白鹿の辰馬本家もこの近く。ということで、お酒は白鹿が筆頭です。

 

ホッピーセットは450円。ナカは甲類焼酎の大定番、宝焼酎。個性的な酎ハイが揃います。

 

料理はやはり市場が近いこともあって魚に力が入っています。日替わりの料理は、この日は刺身がまぐろ、焼きものにアジ、銀鱈、のどぐろが並びます。

壁にはられた短冊が定番の料理。タコぶつ(580円)、ポテトサラダ(450円)、ハムカツ(400円)、アジフライ(500円)、まぐろメンチ(600円)、牛すじ煮込み(650円)、豆腐揚げ(400円)、ナス味噌炒め(550円)、自家製塩辛(490円)など。特製のお稲荷さん(70円)が〆ものとしてあって、これが気になるところ。

 

まずは、ポテトサラダでゆっくり始めましょうか。トロトロ系で玉子がはいった濃厚タイプ。添えられた千切りキャベツと和えて食べるのも美味しいです。

 

途中でソースをかけて、東京風の食べ方に。家で食べるときはポテトサラダのカロリーが気になるものですが、飲み屋さんだとこのねっとりしたハイカロリーな感じが嬉しいのです。

 

チャンジャでちびちび、瓶ビールをもう一本。お腹を満たすものと、酒の肴でたまらないもの、両方バランス良く揃っているのが嬉しいです。クサヤもありますよ。

 

クラッシュドアイスがたっぷり入ったレモン酎。麦ベース、生レモン、はちみつレモンとバリエーションがあります。麦レモン酎は他であまり飲めない味なのでぜひお試しあれ。甘酸っぱく爽やか、飲みごたえも十分にあります。

 

このカウンターの眺めがとてもよく、軽く小一時間のつもりが気づけばすっかり長居させてくれます。

 

のどぐろは高級で一人飲みでは予算オーバーなのでアジを。アジの塩焼きって普通過ぎる印象がありますが、「おきらく」で食べたこれは断然違います。まるくパンパンに肥えていて脂をたっぷり蓄えた、かなり立派なもの。

 

美味しい焼き魚を食べれば、次第に日本酒へ切り替えたくなるものです。大将のこだわり、酒の燗つけは銅のチロリを使い湯煎します。

 

こぶのおつまみをおすそ分けいただき、ちびちび楽しむ灘の銘酒・白鹿。男酒のきりっとした味に背筋が気持ちぴんとなります。

大将、女将さん、そして若き二代目の3人で切り盛りするあったかな空間。最近、こんな個人店の酒場は減りつつあります。そんな中の素敵な新店。お近くの皆さんも、通勤経路の皆さんも、ぜひ一度ふらりと寄ってみてください。正統派の飲み屋ですから、老舗酒場好きの方もきっと気に入っていただけるはず。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

新富 おきらく
03-6222-8366
東京都中央区新富1-19-7 中央Kビル1F
16:30~23:30(不定休)
予算2,500円