マカオ「ドラゴンポルトガルレストラン(福龍葡國餐)」 旧ポルトガル領ならではの味。手頃で上質なワインとともに

マカオ「ドラゴンポルトガルレストラン(福龍葡國餐)」 旧ポルトガル領ならではの味。手頃で上質なワインとともに

2019年5月6日

1999年、マカオがポルトガルから中国に返還され、今年で20年を迎えます。現在のマカオは中国の特別行政区で中国の色が強いものの、マカオは独自の自治権が認められていて、現在も公用語にポルトガル語が残るなど、西洋の雰囲気漂う不思議な街です。

決して大きいとは言えない半島といくつかの島に60万人もの人々が暮らしていることや、高級ホテルやカジノの存在もまた、この街を独特な魅惑に染めています。

その風土は食文化にも色濃く反映されています。大航海時代にヨーロッパから伝わった西洋料理とチャイニーズのミックスが独自のマカオ料理を育てました。2017年にはユネスコの食文化創造都市にも登録されています。

そんなマカオの味を求めて、地元の人々が通う大衆的なレストラン「ドラゴンポルトガルレストラン(福龍葡國餐)」を訪ねました。

 

マカオへは国内キャリアの直行便はありませんが、マカオ航空(AIR MACAU)が成田空港に就航していて、マカオ・成田は4時間30分です。また、お隣の香港からも高速フェリーや連絡橋経由の高速バスも運行していて、どちらかと言えば香港とセットで訪れるのが一般的と言えます。

筆者もゆきは香港・九龍から船で向かい、帰りはバスで香港に戻るという日帰りでマカオを訪ねました。

 

世界有数の観光都市でもあり、活気あふれる街の中心街。中国系の百貨店が多く、ガラス張りのビルにハイブランドのショップが立ち並びます。

 

キラキラとしたエリアから一歩入ると、昔ながらの建物が残る広場や路地も多く残されていて、異文化混合の魅力を感じることが出来ます。

 

ここはマカオの大堂区にある「セナド広場(議事亭前地)」。ユネスコ世界遺産に登録されています。パステルカラーの石造りの建物に囲まれ、一瞬どこに来ているのかわからなく感じます。いつか、リスボンにポートワインを飲みにいってみたいものです。

 

細い路地もまた、どことなくヨーロッパの雰囲気です。建物の多くがクリーム色に塗られているからでしょうか、スペインの港町に少し似ていると思いませんか。

さて、目的のお店はメインストリートから離れた、こんな路地にある一軒です。夕方6時のオープンに合わせて向かいましょう。

 

中国語で福龍葡國餐、ポルトガル語でDragon Portuguese Cuisine、ここではドラゴンポルトガルレストランと呼ぶことにします。

中国料理店のようで、西洋の食堂のようでもある。この印象は食事をしている間も終始感じることになります。

 

取材ということで開店にあわせて訪ねました。それから、あれよあれよとお客さんがやってきて1時間もしないうちに満席に。お客さんは地元の人が半分ほど、あとは欧米や中国からの観光客といったところでしょうか。何度も通われているような常連さんの姿も見受けられます。

ビールと頼んでデフォルトででてくるのは、ポルトガルの大定番・サグレス(Sagres)。メインランドの青島ビールや香港のブルーガール(藍妹啤酒 / Blue Girl)ではないのがとっても素敵。

では乾杯!

 

この他、同じくポルトガルのスーパーボックの黒ビールや、コロナ、ハイネケン、カールスバーグが揃っています。値段は香港ドルで$25(以下香港ドル)、日本円で掲載日時点で350円ほど。とってもリーズナブルなのです。

 

スパークリングワインや赤・白ワインも豊富に揃っています。白酒って中国語で表記されると中国のはいアルコールな蒸留酒・白酒(パイチュウ)にみえて仕方がありません(笑)

ボトルワインもお手頃なので、一人でも一本頼んでしまって良いかも。

 

わかりやすい写真付きのメニューもあるそうなので、そちらを見せてもらうことにしました。アフリカンチキンや衣をつけて揚げた魚介類のフライなど、いままで経験することがなかったようなバラエティに飛んだ内容です。葡式焼豚は、やっぱりチャイニーズっぽい。

アペタイザー(頭盆)は$60ほど、やはり海の料理が充実しています。

 

ポルトガル料理の代表的な料理、ポルトガル風あさりの酒蒸。味の決め手はにんにくとパクチー。オリーブオイルと白ワインに浸った蛤サイズのあさりを、もりもりと頂きます。結構大雑把な食堂や家庭で食べるような料理と聞きますが、これがお酒に合わないはずがありません。

 

あわせるワインは、Cova da ursa 2014をチョイス。とくにソムリエが選んでくれるようなことはない普通の食堂ですので、”なんとなく”で選んでみました。ポルトガル第4の都市セトゥバルの近郊でつくられたワインで、ぶどうはシャルドネ。しっかりとしたオークの香りがあり、しっかり濃い黄金色をしています。持続する酸味が印象的で、味の濃い料理と並べるのにちょうど良さそう。

 

蟹の身のグラタンは、香港でも見ることがあるこの界隈の人気料理のようです。ワタリガニの甲らに蟹の身をたっぷりつめて、ポルトガル産のチーズをたっぷり載せたもの。

 

ややオリーブオイルが多めながら、チーズとカニの組み合わせがワインに合わないはずがありません。

 

グラタンやドリア、ほかにもチーズ料理が充実。これでもかとチーズをかけたクロックムッシュがポルトガルのカフェの名物ですが、マカオも負けていません。おつまみになるちょっとした食事を…と相談して頼んだ煮込み肉のロングパスタ添え。まさかこんな大きなグラタン皿で、お肉もスパゲティもてんこ盛りで来るなんて。海外の料理はボリュームが想像つきにくくて大変です(笑)

 

中華風ウーシャンフェン味なのがおもしろく、味はなかなか。確かに赤ワインも進みそうです。

さて、グラスの赤ワインも飲んで、ほんのりいい気分。もう一軒、どこか路地のスタンドでワインを飲んでいきたいな。言葉の壁はあっても、親切に応対してくれる女将さんやスタッフの皆さんのおかげで、すっかりホームタウンにいる気分になりました。

お腹を擦りながら、ごちそうさま。

皆さまも、異文化MIXのマカオ、訪ねてみませんか。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

Dragon Portuguese Cuisine
福龍葡國餐
+853 2831 3104
5GVQ+P3 風順堂区, マカオ
18:00~23:00(不定休・ランチ営業あり)
予算HK$240