佐敦(香港)「Tong Tai Restaurant (堂泰海鮮菜館)」 藍妹片手に、蝦蛄揚げを頬張る夜

佐敦(香港)「Tong Tai Restaurant (堂泰海鮮菜館)」 藍妹片手に、蝦蛄揚げを頬張る夜

東京・羽田空港から約4時間40分の空の旅。貿易・金融で大きな影響力を持つ国際都市、香港にやってきました。超高層ビルが立ち並ぶなかを昔ながらの2階建て路面電車が走り、沿岸部の僅かな平地には東京以上の密度で人々が暮らしています。

かつてイギリスの植民地だった名残は建築物などに残るほか、食文化もメインランドチャイナとは異なるテイストを見つけることができます。道路が左側通行で、歩行者信号が「ぴっこんぴっこん」と鳴っているのもイギリスと同じ。

さてさて、そんな香港で土地の味を楽しみに、九龍側にある廟街(男人街)へやってきました。目的のお店は「堂泰海鮮菜館」。東京・上野のガード下のもつ焼き屋で偶然相席した、元商社マンのオススメに従ってみました。

 

九龍のビクトリアハーバーから香港島を眺める景色は、香港を代表する眺めのひとつ。

香港は地下鉄・路面電車・路線バスが非常に充実していて、主要な目的地はだいたい乗り物か徒歩ですぐにアクセスできる距離。ビクトリアハーバーから廟街(男人街)のナイトマーケットまでも地下鉄で一駅です。

 

日中とはがらっとイメージが変わる香港島の摩天楼。毎晩20時から13分間に渡って繰り広げられる「シンフォニー・オブ・ライツ」は、100万ドルの夜景の言葉にふさわしい眺め。音楽に合わせてレーザーが夜空を照らします。

 

夜景を楽しむ前に、まずは程よく酔って、ほどほどにお腹を満たしておきたい。花より団子的な思考なのはいつものことで、九龍を歩きます。

 

廟街(男人街)は女人街と並ぶ香港を代表するナイトマーケット。例えるならば、日本の中華街を10倍濃縮して規模をぐんと広げたようなもの。ふたつのマーケットはともに雑貨やバック、アクセサリ、怪しい土産などが並ぶ場所で主に観光客向け。ただそこにある飲食店は自元に人気の食堂などもあり、飲食に関してはよりローカル色が強い雰囲気です。一人で歩いても大きな危険は感じませんが、人が多いので貴重品にご用心。

 

廟街(男人街)のほぼ中央にある「堂泰海鮮菜館」に到着。原色を使った派手なFRPの椅子などがいかにも”らしい”でしょ。店先にはみ出していますが、時々慌ててしまっています。

若い家族連れからご隠居さん風ののんべえグループまで、老若男女が料理とお酒にかぶりつくパワフル食堂です。

 

身振り手振りで意思を伝え、テーブルへ。メニューは英語表記のほか主要な料理は写真付きなのでなんとなくわかります。

一皿はシェアして食べてちょうどいいほどのボリュームで日本円換算で1,000円程度。定番の豚やアヒルに加え、ガチョウ料理があるのもおもしろい。

 

店先に所狭しと置かれた桶や店内の水槽には、大量の車海老やワタリガニ、そして500mlのペットボトルサイズもある巨大な蝦蛄がいます。

 

堂泰”海鮮”菜館の店名の通り、メインは香港沿岸で水揚げされる魚介類をつかった料理です。ラビットフィッシュのフライなど気になる料理のほか、香港では定番だと聞く「豆豉蒸倉魚」などがあります。倉魚はマナガツオの一種で、独特なひし形の形状をした魚。興味深い料理の数々に、メニューだけでもだいぶ楽しめます。

 

さて、まずはお酒を頼んではじめましょうか。ビールの筆頭は海珠ビール。マカオや香港でよくみるビールで、商品名から見ると「はじめまして」なビールですが、実は生産は珠海にあるキリンビール現地法人、「あらあら、これはどうも」(笑)。

お馴染み青島ビールやブルーガール。漢字で書いているので一瞬なんだろうと思いますが、英語を見れば一目瞭然、オランダのハイネケン、デンマークのカールスバーグ、アイルランドのギネスと国際色豊か。

 

Chinese Jing Wineから先、中国酒の奥深い世界が広がっていますが、今回はおとなしくビールにしておきます。

 

藍妹啤酒(Blue Girl)は香港を代表する銘柄ですね。香港の企業ですが生産は韓国でおこなわれ、香港、マカオ、台湾で見かけたことがあります。

日本ではみかけない透明ビンと”藍妹”の清涼感あるデザインが素敵でしょ。では乾杯!

HAIZHUが大ビン(といっても633mlではありません)でHK$26(日本円で約360円)なのに対し、藍妹はHK$34(約470円)とプレミアムな存在です。味はかなり甘め。でもこの甘さがこのあと、役に立つことに…

 

じゃじゃーん。大好物の蝦蛄の登場です。大皿に山盛りになった、蝦蛄のガーリック揚げ(約1,500円)。

超巨大なな蝦蛄が当たり前に存在するからか、これでもスモールサイズ。日本で流通している蝦蛄をみたら、香港の人はなんと呼ぶのでしょう。

 

蝦蛄の大きさと量でだいぶ価格が変わってくるので注文の際は要相談。ひとりなのでこれくらいかな?というものですが、蝦蛄好きの欲求を満たすには十分なもの。ハサミを駆使して両側に刃をいれる食べ方は日本と同じですね。大きいのでツメの身もしっかり。

しっかり濃い味、甘いビールがちょうどよく味のバランスを整えてくれました。

 

もう一品、にんにくの芽とカシューナッツのイカ炒め。蝦蛄のインパクトがあまりに強いですが、スタンダードな炒めものも土地の味がして楽しいです。

 

基本、蒸し暑い夜市(ナイトマーケット)。よく冷えたビールと濃い味のつまみを食べながら、行き交う人の流れを眺めているだけで十分に楽しいものです。

蝦蛄欲求も満たしていい感じ。九龍のアクセスの良い場所にあるため料理は観光地値段ではありますが、香港最初の一軒に、香港の夜を満喫するにはぴったりの一軒だと思います。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材時期/2020年2月以前)

 

Tong Tai Sea Food Restaurant
堂泰海鮮菜館
+852 2384 5269
186 Temple St, Jordan, 香港
12:00~25:30(基本無休)
予算HK$210