上野から京成本線の特急で約70分。京成成田は近いようで、遠いようで、東京からの日帰り飲み歩きには丁度いい距離。
成田山新勝寺の門前町として栄えた歴史とともに、国際線の玄関口「成田空港」がある街として知られています。
成田の「食」といえば、古くから川魚料理、とくに鰻が名物とされ、新勝寺への参道には歴史ある鰻料理の店が並んでいます。同時に、近年は航空運賃の値下がりから国外旅行がより気軽なものになり、LCC(ローコストキャリア)を使ったバックパッカー旅行者が増加し、成田の町は日本到着後最初の宿泊地として賑わいを増しました。
英国風パブや外国人視点の”Japanese IZAKAYA”などの出店が相次ぎました。そんななか、まだ新しい中でも王道の大衆酒場路線を歩んだ店があります。それが今回ご紹介する「寅屋」です。
JR成田駅と京成成田駅が200mほどの距離で離れており、その挟まれた一画がにぎやかなエリア。JR船橋駅と京成船橋駅、JR新秋津駅と西武秋津駅のように、私鉄とJRの駅が微妙に離れた街は、挟まれた飲み屋街はにぎやかです。
寅屋本店はそんな駅に挟まれた飲み屋街、花崎町に構えるお店です。成田駅前は起伏の激しい地形で、寅屋も不思議な構造をしています。1軒目に開業した「虎屋本店」は、上り坂(区役所通り)の途中から半地下風の入り口へ下っていく場所にあります。
2号店となる、「寅屋京成店」は同じ建物に1階上になり、京成駅前に伸びる飲み屋路地に面した構造となっています。
半地下の本店は着席型で料理は一通り揃う大衆酒場。対して京成店は立ち飲みでもつ焼き専門店です。さらに、JRの成田駅前に「寅屋JR店」、飛んで大阪は天満駅前(北区錦町)に「寅屋天満」、そして2020年1月には千葉県船橋に「寅屋 本町店」を出店しています。
成田からはじまった人気の「寅屋」。今回ご紹介するのは京成店。店名の通り京成成田駅の改札機から早足で30秒。大きなコの字(変形口の字)の配置で、元気なお兄さんたちの接客が光ります。
成田は労働人口約3万8千人の航空・空港関係者をはじめ、臨空工業地帯など多くの勤務地が集まる一大産業地。成田の飲み屋に集まるお客さんも、多くが仕事帰りの一杯を楽しむ人々です。
立石など東京城東エリアの酒場で見覚えのある要素が散りばめられた品揃え。甲類はキンミヤ(酎ハイ類は330円~以下税込)、瓶ビールは赤星(大ビン660円)、樽生はサッポロ黒ラベル(530円)、天羽の梅(梅割り/ぶどう割り330円)や焼酎ハイボールだってあります。
炭酸水は葛飾区・新小岩の野中食品工業、ビールテイストは赤坂のホッピービバレッジ(ホッピー白黒セット430円※3冷あり)。
京成線沿いに色付き焼酎ハイボールはよく似合う。ということで、一杯目は天羽ハイボール(330円)。氷あり、炭酸は別で登場します。
ガボガボと音を立てる強炭酸のドリンクニッポン。では乾杯!
毎日(不定休)15時から開いている「寅屋京成店」。次々お客さんが来ては、ぐっと飲んで一寸一杯を引っ掛けていきます。酒場に集まるそんな幸せを眺めつつ、今日もボールが進みます。
本店は品数豊富ですが、京成店はシンプルなもつ焼き店メニュー。ハラミ、レバー、サガリ、カシラ、シロ、スジなどの串焼き(2本330円)と、煮込み、タンやガツ、コブクロなどの刺し系小皿、おしんこなど。金曜日限定でレバーボイルとハツボイルが加わります。小皿は330円均一。
狙ってやってきた金曜日。ハツボイルはごま油と塩味でいただきます。モチモチ食感で、噛むほど豚の脂の甘さがにじみます。
泡を控えめに注いだサッポロラガー。もつ料理に似合う1本です。あらためて乾杯。
一口目を大きくした食べごたえ重視のもつ焼き。大量の注文をこなしてピッチよく焼き上げた串は、この通り、表面がぱりっとした絶妙な焼き具合。焼きすぎず、ジューシーさが楽しめます。
こちらは寅屋JR店。どのお店も賑わっています。寅屋はいまや成田駅前の飲み屋街を語る上で外せない存在です。
成田空港第1ターミナルから電車でわずか10分。空港利用の前後にもおすすめです。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材時期/2020年2月以前)
寅屋 京成店
千葉県成田市花崎町816-4
15:00~23:00(不定休)
予算1,700円