津田沼「鳥福」 線路脇の赤ちょうちんで名古屋コーチンと越の誉

津田沼「鳥福」 線路脇の赤ちょうちんで名古屋コーチンと越の誉

2019年1月13日

JR総武線下り列車、津田沼駅に入る直前の海側に一瞬、素敵な提灯が見えました。一瞬のときめきから、なにかに誘われるように列車を降りて、気づいた時はお店の前でした。

昭和のまま時がとまったような建物に、柏酒の地酒「越の誉」の文字。赤い提灯が照らす老舗の焼鳥酒場「鳥福」です。

津田沼の繁華街は駅の北口に広がっていますが、こちらは線路沿いにぽつぽつと古い居酒屋やスナックが点在する落ち着いた場所。時折通過する列車の光が道を白く照らし、そしてすぐに元の薄暗い道にもどります。こういう場所をフラフラと飲み屋目指して歩くのが最高に楽しいです。

 

お店は大変な賑わい。長く近隣の人々に慕われてきたお店で、一階の厨房に向いたカウンターはスーツ姿のお父さんやご隠居さんでいっぱい。テーブル席でも若い夫婦や飲み友達風の人たちが串を片手に満面の笑みを浮かべています。ここはそんなお店。二階席では宴会が入っている模様。

 

店先の看板の通り、焼鳥の中でも「純系名古屋コーチン」にこだわっています。一般社団法人名古屋コーチン協会の認定店です。ご主人自らさばき、「せぎも」など他であまり見かけない部位が食べられます。

 

ビールは樽生がアサヒスーパードライ(500円)。瓶ではアサヒに加え、キリンとサッポロ(大びん650円)も用意。ここは樽やディスペンサーの管理がしっかりされているので美味しい生ビールが楽しめます。

 

昔ながらの一回り大きいジョッキがデンと出てきます。香ばしい煙はビールのおとも。頼んだ串が焼ける様子を肴にして、今日もビールが美味しい!

 

お通しから鳥料理というのが鳥福。せせりポン酢は、最初から「あー、やられたっ!」という感想。カワやムネも入り、これでしっかり焼鳥屋の美味しいつまみのひとつです。

 

ちょいと濃い目の味が、二杯目の生ビールを引っ張りました。改めて乾杯!

 

酎ハイ類は400円。日本酒は店先の文字の通り、越の誉で本醸造原酒が400円。淡麗純米など同銘柄で縦方向に揃っています。

 

焼鳥は1本280円。さすがブランド鶏といった価格設定ですが、値段は食べてみればよくわかります。多くの方が頼む鶏もつ煮込み(550円)や、食べごたえ十分のもも肉みそ焼きなど、一品料理も鶏ずくし。

 

大きく育ち赤く熟したトマト(300円)とお通しでいい気分。

 

カウンターならば焼台が目の前で、店員さんとのちょっとした会話や、隣に並ぶ常連さんとの酒場トークも楽しめます。一期一会でお酒が進みます。

 

まずはもも肉から。鶏の脂の甘さを引き立てるさらりとしたタレが味のポイント。絡みすぎていないので、鶏の旨味を印象深く引き立てています。

 

備長炭でじっくり焼き上げているので時間は多少かかるものの、ジューシーかつ歯ごたえも十分なもちもちとした食感に仕上がっています。

 

つくね(330円)は、鶏の様々な部位を集めてぎゅっと固めているので、食感は変化に満ちていて、美味しいところをまるっと独り占めした気分。噛むほどに肉汁が広がり、辛口の越の誉と抜群の相性です。

 

シメは鶏スーブ(200円)で、しみじみ美味しさを脳裏に刻んで、お店をあとにました。

焼鳥は千差万別。ときにはこんな贅沢もよいものです。賑やかな飲み屋ですが、若い店員さん接客が丁寧で、ほどよい距離感の応対が素敵です。1人でふらりと立ち寄っても、きっと帰りの暖簾をくぐるときは満足した気分になることでしょう。

線路脇の赤ちょうちん。覗いてみては?

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

鳥福
047-473-2486
千葉県船橋市前原西2-17-10
17:30~24:00(日定休※月が祝の場合は月曜日に休み変更)
予算3,000円