パリ「ル・イデ」 凱旋門近く、路地に構える町の食堂で気軽にワイン

パリ「ル・イデ」 凱旋門近く、路地に構える町の食堂で気軽にワイン

花の都・パリ。世界有数のグルメな街で、オシャレな人たちがシャンゼリゼ通りでお昼からシャンパンを飲んでいるイメージ。そう思っていたのは、パリに行く以前。いまは、大衆的な食堂でわいわいがやがや、適当な感じでワインとお肉を頬張れる、巨大なビストロタウンだと思っています。

今回は、パリ観光の中心、エトワール凱旋門からわずかしか離れていないにもかかわらず、庶民的で気を張らずに楽しめる路地裏のビストロ「ル・イデ」をご紹介します。

 

200万人都市、フランスの首都・パリ。日本からはANAなどの直行便でパリの空の玄関口・シャルル・ド・ゴール空港までおよそ12時間の旅になります。

また、ヨーロッパの中央に位置することから、周辺各国を結ぶ国際高速列車が多数集結しています。パリ起点でイギリス、スペイン、イタリアなどへ陸路の旅をするのもおもしろそうです。

 

今回はオランダ・アムステルダムからベルギーのブリュッセルを経由して走る高速列車「タリス」に乗ってやってきました。ここは国際列車のターミナル、様々な物語の舞台になったパリ北駅。

 

海外ドラマや洋画でおなじみの光景が手の届くところにあって、ぶらりと尋ねることができる。ヨーロッパの旅は味覚や嗅覚だけでなく、五感で酔わせてくれるように思えます。

 

パリ中心部は、予想以上にコンパクト。地下鉄や路線バスが網の目のように走っていて、10数分も乗れば主要な観光名所に着いてしまいます。

凱旋門の上に登ることができるのですが、予想どおり混んでいる…だったら、もう飲んじゃおう。シャンゼリゼ通りなどの有名な通りは別として、パリは街の中心街でも細い路地は地元の人々が通う庶民的な飲食店が多数あり、どこもかしこも美味しそうです。

 

マック=マオン通りから一本入った路地。ふらりと立ち寄った「ル・イデ」は、マダムが営む街の小さな食堂です。日本で例えるならば、浅草・雷門の近くにあるときわ食堂といったところでしょうか。観光地にありながら、地元に根づいた雰囲気が漂うお店です。

チャーミングなマダムに迎えられ、まずはシャンパンで乾杯!

 

イギリス、ドイツ、ベルギーとビール文化の国に囲まれたフランスですが、この国のスタンダードなアルコールはやはりワイン。ビールは一種類に対し、定番ワインは30種類ほど。ボトル単位ではなく、カラフェやグラスで飲めるものも豊富です。グラスワインは140mlで5€~。

 

差し込みメニューには、色分けをされたフランスの地図が。そしてなにやら数字が書いてあります。さすがワイン王国、ブルゴーニュ地方といったエリアの区分けでなく、地図からも選ぶことが可能です。番号は、別冊のメニューと照らし合わせることで品種や値段がわかるよう工夫されていました。

 

オードブル、スープ、ポワソン、…なんて難しく考えずに、食べたいものを食べてね!とマダム。メインディッシュも24€程度と、物価高騰のパリにおいてとても良心価格です。

 

コート・デュ・ローヌ地域のローヌワイン。ドメーヌ デ ルミジエール(Domaine des Remizieres)のCrozes Hermitage 2017を500mlのカラフェで。お値段24€。

 

家族経営のワイナリーでつくられたシラー。どっしりした味ながら、タンニンが溶け込み決めの細かな印象です。香りは主張の強いいちごといったところでしょうか。

 

なぜシラーにしたかといいますと、メイン(24€)にはどっしりとした肉料理にしたから。フランス料理の一般的なイメージを覆す、お皿にでーんと巨大な仔牛のチョップ バターソテーの登場です。

 

濃いめの赤をぐんぐん飲みながら、350gある巨大な仔牛のチョップを頬張る。欲望の塊みたいな食事です。ここの料理はどれも上品フレンチの真逆を行く、ビストロ料理ばかり。

 

たいへん分厚いにもかかわらず、焼き具合も絶妙で、とにかく味付けが最高によいです。見た目からイメージできる味そのものなので、日本人にも受け入れやすい味わいです。

 

他にも子羊の肩肉とシャンテレルマッシュルームや、チーズのリゾット鴨胸肉のピーマン添えなど、豚、鶏、牛、羊などよりどりみどり。フォアグラのテリーヌやロブスタークリームトリュフ添えといった前菜も12€均一と、これまたリーズナブル。数人で尋ねれば、いろんなお皿をシェアして、フランス食堂飲みにふけるのも良さそうです。

 

お腹いっぱい。ワインもお代わりしてかなりいい気分。外に出てみれば、すっかり日も暮れ、奥に見えるエッフェル塔も美しくライトアップされています。

ガイドブックに載っている定番のレストランも訪ねましたが、何度も通いたいと思えるのはやっぱりこういうビストロなんですよね。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

ル・イデ (Le Hide)
10 Rue du Général Lanrezac, 75017 Paris, フランス
+33 1 45 74 15 81
18:00~23;00(日定休)
予算€35