八丁堀「Stand Bar Maru」 スタンディングバルの先駆け的存在。実は江戸時代から続く酒屋。

八丁堀「Stand Bar Maru」 スタンディングバルの先駆け的存在。実は江戸時代から続く酒屋。

東京都中央区。新大橋通りと鍛冶橋通りが交差する八丁堀駅交差点にあるスタンドバー・マルをご存知でしょうか。

1階は酒販店併設の立ち飲みのバル、2階はワインレストラン、3階はカジュアルフレンチとフロアごとに雰囲気の違う店舗を構える人気店です。店頭には所狭しと輸入食品やワインなどが並び、仕事帰りのオフィスワーカーが買っていく姿が見られるほか、その雰囲気に誘われて1階のバルで帰りがけの一杯を楽しむ人も多いです。

スペインの「バル」テイストで統一された一階は、昨今のバルブームの火付け役とも言われています。そんな注目の「maru」ですが、実はもとを辿れば、1864年創業の老舗酒販店・宮田屋です。

先代が店先で常連さんにお酒を飲めるちょっとしたスペースをつくったのがキッカケで、今で言う「角打ち」の一軒だったそうです。息子さんである現在のオーナー(7代目)になって、今のような本格的なバルへと進化しました。

 

世界各地をめぐったオーナーが揃えるワインは非常に充実。立ち飲みを楽しむついでにボトルワインを1本買って帰るのも楽しみの一つです。

 

お酒売り場で販売されているボトルは+500円(日本酒の1升瓶は+1000円)で持ち込みも可能。スタンディングバルで話題になった今も、スタイルは角打ちを貫いています。

 

本日のグラスから、カヴァ ブリュット(500円・以下税別)をもらって、まずは乾杯。

酒販店の直営は品揃えだけでなく、その価格も魅力的なことも多いです。スタンドバー・マルはスペインバルをモチーフにしたお店なので、カヴァなどのワインはもちろん充実していますが、国産大手ビールから日本酒まで品数は驚くほど豊富。その魅力は欧米の東京レストランガイドでも高く評価されています。

月曜から木曜日は、口開け(16:30)から18時30分まではハッピーアワーでとってもお得。生ビール、ハイボール、グラスワインや日本酒が300円均一です。築地界隈の旦那衆が昔から一杯引っ掛けてきた「角打ち」は、現在でもスタンドバルに姿を変え、日本橋新川界隈の会社員たちの喉を潤しています。

 

お酒だけじゃない。料理のバラエティやその美味しさもスタンドバー・マルを紹介する上ではずせない魅力です。

トリッパのトマト煮(480円)、白レバーペースト(280円)、バルらしくプロシュート(650円)などのも用意するほか、煮玉子100円や串カツ(250円)など、角打ちのおつまみで見かける馴染みのおつまみが手頃な値段で揃っています。

 

こういう気軽さがマルのいいところ。白ワインにあわせるおつまみは、本日のおすすめ「石川産イワシの梅煮」(480円)。築地や豊洲に近い場所で長く商売をされているお店ならではの旬の魚介類が品書きに加わります。季節次第で真牡蠣(250円)なども入ります。

 

樽生ビールをいただきましょう。スタンダードな一番搾りではなく、ここの一番搾りは珍しいプレミアム。グラス1杯380円で提供しています。

樽生は一番搾りプレミアムと、キリンハートランド(480円)、そしてドラフトギネス(1パイント900円)の3種類。

 

グラスワイン(500円~)は常時10種類程度。そして、マルがチョイスしているワインは安旨のイイものばかり。

 

揚げたて、竜田揚げ風の唐揚げ(写真は小300円)は、おすすめのひとつ。サクサクジューシー、下味がコク深くフルボディのワインにあわせてもなかなか。

 

泡にシャムロック(三つ葉のクローバー)こそ書かれていないものの、ドラフトギネスが美味しく飲めるお店の一つ。マイルドな泡とじっくり美味しいビールを飲みつつ、一日の終わりをのんびり迎えます。

 

台湾風焼きそば(780円)もおすすめの一品。酒屋の角打ちと侮るなかれ、料理長渾身の一品で、麺や調味料にもこだわりを持ち、台湾”風”の「風」を感じさせないとても本格的な味が楽しめます。

八丁堀、入船、新川。この界隈は昔から江戸で消費する食品の集積地として栄えた場所です。その歴史の延長にあるスタンドバー・マルは、今もインポートの魅力的なお酒で溢れています。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ ※外出自粛要請以前に取材)

 

スタンドバー・マル(Stand Bar Maru)
03-3552-4477
東京都中央区八丁堀3-22-10
16:30~23:00(土日祝定休)
予算2,000円