仙台の老舗酒場といえば、文化横丁や国分町に集まるイメージがあるかもしれませんが、東口にも60年続く、重鎮集う店があります。家族を支えるために半世紀以上店に立ち続けてきた大女将の酒場『びっくり』です。
目次
大ベテランの女将は、常連さんみんなのお母さん的存在
区画整理が続き、いまやすっかりマンション、オフィス、ビジネスホテルが立ち並ぶようになった仙台駅東口。かつてはJR仙石線が路面電車のようにくねくねと走り、その周辺に小さな建物が密集していました。
そうした再開発の様子を見守り続けてきた酒場がいまも営業を続けています。それが『大衆酒場びっくり』です。
外観
数十メートル離れたところから現在の場所に移転されたそうですが、店の両側はまだ広い駐車場が広がっています。ポツンと佇む、新しい建物だけどどこか懐かしい佇まい。生ビール、もつ煮、キムチの看板が灯れば営業中の合図です。開店は17時前ということですが、店の前を通った際に、女将さんから「どうぞ」と迎えてくれたので、お言葉に甘えて暖簾をくぐります。
内観
大ベテランの女将さんは、店に立つことが長生きの秘訣だそう。美味しいものを食べさせてあげるからね、と準備をされています。お手伝いのお姉さんと二人で切り盛りされており、お客さんもほとんどが常連さん。ディープといえばディープですが、ピシッとした女将さんが仕切っているので、背筋伸ばして飲めばきっと馴染めます。
店内は、酒場とスナックをたして2で割ったような内装です。とくに椅子はスナックっぽい。現在カラオケマシンは動いていないようです。
品書き
お酒
- 樽生:330円
- 瓶ビール サッポロ黒ラベル中瓶:500円
- お酒二級:270円
- 宝焼酎20度:250円
- ウイスキーW:410円
- マッコリ:300円
料理
- おしんこ・キムチ・ワカメ・きんぴら・おろし・サツマアゲ・チヂミ・ナットウ:各280円
- チゲ・おかゆ・につけ:各380円
- 魚刺:430円
- テールスープ・トンソク・レバイタメ・もつ煮・たん焼・イカ焼・レバ焼・焼鳥・メンタイ:各490円
常連さんが足繁く通う理由がわかる
サッポロ北海道生搾り樽生(330円)
まずは樽生から。北海道生搾りが1杯330円。お酒全般が大変良心的なのです。それでは乾杯!
とうふ
料理は品書きにいろいろありますが、準備でき次第なので、基本的には女将さんのおまかせをいただくことになります。冷やっこはどう?ということで、もちろんいただきました。味付けは韓国風。青唐辛子を効かせた薬味が心地よい刺激です。
サッポロ黒ラベル中瓶(500円)
瓶ビールをもらって、女将さんとの会話が続きます。家族を育てるために店を続けてきたこと、料理は手間をかけるほど美味しくなるという話、大病を経ても酒場を続けていること。常連さんも会話に加わり一体感に包まれると「あぁ、これは通っちゃう」と思えてきます。
テール・牛すじ スープ(490円)
常連さんたちのイチオシ、百貨店で仕入れるという高級なテール肉をつかった店の名物料理「テールスープ」。仕入れ次第で牛すじになることもあるそうです。大蒜が効いているもののしつこさは皆無、ただただ旨味の塊です。
トロトロになるまで煮込まれており、ゼンマイの食感がほどよいアクセント。はっと汁やすいとん、韓国のトック的な小麦粉の団子が入っていて、トロトロのスープと一緒にチュルリといただきます。
二級酒(270円)
あわせるお酒は、1杯270円のお手頃価格なお酒を。常連の皆さんは20度の宝焼酎を一升瓶でキープされており、それを思い思いに割って飲んでいます。
ごちそうさま
飲んで食べて2,000円ほど。ほかでは味わえないムードに浸れてとても楽しい時間でした。旅先・出張先でこうして温かく迎えてくれる酒場があるのはとても素晴らしいことです。また来てね、と見送ってくださいました。ごちそうさま。
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(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | 大衆酒場 びっくり |
住所 | 宮城県仙台市宮城野区名掛丁119-3 |
営業時間 | 営業時間 16:00~22:00 定休日 土日祝 |
創業 | 1960年代 |