復興が進む気仙沼は、いまも様々な挑戦が続けられています。今回ご紹介する「塚本八百屋」は、震災前までは町の八百屋さんとして地元の人々に親しまれてきたお店。
震災・津波で甚大な被害を受けるものの、家業の八百屋を辞めさせたくないと、息子の塚本大輔さんが東京からUターンをし、飲食店兼八百屋の業態で復活させました。
新たに建設された南町紫神社商店街で2018年にオープン。飲食経験がないなかで試行錯誤の連続だったそう。2020年3月からは大輔さんのお母さん、良子ママが店を引き継ぎ、マスターをしていた大輔さんは卒業されました。
店頭や店内の一部は地元野菜を販売する八百屋で、店の中にコンパクトなコの字カウンターを配置しています。
今後は日本酒を中心とした品揃えになるそうてずが、お酒の酒類は豊富でなにより居心地がとてもいいです。
樽生ビール(500円)はキリン一番搾り。華やかな風味がある宮城県仙台工場で醸造したビールです。
2019年の取材のため、現在と品揃えが異なると思いますが、引き続きビールやワインにも力を入れていくそうです。
本格的な洋酒、ワインの品揃えは、気仙沼に決して多くはない洋業態として、外国人観光客や都市部からUターン・Iターンで気仙沼の復興に携わる人々に好評です。
グラスワイン(600円~)も複数用意されています。郷土料理のお店で飲んだあとはこういうお店で少し落ち着きたいというニーズはきっとあるはず。観光ホテルやビジネスホテルからタクシーで1メーターほど。ナイトキャップ的な利用にも向いています。
八百屋さんらしい野菜料理のおつまみが充実。2020年3月以降は小料理屋となり、おでんが看板料理になるそうです。水産加工の町、気仙沼らしいおでん種が揃うことが楽しみです。
小さな店舗ながら近隣のお酒好きが集まり、取材時もカウンターは人々が集まりにぎやかです。キリンのタップマルシェからIPA風の「スプリングバレー496」(700円)をもらってゆったり飲んでいると、次々地元の方がお店にやっきました。
気仙沼を現場で支える老若男女が集い、井戸端会議的な場として、コの字はとても有効のよう。いろんな立場の方のお話を聞き、ますます気仙沼が好きになりました。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材年/2019年)
塚本八百屋
0226-22-2212
宮城県気仙沼市南町2-4-10
9:00~24:00(飲食営業は夜・火定休)
予算1,800円