北上の中心街・青柳町で老舗の酒場をお探しならば『千石』が間違いなし。創業60年、ベテラン女将が主役の名酒場です。看板料理のおでんはもちろん、酒場巡りを続けてきた筆者も感動する素晴らしい煮込みもオススメ!
(取材協力:キリンビール株式会社)
目次
『千石』があるから北上に泊まりたい
東京から東北新幹線で2時間20分。岩手県内陸にあり、北上川と和賀川が合流する北上盆地の中心街、北上にやってきました。
古くは奥州街道と北上川舟運が交差する宿場町として栄え、近年は横手方面への交通の分岐点の役割に加え、水資源を活かした工業都市の側面もあります。歴史だけでなく産業もあることから、中心街の飲食店数は非常に多く、人口は約9.2万人とは思えない賑やかです。
ただし、厳冬期は降雪が続くため、写真の通り駅前のメインストリートも雪で真っ白になります。今回、ご紹介する『千石』前のご覧の通り。
ということで、改めて夏にやってきました。
北上で老舗酒場といえば、ここ『千石』。約60年続く店で、地元の皆さんからも名店として親しまれています。
店に入れば、そこは絵に描いたような酒場の風景が広がっていました。女将さんが守るおでん鍋に向いたカウンター席と、その対面にテーブル席。二階は大人数の宴会にも対応できる座敷があるようです。
まずは、立派な一枚板のカウンターに目がいきます。これだけ分厚いものが数メートル。使い込まれていてもソリがない、重厚な造りです。カウンターの安心感・安定感が、酒場の居心地の良さに大きく影響すると常々思っていますが、『千石』のカウンターは最高の心地よさでした。
そんなカウンターの先には、奥羽山脈を挟んだお隣りにある酒処・秋田県湯沢市の酒蔵・両関酒造がつくる両関樽酒が鎮座しています。両関の樽なんて、非常に珍しい!
品書き
お酒
- 大樽 生ビール キリン一番搾り:600円
- 瓶ビール大瓶 キリン一番搾り・キリンクラシックラガー・サッポロ・アサヒ:各800円
- ハイボール:450円
- キリンウイスキー陸:550円
- サワー各種:400円
- 日本酒 浜千鳥・月の輪・鷲の尾・あさ開水神:1合各600円
- 両関樽酒:500円
- 両関あつかん:400円
- 両関生貯蔵酒:300mlビン 750円
料理
- 大油揚げ:400円~
- 冷やっこ:460円
- 湯豆腐:500円
- 梅納豆:460円
- マグロ納豆:460円
- いわい鶏 焼き鳥 タレ・塩:5本600円
- たこ刺し:660円
- かつお刺し
- まぐろ刺し
- モツ煮込み:600円
- 馬刺し:560円
- 北上コロッケ:500円
おでん
笹かまぼこ・はんぺん・大根・さつま揚げ・ちくわ・たまご・ちくわぶなど:各100円
地元食材が勢ぞろい!これぞ旅先で飲む醍醐味
キリン一番搾り生ビール(600円)
酒場に来たら、やっぱり一杯目はビールが飲みたい!
今年操業100周年を迎えたキリンビール仙台工場がつくる状態抜群のキリン一番搾りを頂いて、それでは乾杯!
お通し
お通しは、三陸が名産地として知られるめかぶにとろろ芋を合わせたもの。滋味深い良いお味。
かつお刺し
夏から秋にかけて、三陸側の魚といえばカツオですね!
目の覚めるような鮮やかな赤と、ハリ・ツヤがありピンとした刺身の角。太平洋寄りの東北に来たら、やっぱりこれ!
おでん各種:100円/個
一般的におでんは季節料理ですが、『千石』では通年で食べられます。毎日継ぎ足しているというおでんは、この通り真っ黒です。
飴色に染まった大根は、この通り丁寧な面取りがされていますし、どの具も出汁が芯まで染みています。出汁は昆布、かつおに加え、サバ、にぼし、さして鶏ガラも入っているそう。これは、日本酒を合わせたくなります。
両関樽酒(500円)
女将さん自慢の樽酒「両関」。樽は時間とともに風味が変わっていくため、味の安定という点で扱わない飲食店が増えていますが、やはり樽の日本酒は特別です。「このあたりではうちだけ」と女将さん。
慣れた手付きで、トップン…トップンと、独特なリズムで流れるお酒を片口で受け止める女将さん。老舗の暖簾を守る皆さんの所作は無駄がなく美しいです。
杉樽の風味にふんわりと包まれながら、一口。伸びていた背筋が一瞬にして柔らかくなっていくことを感じつつ、緊張を解すように、続けてもう一口。出張や旅行は、旅慣れてはいても緊張するものです。旅先の酒場で飲むこうした酒が旅をより豊かにします。
北上コロッケ(500円)
刺身、おでんとどちらも素晴らしいものでしたので、三品目も期待が高まります。おすすめ頂いたのは、北上コロッケ。「北上」を冠する名前が気になりますが、まずは食べてみましょう。
なんと、じゃがいもではなく、里芋です。具はとろとろで、牛、豚、アスパラガスが入っています。すべて北上産の食材でつくっているそうで、里芋は「二子さといも」とのこと。クリームコロッケのようなトロフワ食感がたまりません。
キリンクラッシックラガー(800円)
揚げ物には、苦くコクのあるキリン味、キリンクラッシックラガーを。昭和40年代の味覚を再現しているキリンクラシックラガーが、こうした老舗酒場の料理に合わないはずがありません。
モツ煮込み(600円)
全国津々浦々、居酒屋を巡っていますが、煮込みでこれほど驚いたのは初めてかも。モツ煮込みは、なんと土鍋ででてきます。小鉢サイズかと思いきや食べごたえ満点!
国産牛モツのほか、キャベツ、ニラ、もやし、豆腐、こんにゃくを加え、甘めの味噌味でまとめた逸品。唐辛子の辛味や生姜の風味があり、真冬でもこれを食べればあっという間に芯から温まるでしょう。あとひく美味しさと、意外な軽さもあって、あっという間に完食しました。
味噌とモツの旨味のバランスが絶妙で、ビールはもちろん、日本酒も進みそうです。
ごちそうさま
地元の皆さんで賑わう『千石』は、これぞ街の大衆酒場という雰囲気でした。おでん、刺身、北上コロッケと、どれも良かったですが、とくに牛もつ煮込みは、遠方からでも食べに行く価値ある逸品だと思います。
近くの昼飲み処は
(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材協力/キリンビール株式会社)
店名 | おでん千石 |
住所 | 岩手県北上市青柳町1-2-22 |
営業時間 | 営業時間 17:00〜22:00 定休日 日曜日 |
創業 | 約60年前 |