北上『食事処 更科』中心街で70余年続く老舗!蕎麦屋で食堂で大衆酒場

北上『食事処 更科』中心街で70余年続く老舗!蕎麦屋で食堂で大衆酒場

2022年4月5日

北上にも『更科』があります。1950年(昭和25年)創業と歴史は長く、北国の老舗らしいかなりどっしりとした店です。特長は蕎麦だけにあらず、中華から居酒屋メニューまでなんでもござれ。北上で貴重な昼酒スポットでもあります。

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自然豊かな岩手を、味で楽しむお昼酒

北上は東京から新幹線で2時間30分

奥羽山脈と北上山系に挟まれ、街の中心を北上川が流れる自然豊かな街・北上市。奥州街道を日本橋から数えて89番目となる、江戸の人から見たら文字通り陸奥にある黒沢尻宿が、現在の北上市に繋がります。

移動に歩きが当たり前だった江戸時代は徒歩で2週間以上かかった旅路も、東北新幹線の開業によって、いまでは2時間30分。東京を朝に出発すれば、お昼は北上で山菜天ぷらを肴に一杯飲めるのですから便利なものです。

かつての宿場があった旧黒沢尻宿の周辺が旧市街で、市役所や百貨店、居酒屋などが立ち並んでいます。交通の玄関口であるJR北上駅はそんな中心街から700mほど離れています。駅と中心街までを歩くのも、旅先の飲食店を訪ねる楽しみの一つです。

北上はとくに積雪が多いようで、仙台は積もっていなかったのに北上市の中心街はご覧の通り真っ白です。

人口9万人の都市ですが、街の規模に対して飲食店の数は非常に多く、明治時代から続く老舗料亭や創業半世紀を越える酒場も立ち並び、「食と酒」目的の旅行には最高な街のひとつではないでしょうか。

駅から百貨店・市役所方面に向かう途中も諏訪町名店街という商店街になっており、その中央には鎮守の森も残る荘厳な雰囲気の「諏訪神社」が鎮座します。豪雪にもかかわらず、除雪もしっかりされており参拝者は途絶えません。

大箱でも満卓近い賑わいになる、北上の『更科』

諏訪神社から100mほど進むと、目的の『更科』がみえてきました。2階建てのどっしりと構えた店に、次々と近隣の人々が吸い込まれています。この界隈では最も集客している飲食店ではないかと思えます。

二階は60人も入れる大広間もあるようです。

外観

北上観光コンベンション協会によれば、昭和25年に東京都港区の総本店「更科」から暖簾分けで創業したそうです。

雪化粧したたぬきが迎えてくれます。北国は寒い地域だからこそ、ほっとさせてくれる店構えが嬉しいです。

内観

1階だけでも50席以上ある大箱です。昼食時のピークをずらして入りましたが、さっきまで満卓だったようで、お店の皆さんが慌ただしく片付けをしています。13時過ぎでも老若男女問わずお客さんは途切れることなく、地元の皆さんに親しまれていることがよくわかります。

奥ではお父さんたちが昼酒を満喫中。こちらも負けていられません。※お酒は自分のペースで適量を。

乾杯は燗酒「あさ開蔵囃子」で

街の様子を見てきたからこそ、一杯目のお酒がより美味しくなるというもの。ただ、ちょっと寒いので今回はビールではなく、最初からお燗酒で。品書きに燗酒と書かれた定番酒の銘柄は、「あさ開蔵囃子」。岩手・盛岡のお酒です。

燗酒1合(あさ開 蔵囃子)をもらって、では乾杯。はぁ、ほっと落ち着きます。

突き出しには地元の食材などをつかったすきこんぶ煮浸しです。

品書き

お酒

樽生ビールアサヒスーパードライ)中:605円、瓶ビールアサヒスーパードライ)大瓶:880円。

日本酒は、燗酒あさ開蔵囃子)1合:440円、喜久盛酒造(北上)鬼剣舞 純米吟醸:935円、わしの尾(八幡平)鷲の尾金印:550円、あさ開 300ml生貯蔵:990円、月の輪 300ml純米酒:1,100円。

おつまみ

お刺身3点盛り:1,100円、いかの塩辛:330円、いかの一夜干し:660円、チャーシュー:550円、大焼鳥:220円、カツとじ:660円など。

定食・丼もの・洋食・すし

とんかつ定食:1,100円~もハンバーグ定食:1,100円も、しっかりせいろ蒸しするシュウマイ定食:1,100円もあります。地元の人にはオムライス:880円が人気メニューのようです。バラエティ豊かで、まるで昔の百貨店食堂のような品揃え。

定食の主菜は単品で注文することが可能で、天ぷら、生姜焼き、エビフライもお酒のおつまみになります。

生蕎麦・うどん・中華

蕎麦・うどん・中華麺とすべて自家製麺に。麺類の人気は五目中華:825円やタンメン:715円だそう。もちろん、受け継がれてきた手打ちそばが看板メニューです。

その他、かけ:605円、天ざる:990円、カレー南蛮:880円、わりこそば:1,430円、ミニちらし丼:605円、炒飯:715円など。

居酒屋づかいで、お昼からしっかり飲む・食べる

天ぷら盛り合わせ

海老、キス、鱈に、山菜や舞茸と盛りだくさん。蕎麦屋の天ぷらは、衣をつゆにたっぷりとつけてから頬張りたいものです。

ザクっとしてジューシーな天ぷら。雪道を歩いたあとですからなおのこと美味しく、お燗酒もすいすいと進みます。

鷲の尾金印(550円)

鷲の尾金印は、酒蔵わしの尾を代表する、最もポピュラーなお酒。ひとめぼれなど岩手県内産の飯米を原料にしているようで、甘口でコクのある余韻が感じられるお酒です。

牡蠣鍋

店内に張り出された「牡蠣鍋」の文字に誘われて注文しました。白味噌を使い、みりんや酒が効いた大変濃厚な味わいです。600円ほどだったのですが、小鍋を使い、目の前で火をつけるという手間をかけた一品です。

肉厚のしいたけと春菊の下からは、ぷりっとした三陸の牡蠣がたっぷりとでてきます。

北上の老舗蕎麦屋で、旅情に浸りながらゆったりと楽しむお昼酒。長く愛されている店はやはりいいものです。東北旅行の途中で、時間がありましたら北上で途中下車して飲みに行ってみませんか。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名食事処 更科
住所岩手県北上市諏訪町2-5-18
営業時間10:00~15:00・17:00~21:00(月定休)
開業年1950年