浅草『ニュー浅草本店』観音様の前で63年。いつでもニューな大衆酒場

浅草『ニュー浅草本店』観音様の前で63年。いつでもニューな大衆酒場

2022年4月6日

浅草寺や東京メトロ浅草駅から徒歩わずかな場所にある、総席数180席を越える巨大な酒場『ニュー浅草本店』。創業は1959年(昭和34年)。豚肉入りの「たぬき豆腐」が人気です。料理やお酒が安く、賑わう浅草でもグループで入れる大箱ということもあり、安心・安定の一軒でしょう。

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浅草の本店がニュー浅草チェーン最後の一軒に

長年都内の酒場で飲んできた方は「ニュー浅草チェーン」を利用した経験が一度はあるでしょう。神保町や高田馬場、市ヶ谷、飯田橋、浜松町など、都心に10店舗近く展開していた大衆酒場チェーンです。本店の創業は昭和34年と歴史がありますが、高田馬場店も昭和40年代にオープンするなど、支店も歴史あるお店が多かったです。

そんなニュー浅草ですが、飲食ニーズの変化に加え、昨今の居酒屋業界に吹き荒れる逆風の中で店を減らし続け、現在は浅草の本店が最後の砦となってしまいした。

外観

店数が減ったとはいえ『ニュー浅草』はつまらない平凡な店では全くありません。仕事帰りに毎日のように通う常連さんもいるくらい、手頃な価格と豊富なメニュー、居心地の良い酒場です。大箱の大衆酒場ならではの、適度な「ほっとかれ感」があり、それでいて、話しかけるとフレンドリーに接してくれるという絶妙な距離感の応対がとても過ごしやすいのです。

「新しくキラキラした店より昭和の大きな酒場に浸りたい」、そんなグループ利用にニュー浅草本店はぴったりだと思います。もちろん、一人・二人の利用も安心です。

吹き抜けの店内

3階建ての大きな建物で、店の中央は吹き抜けとなり、巨大な提灯が2階から提げられています。

なかなか豪華な構造なのですが、店の雰囲気は昭和の酒場そのもの。広く開放的な店内には、レトロな4人がけや6人がけのテーブルが並び、通い慣れた常連さんたちの姿でいっぱいです。老若男女、客層は様々ですが、ここで感じるのは皆さん飲み慣れた人ばかりということ。リーズナブルな店ですが、必要以上に騒ぐグループの姿はありません。

乾杯は大瓶「サッポロラガー」で

長年サッポロビールを提供してきたニュー浅草。店の創業時にも売られていた歴史ある銘柄、赤星サッポロラガー)が文脈的にぴったりです。それでは乾杯!

品書き

お酒

樽生ビールはサッポロ生ビール黒ラベルで、小:350円・中:550円・大:760円。瓶ビールサッポロ黒ラベルサッポロラガー大瓶:650円、ヱビス大瓶:660円です。

サワー・酎ハイ系は、酎ハイ:380円、ハイサワー(レモンサワー):420円、焼酎玉露割り(ポッカサッポロ玉露茶使用):430円、男ウメサワー:420円など。

定番の日本酒は灘や伏見の大手酒蔵ではなく、西飯田酒造店(長野・篠ノ井)の信濃光:320円ととてもめずらしい銘柄を置いています。

加えて、下町ドリンクメニューとして、東京・城東地域でおなじみの下町ハイボール(色付き酎ハイ):420円や金宮梅割り:450円も用意があります。

料理

馬肉が定番料理になっている店の多い浅草で、やはりここにも「霜降り馬刺」:680円あり。

店のおすすめは、たぬき豆腐:440円、砂肝ガーリック炒め:450円、豚バラあま辛炒め:550円、ねぎチャーシュー:500円など、肉料理が多め。キャベ玉焼き:420円やもちピザ:500円など、食事寄りもつまみが多く、食事がてらで立ち寄る常連さんも多いです。

ゆったりくつろげる、大箱・老舗はいまや貴重な存在。

たぬき豆腐(440円)

店員さんのイチオシでもあるので、ここはロングセラーの名物のたぬき豆腐をお願いしました。白だしに豆腐一丁と豚バラ肉。そこに天かすがたっぷりと盛られています。

ここは一品ごとのボリュームがしっかりあって食べごたえ十分。

熱々の柳川鍋ででてくるので、ゆっくり食べていても熱さが長持ちします。

チーズカレードリア(550円)

これ以上ないくらいの「ザ・大衆酒場」なニュー浅草ですが、意外とピザやカレーなどの洋食系が本格的な味なので驚きます。

おつまみを兼ねつつ夕飯とするなら、チーズカレードリアがおすすめです。

酎ハイ(380円)

プレーンな美味しさ、ノーマルな酎ハイです。カットレモンが浮かんでいるのがちょっぴり嬉しい。

飲食店が長年しのぎを削ってきた浅草。お酒好きの筆者としてはこうしてゆったり・のんひりと過ごさせてくれるニュー浅草のような店も、この街になくてはならない存在だと思います。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名ニュー浅草 本店
住所東京都台東区浅草1-35-3
営業時間11:30~21:30(日定休)
開業年1959年