浅草『酒冨士』約70年続く雷門通りの名酒場。通し営業でお昼酒にも

浅草『酒冨士』約70年続く雷門通りの名酒場。通し営業でお昼酒にも

2022年4月4日

浅草・雷門通りでお昼から飲める大衆居酒屋『酒富士』は、老舗が多いこの界隈でも古株の飲食店のひとつ。お昼から通しで営業しており、遅い昼食がてらの一杯を楽しむのにオススメの店です。場所柄観光客も来ますが、意外なほど地元客でも賑わいます。

スポンサーリンク

休みの日は、浅草へお昼酒に行こう!

浅草寺の門前町として江戸時代から栄えた浅草は、いつの時代も大衆娯楽文化の発信地です。雷門から250m続く参道には90もの店が軒を連ね、その先にある浅草寺は都内最古の寺院として知られています。浅草演芸ホールで落語を楽しみ、日本最古の遊園地「花やしき」を訪ねてみるのも定番のコースです。最も東京観光らしい街といえる浅草ですが、そうした修学旅行のコースだけが楽しみ方ではありません。

酒場もまた、大衆文化のひとつです。観光地であもる煮込み通り(ホッピー通り)は道の名前からして飲み屋街ではあるものの、浅草はここに限らず、1世紀続くような老舗酒場をはじめ、硬派なオーセンティックバーまで、お酒を楽しむ店はかなり充実しています。

外観

「浅草の飲み屋は観光客向けでしょ」と思われるかもしれませんが、筆者のように飲むためだけに浅草を訪ねる人は結構多いのではないでしょうか。場所柄、お昼から夜まで通しで営業している店が多く、休日に早い時間から飲み始めたいときにはぴったりの街です。

例えばここ、味の店「酒冨士」も、力強く営業し期待を裏切らない酒場のひとつだと思います。

店構えからして味わい深い。創業時から使われている年季の入った建物ですが、とてもキレイに手入れがされており、品書きも書かれていて入りやすい雰囲気です。

乾杯は瓶ビール「キリンクラッシックラガー」で

浅草・雷門通り沿いにあり、東京メトロ浅草駅から徒歩5分ほど。観光地のまん真ん中で約70年続く酒場です。そういう立地であっても、昔ながらの家族経営で続けている店で、店に入るとベテランの二代目女将さんが迎えてくれます。女将さんの後ろには昭和30年頃の同店の写真が飾られており、そこにも二代目の女将さんの姿がありました。

1階はカウンター中心の席数17のコンパクトなつくりで、二階、三階にテーブル席と座敷が用意されています。ここのカウンター席は座った瞬間、昭和にタイムスリップしたような気分になれます。そんな空間ですから、熱処理のビールが飲みたくなって、キリンクラッシックラガーを頂くことにしました。

それでは乾杯。

品書き

お酒

樽生ビールアサヒスーパードライ(中ジョッキ):600円、瓶ビール(大瓶)はアサヒスーパードライキリンクラシックラガー:各650円。酎ハイ類:430円。

日本酒は、ご当地・台東区の酒屋のお酒「江戸自慢」をはじめ、山本本家(京都・伏見)がつくる京舞妓:450円、菊正宗(兵庫・灘):500円、上田酒造(奈良・生駒)しぼりたて蔵元の嬉長 生冷酒300ml:800円などが揃います。

旬を感じるホワイトボードメニュー

季節や市場の品揃えで献立が変わるホワイトボードメニュー。この日は、まぐろさし:1,100円、オススメいわしさし:780円、ヤリいかさし:880円、めひかり唐揚げ:700円など。

定番メニュー

揚げ物は天ぷら盛り合わせ(えび2本、きす、他3品):1,100円、ロース豚かつ:900円、とり唐揚げ:650円など。昔ながらの大衆酒場なのでオールマイティーな品揃えです。串焼き・鶏だんご:350円、ひなどり:450円、手羽先:500円なども。

お昼の人気は、かつ丼:1,000円や天丼:1,350円などです。

昼からちょっとひっかける。そんな浅草の楽しみ方

いわしさし(780円)

観光客の往来が途切れない雷門通りにあって、ここはエアポケットのような雰囲気です。賑わいから一歩離れたカウンターで、午後2時頃にいわしの刺身をおつまみに、ゆっくりとビアタンブラーを口へ運ぶ。こんなもの浅草の楽しみ方のひとつでしょう。

派手さはないものの仕事は丁寧。安心して誰かをと飲みに行ける酒場です。

かきフライ(1,000円)

秋から春にかけての人気の一品は、かきフライ(1,000円)です。日によって牡蠣の産地は変わるようで、この日は岩手県陸前高田の広田湾から水揚げされたもの。揚げてもなお大ぶりで、サクっとした衣の中からは、かなり濃厚でぷりっとした牡蠣の身が弾けるように口いっぱいに広がります。

江戸自慢(450円)

正一合と明記した徳利で提供されるお燗酒。無垢のカウンターにしゅっとした形状の徳利は、これ以上ないくらいに馴染んでいます。

ぼんやりと小一時間過ごしてほろ酔いになりました。酔い醒ましに隅田川沿いを少し散策したいと思います。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名酒冨士
住所東京都台東区浅草1-6-1
営業時間11:30~22:00(土日祝は21:30まで・月定休)
開業年1950年代