浅草「ナカジマ」 観音裏の酒場に歴史あり。大正創業の名店は気軽な一軒。

浅草「ナカジマ」 観音裏の酒場に歴史あり。大正創業の名店は気軽な一軒。

2018年12月3日

台東区浅草。浅草寺の北側は観音裏と呼ばれています。日本を代表する観光地、雷門周辺とは表裏の関係。花街でもあるこちら側は、落ち着いた大人の遊び場です。

歴史ある街には名酒場あり。千束通りに店を構える「お酒とお食事処ナカジマ」も、大正時代にのれんを掲げた由緒ある飲み屋です。

 

ホームページによると、初代は新潟から上京し、浅草の今半で奉公しているときに独立して開いたそうです。現在のれんを守るのは三代目。上モノ・鮮度自慢の海鮮をメインに、酒場や食堂メニューでもてなしてくれます。

 

木造の酒場らしい飴色の空間に、小上がり、テーブルとも満卓の賑わいです。カウンターはないものの、お一人様はテーブル相席で一期一会を楽しみます。

 

ビールは生が地元吾妻橋のアサヒスーパードライ。瓶では、ナカジマの創業当時は吾妻橋にあったビール会社、日本麦酒の札幌と恵比寿です。

待っていましたと言わんばかりに、ビヤタンの底に赤星を打ち注ぎ、そのまま机に置くことなく、まずはぎゅっと一口。あ、乾杯です!

 

地元町会の集まりでしょうか。祭り談義に花を咲かせる江戸っ子たちが盛り上がる中、ビールとお酒がすばやく女将さんによって運ばれてきました。さすが歴史ある大衆酒場、提供が早い!

 

上まぐろ中おち。小鉢にたっぷり盛られています。程よい脂が旨味となって、お酒を誘います。

 

黒板メニューに10種類以上の海鮮の文字が踊ります。刺身でこれだけ揃えられるということは、それだけ注文もあるということ。

 

鱈ちり、牡蠣なべ、あんこうなどの鍋物から、白子酒蒸しややりいか里芋煮など気の利いた肴まで豊富。そしてやっぱり落ち着くのは酒場料理でしょう。オムレツは手頃で人気の一品です。

ポテトサラダ380円、アジフライ500円と、普段から通いたくなる値段も惹きつけられます。

 

アサヒのたっぷりはいる中ジョッキに注がれたレモンハイ(430円)。お客さんの笑い声と笑顔で応対されるお店の皆さんの声をBGMにして、今宵も心地よく酔いが進みます。

 

煮魚は500円から、カレイに鯛、そして金目(890円~)と揃います。東京風の醤油と砂糖で濃い味に仕上げた甘辛煮付けが好物でして、ナカジマの煮魚はまさにそれ。

 

中はホクホクでうっすらきつね色。旨味の余韻に誘われて、日本酒は定番酒の白雪(1合400円)を注文。さて、じっくり椅子に根を張って、のんびりと酒場の時間を楽しみます。

 

ほっこりあたたまる酒場に癒やされました。

お店をでたころにはすっかり静かになった千束通り。帰りは小路を歩いて花街を散策しましょうか。そよ風に乗って三味線や鼓の音が聞こえてきそうです。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

ナカジマ
03-3872-7833
東京都台東区浅草5-37-6
17:30~23:30(木定休)
予算2,500円