上野を首都圏で出店を続ける『ほていちゃん』(運営:株式会社フォートップス)の御徒町店が、2022年3月4日、JR御徒町駅の高架下にオープン。同店は上野エリアで姉妹店を含め6店舗目となります。新メニューや、上野で店舗を増やす理由を取材しました。
目次
令和の大衆酒場のスタンダードを目指して
「大衆酒場の雰囲気を、誰でも気軽に楽しめる」それが、ほていちゃんのコンセプト。
『ふれあい酒場 ほていちゃん御徒町店』の開店取材にて、改めてほていちゃんの方針をブランド担当者に聞きました。
手頃な料理でも、画一的・ありきたりにならず、季節にあわせ、お客さんの要望に応えながら料理を進化し続けてきたと担当者は話します。これまでに開発したメニューは、総数1,000品以上。変化球はほどほどに、かっこつけない料理を心がけているそうです。
外食に求める内容が多様化する令和の時代に、東京・上野の大衆酒場のスタンダードになることを目指しているといいます。
上野エリアで総席数500席
『ふれあい酒場 ほていちゃん御徒町店』は、御徒町駅すぐ、アメ横に面したJR山手線・京浜東北線の高架下に誕生しました。2フロアあり、店先を合わせ、合計110席(一部立ち席含む)あります。
上野・御徒町界隈には、「ほていちゃん」業態が4店舗、姉妹店の「さんたろう」1店舗がありましたが、さらに各店から徒歩圏内に合計6店舗目の出店となります。
これにより上野エリアでの席数は500席となり、それぞれの店は中小規模ながら存在感ある飲食店グループになりました。一号店は新小岩ですが、上野はほていちゃんにとって中心的なエリアで、ここでの価値を高めたいという考えです。
ほていちゃん御徒町店
店先
店頭はアメ横の活気が感じられる半屋外席。気候がよいときは、いかにも上野のガード下という雰囲気が味わえて旅行者にも喜ばれそうです。※撮影は営業前におこないました。
1階立ち飲みカウンター
1階は厨房が大きく、カウンターの立ち飲みスペースのみとなっています。
多くの居酒屋チェーンが調理場と客席を壁で仕切るのに対し、ほていちゃんは調理風景をみせた構造としているのも特色でしょう。
2階テーブル席
2階は6人向けのテーブル席が並ぶつくり。直上が線路ですが、列車の音や振動は感じません。
乾杯はサッポロラガーで
ほていちゃんの人気を支える飲み物が、このサッポロラガー(愛称 赤星)です。現代の東京にあって、ビールが633ml入った大瓶が1本410円(税込)というのは破格の値段。一般的な空冷の冷蔵庫ではなく、昔ながらの氷水にドブ漬けで冷やす方式にこだわっているのもポイントです。
なお、サッポロラガーは立ち飲み(一部店舗で例外あり)限定のサービス品で、テーブル席では注文できません。
品書き
飲み物
樽生ビールはサッポロ黒ラベル:495円。ハイボールはデュワーズ:385円。日本酒は上野からの常磐線つながりで水戸・明利酒類の副将軍。
チューハイ類の品数の多さが特長で、20種類以上が用意されています。人気は抹茶ハイ:385円、おすすめはパンチレモンをつかったレモンサワー:385円。定番のプレーンハイ:330円、ホッピーセット:429円、バイスセット:429円。
おもしろいものでは、愛媛のポンジュースでつくるポンハイ:429円、北海道ヨーグルッペ・ハイ:385円、ヨーグル・ポン:429円など。焼酎はサッポロ焼酎が基本です。
最近加わった新メニューは、いちごみるく豆乳ハイ:429円です。
定番料理
品書きは変わっていないようで、日々少しずつ書き換わっています。定番は自慢の牛煮込み:429円、訳アリ本まぐろブツ:495円、手作りポテトサラダ:264円など。
料理のおすすめや特徴は次の項で詳しくご紹介します。
食品企業と二人三脚
ほていちゃんの味と安さを支えるのは、食材調達力です。都心やターミナルの一等立地で、季節の魚介をつかった料理など、比較的高級と思われる料理をワンコイン未満で提供することが、ほていちゃんの人気につながっています。
店舗数が増え、様々な食品企業と協力体制をとるようになった同社。質の高い中間加工品を仕入先とともに開発し、それらを店に集めるようになっていきました。ほていちゃんはメニューが固定されていないため、食品会社が抱える一時的な在庫を、数量限定品として安価で店頭に並べることができるのも強みです。
世界情勢悪化の中での輸入量低下、まん延防止措置等による販路の減少など、ますます不安定になる食材の市場ですが、欠品、だぶつきにも柔軟に対応し、価格を抑える努力を食品会社と二人三脚で続けているといいます。
ベビーワタリガニの唐揚げ(220円)
酒場の定番「サワガニの唐揚げ」と同じように、パリパリと楽しむワタリガニの唐揚げ。数量限定なので、仕入れがなくならないうちに食べてみてはいかがでしょう。
タスマニアサーモン(330円)
アトランティックサーモンのひとつで、オーストラリアのタスマニアでとれる高級食材です。今後、サーモンの市場に大きな変化が予想されることから、こちらも店頭に並ぶ期間はそう長くないかも、と担当者。
おぼろ昆布しめ鯖(297円)
この冬は日本海側で豊漁が続いていると取材先でも聞いていましたが、それはほていちゃんのメニューにも反映されています。漁獲量が増えた山陰の鯖をつかった料理で、おぼろ昆布のしめ鯖という提案。しかも、醤油ではなく煎り酒をつけるという、割烹のような食べ方で楽しませてくれます。
このあたりがまさに、変化球ではない「食の提案」という同社のコンセプトを感じます。
するめいかの漁師漬け(330円)
今回食べた新作料理の中で、最も驚いた一品が、この「するめいかの漁師漬け」です。イカの鮮度がよく、角のエッジがピンとしています。境港などでとれたイカを使用。文字通り、本当に漁業関係者がつくったものを仕入れているそうです。これまでのほていちゃんの海鮮類の中でも段違いの「大当たり」です。
鉄板デミバターミートボール(319円)
デミグラ系の味にバターは、間違いない組み合わせ。素直な美味しさと、ボリュームがあって人気になりそうです。
いちごみるく豆乳ハイ(429円)
メルヘンな色ですが、焼酎の比率は他の酎ハイと変わりません。甘くてスイスイと飲みすぎないようにご用心。よく混ぜてから飲みますが、見た目ほど甘くはなく、豆乳ハイ好きならば結構好きな味だと思います。
アジアン・塩レッドカレー(407円)
新メニューです。魚醤をつかった本格派です。肉類はなく、パクチーの下にはエリンギとニンニクがたっぷり。
鉄板黒チーマージャン炒め(363円)
このあたりは、”ほどほど”に留めた変化球メニュー。豚肉を包むチーマージャンのコクとケールの苦味を楽しむ大人の鉄板料理です。
世界の食材事情を反映した、その日だけの組み合わせを楽しむ
幅広い世代が入りやすく、気軽に楽しめる同店は、「様々な食材や食べ方を知ってもらう、食のハブのような役割になれれば」と担当者。
立ち飲みや、ガード下の店で飲んだことがないような人に酒場の楽しみを知ってもらい、これをきっかけに町の酒場を尋ねる酒場好きになってほしいという想いも込められているようです。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材協力/株式会社フォートップス)
店名 | ふれあい酒場 ほていちゃん御徒町店 |
住所 | 東京都台東区上野6-4-4 |
営業時間 | 営業時間 [月~金] 13:00~23:00(L.O.22:30) [土・日・祝] 12:00~23:00(L.O.22:30) 日曜営業 定休日 無休 |
開業年 | 2022年3月4日 |