「屯」、それは人が集まる場所。北海道出身の大将が1980年に創業した新高円寺『やきとり屯』は、店名の通り地元の常連さんで賑わう大衆酒場です。全国の焼鳥店でお馴染み「トマト巻」はこの店が発祥と言われています。
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街道沿い、夫婦で営むレトロな焼鳥店
青梅街道沿い、新宿から西へ五日市街道の交差点を過ぎたあたりに、年季の入った赤ちょうちんの店があります。居酒屋がお好きな方ならば、運転中気になるのではないでしょうか。私はこの道を走る都営バス「渋66」阿佐ヶ谷行きの車窓で発見しました。
地下鉄ならば、徒歩3分の場所に東京メトロ丸ノ内線 新高円寺駅があります。
ほんのり苔むしたファサードと木製のサッシ、それを照らす赤ちょうちんは、紛れもなく何十年と続く大衆酒場の佇まいです。
外観
店先には小さなカウンターがあり、店先でも楽しめます。まるで街道の茶屋のような雰囲気ではありませんか。飾りではなく、実際にカウンターで飲んでいく常連さんの姿もありました。
真正面が焼き場で、窓越しに女将さんの炭火をつかったベテランの仕事ぶりを眺めることができます。
内観
外見はコンパクトながら、暖簾をくぐった先は奥へ長く、厨房に向いたカウンターが伸びています。壁側にも席がありますが、空席があればやはり調理場側を向きたいです。
中では大将が手際よく炒めたり、盛り付けたりと一品料理をつくっています。配膳やドリンク場はお手伝いのお兄さんの担当。皆さん、非常にテキパキと仕事をされています。
働く様子をぼんやり眺めながら、こちらはというとスマホもしまったまま、頭を空っぽにして青梅街道を行き交う人や車を眺めています。時間と通知に追われる現代、こういう時間が大切です。
見上げればたくさんの徳利が。日本中の蔵元や酒販店の名前が入っています。
品書き
お酒
- 生ビール サッポロ黒ラベル:649円
- 瓶ビール サッポロ黒ラベル・サッポロラガー中瓶:各649円
- ホッピーセット:495円
- レモンサワー・玉露茶割りなど酎ハイ類:462円
- れんと:550円
- 赤霧島:550円
- 白波:440円
- ホッピー中:308円
- 日本酒2合:715円
- 日本酒 あさ開(盛岡):495円
- 日本酒 男山(旭川)・天狗舞(松任)・北アルプス(あずみ野池田)・ミッシェル(佐久):各770円
- 日本酒 菊水(新発田)・真澄(諏訪)・司牡丹(高知)・澤乃井(青梅)・上善如水(越後湯沢)・澤の花(佐久):各715円
- にごり酒 親玉(旭川):605円
料理
- 焼とり かわ・つくね・ずり・とりはつ・とりレバ・とりこつ:各132円
- 焼とん とん・たん・はつ・レバ・こつ・しろ:各132円
- トマト巻:308円
- スタミナ焼き:275円
- バクダン:385円
- もつ煮込み:418円
- とりから揚げ:440円
- スタミナホルモン焼き:418円
- 春巻き:440円
- ゆでたん:550円
- ちくわ磯辺揚げ:418円
- さんま塩焼き:495円
- きんぴらゴボー:275円
- えび巻:440円
- 玉ねぎスペシャル:418円
- れんこんはさみ揚げ:550円
- ニラ玉とじ:275円
- なすチーズ焼:550円
- ポテトチーズ焼:550円
串焼きが豊富で楽しい!
サッポロラガー中瓶(649円)
なにはともあれ、ビールから始めるのが一番しっくりきます。サッポロラガー(赤星)があるではありませんか。それではまず、開拓のビール・サッポロラガーを1本。それでは乾杯!
サッポロラガーだけでなく、黒ラベルも置いています。こうした個人店で二銘柄を置いているのは珍しいです。大将のこだわりでしょうか。両方飲み比べてみれば、両方美味しい。
お通し
お通しはキャベツと決まっています。パリッとした新鮮なキャベツに辛味噌をつけていただきます。
ひやしトマト(330円)
キャベツが新鮮だったので、期待してひやしトマトも注文しました。期待通り、今どき珍しい特大サイズでしっかり甘い。これから来る焼鳥の箸休めにとっておきましょう。
やきとり(132円)
鶏ハツとつくねを2本ずつ。よく煮詰めた濃厚の甘タレがつくねのゴツゴツした表面に絡んでいるのが嬉しいです。新鮮でみずみずしくハリがある鶏ハツはとってもジューシー。
エリンギ串(385円)
『やきとり屯』に来たら、野菜串や創作串焼き食べなくてはもったいないです。単に串打ちしただけではないひと手間かけたものが多く、「へぇ、こうやると美味しくなるんだ」という発見があります。
しいたけ串(275円)
味付けは焼き場の女将さんが済ませてくれているので、来たものを冷めないうちに頬張るのみ。まとめて注文しても冷めないように少しずつ出してくれるところなど、細かな配慮にほっこりします。
アスパラベーコン(330円)
旬のアスパラをつかったアスパラベーコンを頼んでみると、なんとアスパラと玉ねぎにマヨネーズがちょこんとのってきました。
創作串といえば、ここ『やきとり屯』が、はじめてミニトマトに豚バラを巻いたトマト串発祥の店として知られています。ほかにも様々な巻き串があるので色々試してみたいです。
玉露茶割り(462円)
10種類ほどある酎ハイ類からなにか飲もうと思ったら、オススメは玉露茶割り。熊本県産茶葉を一部使用したポッカサッポロ 玉露入り茶(業務用)で割った、昔ながらの酒場お茶ハイの味です。
ポテトチーズ焼(550円)
サイドメニューが充実しているので、串だけでなくいろいろ食べたくなります。オーブン料理まであり、チーズをたっぷりつかったポテトチーズ焼は、ボリュームがあり満足感の高い一品です。
佳撰辛口 あさ開(495円)
日本酒の品揃えが充実しているのも忘れてはいけないポイントでしょう。喉越し爽やか、盛岡の風土を思い出しながら飲むとより美味しい一杯です。
ごちそうさま
北海道出身、屯田兵の精神で杉並・梅里で商売を開拓した大将の店『やきとり屯』。チェーン居酒屋で飲むのが当たり前になった現代ですが、こうした街に根付いた赤ちょうちんにこそ、「居場所」が感じられるのではないでしょうか。
近くの酒場
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | やきとり屯 |
住所 | 東京都杉並区梅里2-11-17 |
営業時間 | 営業時間 17:00~24:00 日曜営業 定休日 月曜日 |
開業時期 | 1980年 |