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高円寺は中野駅から1駅。新宿からもあっという間の立地なのに飲み屋さんは落ち着いた感じで、本当の飲兵衛の心を十二分に満たしてくれる、そんな銘店の多い場所です。
とくに串焼き系のお店は人気店が勢揃いという感じで、もつ焼きが食べたくなったら銘店たちの中から今日はどこに行こうと贅沢な悩みはつきません。
そんな高円寺で、2013年7月に新進気鋭の銘店が産声を上げました。その名は「いっぽ」。駅から徒歩4分と他の飲み屋さんよりはやや離れてちょっとした路地裏にあるのですが、そんな立地をもろともせずに繁盛している大名店です。
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緑の暖簾をくぐると笑顔で「いらっしゃいませー!」と来るのが気持ちがいいです。長めのカウンターにテーブル席が並びます。もつ焼き店ってカウンターだけのお店が多くて、テーブルがあっても狭くて落ち着かないことがありますが、ここは違います。ゆとりある配置で、グループで飲むのも安心です。
木の質感を活かしたつくりは、はやくも銘店のオーラ?こちらのご主人は脱サラ後に銘店で修行されたそうで、想いのつまった一号店としてここ高円寺で店を始めれたのだそうです。
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ここのビールはクオリティが高い!サッポロ黒ラベルの生ビールは入れ方次第で青天井に美味しくなるものだと思っています。
さぁ、いただきましょう。乾杯!
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グラスの洗浄、ビールの入れ方が素晴らしく、飲んだぶんに合わせてグラスに泡のラインが残っていきます。良いビールの証。
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こちらはもつ焼き店ですが料理の種類が多く、100種類はありそう。まずは酒場の王道ポテサラ(300円)から始めましょう。ポテサラはお店の特長が現れるのですが、なんとこちらはマカサラとのハイブリッド仕様なるものが。黒胡椒がアクセントになっていて、ビールとの相性が素晴らしい。
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もつ焼き店というと煮込みや漬物程度で、お刺身はあまり…なところが多いですが、こちらは「なめろう」なんて気の利いたメニューがあります。
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おまちかねの煮込みがやってきました。鍋にお豆腐が入った姿はインパクト十分。白味噌ベースで豚シロがたっぷり。臭みがなくスープ感覚ですいすいといけちゃいます。ビールが進む~。
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そして、なんといってもご主人の渾身の串焼き。炭火で丁寧に焼きあげるのに1本100円という価格設定に驚きます。カシラ味噌(左端)とスタミナ焼き(左から三本目)はぜひここで頼んで欲しいです。きっと、「あっ!」となりますから。
甘からの味噌タレを重ねづけして丁寧に焼く串は、焦げの部分は丁寧にはさみで切り落としながらじっくりと焼いていきます。「もつ焼きは火力は弱い方がいい、じっくり焼いてできるだけ表面の焦がさずに旨味を凝縮させます」と大将。
スタミナ焼きはニンニクと醤油が肉汁と混ざり、お腹いっぱいでもペロリと食べれます。
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入り口に宮崎本店のシャリキン認定の札がさがりますが、ここはキンミヤをシャーベット状にしたシャリキンと呼ばれる甲類焼酎を飲めるお店。せっかくですから、それもいただきませんと。梅エキス(といっても無果汁)は天羽の梅で、これをかき氷のシロップのようにしてかけていきます。冬場でも美味しいかき氷梅割りの完成です。
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サッポロラガービールの赤星は、回転する天体においてブレることなく軸の中心を導く目印”北極星”をあらわしています。もつ焼き屋の銘店探しも、私はこの星マークを目印にして探しています。
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大ぶりのつくね(200円)はまるでハンバーグのようにふっくらしていて、砕いたナンコツで食感に個性をだしています。またひとつ、何度でも通って食べたい”つくね”と出会えました。
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もつ焼きだけでなく、焼き鳥も種類豊富。それだけではありません。バーニャカウダやパテ・ド・カンパーニュ、アヒージョなどのサイドメニューもとにかく充実。ボトルワインはイエローテイルなどリーズナブルでそこそこ楽しめるワインが用意されているので、もつ焼き×ワインというオシャレな楽しみも。
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お店の方の明るく料理に対する熱意を感じますし、何よりそんなお店の人たちの気持ちが店全体を包み込んでいるようで、清潔で程よい明るさ、木目の暖かいつくりが実に心地いいです。
女子会、デート利用ももちろんあり。だけれど、やっぱりここは、我こそはもつ焼きマニアというような人に試してもらいたいです。毎日焼き鳥・もつ焼きを食べ歩いていますが、「いっぽ」は自信を持ってオススメできます。
こんなお店が昔から欲しかったんだ。乾杯のお酒はシャリキンホッピーから?それともあなたは赤星派?
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材協力/サッポロビール株式会社)
やきとん いっぽ
03-3316-3557
東京都杉並区高円寺南4-7-13 第二久万乃ビル
18:00~翌1:00(土日祝は17:00~・無休)
予算2,300円