鹿児島の人に、「天文館で活魚を食べるなら?」と聞けば、居酒屋『魚将さかなちゃん』の名が挙がります。創業は昭和51年。店は200席もある大箱ですが、一階のコの字カウンターの内側は生簀となっており、花板が立つ板場をステージのように眺めることができます。
目次
地元の人が通う活魚料理の店
外観
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漁師の家に生まれ、漁船の船上料理から料理人の道へと進んだという、魚のプロファッショナルの大将が開業した活魚料理の店。市場や漁港直送の活魚は店主の目利きで選んだもの。錦江湾から甑島まで、鹿児島各地の浜にあがった魚が楽しめます。
内観
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大きな店で宴会もできますが、一階正面のコの字カウンターが間違いなく特等席です。コの字といえば、内側は店主の空間ですが、『魚将さかなちゃん』では魚が泳いでいます。しかも、花形の魚が数匹泳ぐような飾りの生簀ではなく、活魚、活貝、活エビなどの食材のほとんどがここに入っているのですから驚きです。
そんな生簀の正面が板場で、花板さんが華麗な包丁さばきを披露しています。割烹着姿の女将さんの丁寧な接客もあり、天井の高さも相まって実に居心地のよい店です。
品書き
- 生ビール アサヒスーパードライ
- 瓶ビール アサヒスーパードライ・キリン一番搾り・キリンラガー
- 一どん(笠沙)・なまず(阿久根)・田倉(川辺)・晴耕雨讀(頴娃町)・園乃露(宮之城)など
- アコウ活け造り
- アジ活け造り
- オコゼ活け造り
- 伊勢海老
- 首折れサバ刺
- 地タコぶつ切り
- タチ焼
- 鱧湯引き
- メヒカリから揚げ
- 自家製からすみ
- サバ寿司:1,320円
ベテランの店ならではの安心感と安定感
キリンラガービール中瓶
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鹿児島各地から集められた焼酎が棚にずらりと並んでいて、しかも本場価格で東京よりもだいぶお手頃なので興味が向きますが、やはり居酒屋の一杯目はビールでしょう。
キリンラガーの中瓶をいただきました。それでは乾杯!
先付
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先付(お通し)から魚介類がでてくる店が好きです。つぶ貝煮の味がよく、これからの料理に期待が高まります。
天然真刺身(1,200円ほど)
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お造りは活造りや天然モノなど地物&鮮魚自慢揃いで非常に魅力的。とくに「アコウ」こと鹿児島の「キジハタ」の活け造りは大将イチオシの名物メニューです。
今回はそれほど予算があるわけでもないので手頃な真鯛を選びましたが、これが大正解。安定してこのクオリティを出せる店は鹿児島でもそうはないでしょう。
タチ焼(1,210円)
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太刀魚は肉厚でかなりの大物。脂がのっており、トロフワな食感と甘さ・コクが絶妙。腕のいい店こそ焼き魚を楽しみたい!
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そんな地魚を前にして焼酎を飲まないわけには行きません。珍しい焼酎が揃っていますが概ねお手頃価格。日本酒もいろいろありますが旅行者的にはやはり焼酎でしょう。
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こちらは芋焼酎の黒瀬(薩摩酒造)。首都圏で滅多に流通しない焼酎が手頃な価格なのはやはり嬉しいです。
キビナゴてんぷら(748円)
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きびなごはもちろん鮮度抜群のものが仕入れられています。刺身で出せるキラキラと輝くきびなごですが、あえて天ぷらというチョイスも。ハラの苦味もあってしみじみ美味しいです。
ごちそうさま
昔ながらのスタイルを保ちつつも、次の世代へしっかりとした鹿児島の鮮魚や郷土料理を伝えたている居酒屋です。なかなかこういうお店は地方にありませんが、ここはパリッとしていて実にいいです。
天文館の夜、魚が食べたい方は立ち寄ってみてはいかがでしょう。ひとり4,000円ほどでしっかり楽しめます。
近くのハシゴ先
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | 魚将さかなちゃん |
住所 | 鹿児島県鹿児島市樋之口町9-3 |
営業時間 | 営業時間 11:30~13:30(団体予約のみ) 17:00~22:30(LO22時) 日曜営業 定休日 毎週月曜日 |
開業時期 | 1976年 |