「錦灘酒造」 種麹菌の故郷を見に行こう、近代焼酎の父のもとへ

「錦灘酒造」 種麹菌の故郷を見に行こう、近代焼酎の父のもとへ

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乾杯のポータルサイト「Syupo」をご覧になっている皆さまならば、知らずして必ず恩恵を受けている「菌」があります。
全国で生産される乙類焼酎の8~9割で使われている麹菌は「河内菌」と呼ばれるもの。

明治のころ、日本酒用の酵母が焼酎の製造にも用いられていましたが、熱に弱く九州の気候にはあまり合わず、製造過程で腐ってしまったり、味もさほどよくなかったそうです。

それでは、なぜ九州、とくに鹿児島において現在のような焼酎王国として成長していったのでしょうか。

ここで登場するのがカビ学者の河内源一郎です。明治時代、大蔵省の熊本税務監督局の技師だった河内は、この歩留まりの悪い焼酎の生産を改善するために取り組んでいました。

酒は税の源泉。『歩留まりを改善する業務は国税を司る大蔵省の大切仕事』というのは、なるほどと理解できますね。
現在も、酒類については国税庁との深い関係が続いていますし、ある意味、日本の酒文化は酒税とともに成長してきたといっても過言ではないでしょう。

余談ながら、私の年間支払っている酒税は、所得税を上回ります(笑)

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河内は南国沖縄で作られている泡盛にヒントを得て、泡盛に使われている菌をもとに九州の焼酎を改善できないかと研究をはじめました。

1910年、泡盛菌を改良して焼酎に適した麹菌「泡盛黒麹菌」を作り出すことに成功し、生産利用は格段に向上したそうです。

その泡盛黒麹菌が突然変異をおこし、泡盛黒麹菌よりも原料の甘藷の分解力が高く、扱いも容易な菌が生まれ、それこそが現在多くの焼酎に使われている「河内白麹菌」となります。

その後、河内は大蔵省を退官し、この河内白麹菌の販売ビジネスを立ち上げ現在に至っています。

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いまではなくてはならない存在になった河内白麹菌は、高級でブランド力の高い銘柄から大衆焼酎まで幅広く使われ、私たちの毎日のお酒の元として使われ続けています。

その河内白麹菌を生産するのが「錦灘酒造」です。鹿児島空港からバスで数分の立地で、見学コースも用意されています。

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河内白麹菌が使われている各社の銘柄がずらりと並んでいるので焼酎好きにはたまらない空間です。

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酒造場の見学というと、その蔵で生産されている銘柄だけの世界になりますが、さすが麹菌の会社だけあって、そのラインナップはまるで焼酎博物館のよう。

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錦灘酒造そのものも焼酎やビールなどの生産を行っていますが、お客さんである焼酎メーカーとの競合がないよう、一般流通に流さないようになっているそうです。

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麹といえば、アルコールの原点とも言える物質。毎晩飲んでいるだけでなく、アカデミックなお酒との付き合いもよいものです。

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麹菌はこのような状態になって販売されているのですね。始めて実物を見ることが出来ました。

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九州といえば、前割りをした焼酎をジョカにいれ直火で温める独特なお湯割り文化をもっています。

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見学の後は、おまちどうさまでした。試飲会場です。

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麹菌はなにも焼酎をつくるだけのものではありません。マッコリや健康ドリンクなど様々なものに応用されていて、それらも試飲ができます。

(私は試飲ではなく、”本飲”でしたが…)

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麹はサツマイモ・麦・米などの穀物に麹菌を混ぜ合わせ、麹菌を繁殖させたもので、醸造・蒸留でつくられる清酒、焼酎、醤油や味噌などが製造されるときに経る工程である”発酵”の素になるもの。その麹の働きは人間にもいえ、取り込んだ栄養をエネルギーに変えるための分解効果があります。(錦灘酒造 二宮氏)

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同敷地内には霧島高原ビールの製造施設が併設されています。
規制緩和で全国登場したクラアトビールですが、鹿児島県の地ビールといえば、やはりこの銘柄でしょう。

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チェコのホップを使用し、糖化方法も「デコクション」と呼ばれる開放発酵をしているチェコ流のビール。
古典的な作り方で生産コストがかかる方法なのですが、こういう手間のかけ方こそクラフトビールの魅力でしょう。

何度も飲んだことがありますが、味がしっかりしている割に飲み飽きない不思議なビールです。

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敷地内にはチェコをイメージしたレストランがあります。テーマパークというよりは、しっかりとコンセプトが整ったアルコールのための空間という感じ。

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それにしても、鹿児島は9月になっても日差しが猛烈に強く暑い。そんなときはビールが一番ですね!
お店の名前はリトルプラハ。日本でも珍しいチェコ料理のお店だそう。

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料理は一般的なビヤホールの定番が多くありますが、こんな黒豚しゃぶとつき揚げが味わえる和食も用意されています。

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とにかく、敷地内にはビールが飲める施設と焼酎の試飲コーナーがいたるところにあります。

鹿児島空港から10分も経たずして大量のアルコールの洗礼を受けて、飲兵衛の私はにやけつづけています(笑)

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こちらは和食を中心に楽しめるお店。
焼酎がズラリと並んでいて、おつまみには主に黒豚やきびなごが揃っています。

 

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あ、これは角打ちですね!
お酒のテーマパークをあちこち巡っていますが、ここはそのなかでも一度は訪れてほしいと思う施設です。とくに焼酎好きの方は、コアな話題で盛り上がるもよし、鹿児島市街へ出る前の足慣らし(肝臓ならし?)でどっぷり飲むもよし。

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空港から送迎バスもあるので、鹿児島へ行くときはぜひ飲みに行くことをオススメしたいです。

 

今回の取材は、朝一番の飛行機で鹿児島空港へ、まだ午前中だというのにどっしり・しっかり飲んでしまいました。さて、次の旅程に響かないと良いのですが。(笑)

ごちそうさま。

 

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(取材・文・撮影/塩見なゆ)

 

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ディナー17:00~21:00(LO 20:00)

【リトルプラハレストラン】
(平日)11:00〜15:00
(火・土日祝日)11:00〜17:00

〒899-6404
鹿児島県霧島市溝辺町麓876-15
(鹿児島空港まで送迎可能)

 

(取材協力/九州旅客鉄道株式会社・鹿児島県・錦灘酒造株式会社・霧島高原ビール株式会社)