2018年のNHK大河ドラマのテーマが「西郷どん」に決まり、九州新幹線開業に続くビッグイベントに盛り上がりつつある街「鹿児島」。
明治維新150年を迎える年でもあり、西郷隆盛や大久保利通など明治維新に活躍した人が鹿児島出身ということも街の大きなアピールポイントになっています。
鹿児島中央駅も新幹線開業から続く改良工事も終わり、街の雰囲気は一層明るくにったように思います。歓楽街の天文館だけでなく、駅周辺で飲むのもとってもおすすめです。
例えばここ「みどりや食堂」はいかがでしょう。昼酒の基本は食堂飲み。旅先の食堂は観光名所にはないリアルな街の息遣いが感じられます。
店内は畳敷きの小上がりとテーブル席が広がり、天井も高く立派な建物です。ご主人は「ただ古いだけ」と苦笑いしますが、味わい深い空間はいいものです。
夕方、まだ多くの人が仕事をしている黄昏のときに、のんびり飲むお酒は、ちょっぴり非日常で贅沢な気分になります。
壁に貼られた豚・牛を中心としたメニュー。そこにきびなごやブリカマなどが加わり、鹿児島の食堂らしい顔ぶれを感じます。黒板メニューもいい味をだしていて、どれを頼もうかと悩んでしまいます。
何も飲まずに悩んでいると温かいお茶がでてきてしまうので、どうします?と聞かれたらとりあえずビール。鹿児島はアサヒが強いと聞きますが、古いお店にはキリンがしっかり根付いています。
しゅっとしたグラスに入る一番搾りで、静かに乾杯。
手元に品書きはなく、飲み物も含め店内に散りばめられた文字を探して注文する。大手チェーンには作れない「どれにしよう、なに飲もう」と考える楽しさがあります。
生ビール(キリン一番搾り)も瓶ビールも410円とリーズナブル。西日本限定の樽詰めチューハイ「きりんレモンハイ」は230円。焼酎のお湯割りはサービス価格でなんと120円!※期間限定ですが頻繁にサービスをやっているそうです。
ビールをチェイサーに、鹿児島に来たらやっぱり芋焼酎を。鹿児島飲兵衛人の日常は、芋焼酎のお湯割りとともに。じょかで飲む郷土料理的なものもありますが、一番大衆的な飲み方はこのように徳利に入れてくる飲み方。銘柄は黒伊佐錦。
“くろいさ”のお湯割りにはきびなご天を。こんなに盛られて480円です。いやはや、地元食堂の色気を出さない料理たちは素晴らしい。とり天や黒豚とんかつなど、畜産が盛んな地域らしいメニューも多く、お腹に余裕があればもっと色々食べ比べてみたい。気になる文字「肉煮つけ」は680円。はたしてどんな内容・そしてボリュームなのか。
豚汁も鹿児島名物のひとつで、京都の人が日常的に粕汁を液体オツマミにするのと同じように、こちらでは豚汁とお湯割りという組み合わせが酒場・食堂飲みのひとつの定番となっているようです。
瓶ビールは410円。※取材時は季節銘柄。普段はラガー(RL)とのこと。ゆったりと余裕のある、昔の銭湯のような空間に瓶ビール。画になる昭和の風景です。
創業から半世紀近くがたち、セピア色にそまった空間。観光客相手ではなく、地元のお父さんたちの昼酒や宴会、近くにある鹿児島大学などの学生の安くて満腹にになるお昼ごはんで親しまれてきた食堂です。
華やかな観光地や地元の歴史にふれたあとは、こういう空間にも浸ってみてはいかがでしょうか。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材協力/九州旅客鉄道株式会社)
みどりや食堂
099-254-4369
鹿児島県鹿児島市中央町21-21
11:30~21:00頃(不定休)
予算1,200円