枕崎「喜久家食堂」 本土最南端の駅前で飲もう。創業60年の老舗食堂。

枕崎「喜久家食堂」 本土最南端の駅前で飲もう。創業60年の老舗食堂。

今日は鹿児島は枕崎から、創業60余年の食堂「喜久家」をご紹介します。

地元食材にこだわる家庭料理の店で、お昼は黒豚をつかったカツ丼が人気。夜は浜の関係者など地元で働くお父さんたちの「いつもの店」となり、かつお料理などでもてなしてくれます。

漁師町の食堂でのんびりだらだらと飲んで、ほろ酔いで宿へと帰る。旅の一日の〆はやっぱりこうでなくちゃ。

 

枕崎へは、鹿児島中央駅からJR指宿枕崎線で2時間以上。途中、砂蒸し風呂などで知られる鹿児島湾の名湯・指宿で列車を乗り継いでいきます。

 

一両だけのローカル列車に揺られながら、缶ビール片手にのんびりと。車窓のハイライトは、開聞岳。別名薩摩富士。日本百名山に数えられる優雅な円錐状の山です。

 

JR指宿枕崎線の終着駅、枕崎。

 

ここは本土最南端の終着駅。駅員さんはいませんが、はるばる訪ねた気分に浸れる旅情あふれる駅舎です。

 

駅をでて、市中心部を歩くこと5分。立派な漁港が見えてきます。夕日に照らされた枕崎港…あぁ、焼酎が飲みたい。

 

全国有数のかつおの水揚げ量を誇る枕崎港。町の主要産業はもちろん漁業です。また、町中を歩いているとほのかにカツオだしのような香りが漂っているのですが、これは鰹節の加工場が市内にあるから。ますますお酒が飲みたくなります。

 

「喜久家食堂」は、そんな漁港のすぐそば。あまり人通りが多いとは言えない町中ですが、お店からはにぎやかななお客さんたちの声が聞こえてきます。夜、静かな街中を歩いていて、突然こういうお店に出会ってしまったなら、もちろん吸い込まれますよね。

 

乾杯は、焼酎で。飲み方で一番多いのはお湯割りとのこと。銘柄は地元のものを中心に、一升瓶でガラガラと揃っています。

 

芋らしい主張のある甘い香りがなんともいえない心地よさ。焼酎の目安が書かれたグラスですが、こちらではもちろん「ごきげんライン」を上回るような濃さで提供しています。

 

ビールは樽生がアサヒスーパードライ(500円)、瓶ビールは中ビン(550円)でアサヒスーパードライに加え、キリン一番搾りとキリンラガーも揃えています。酎ハイは400円。

 

夜も食堂メニューを注文することは可能。

 

町の活気を取り戻そうと、各飲食店で取り組む枕崎のご当地グルメ「枕崎鰹船人めし」。各店で漁師めしを考案し競っているそうです。

 

夜になればお父さんたちが集う酒場となるお店。ランチの郷土料理だけでなく、夜は黒板メニューも魅力的です。メジナにカンパチ、そして宗田鰹、黒豚もよいですね。

 

定番メニューにも地ダコやメヒカリの唐揚げや地鶏など、個性があります。人気のとんかつは、お酒のつまみには玉子とじ(700円)で食べられます。

 

選んだおつまみは、まぐろ納豆ならぬ鰹納豆(500円)と、おかべの揚出し(380円)。おかべとは豆腐のことで、店の定番メニューだそう。

 

九州らしい甘めの醤油でしっかり味を整え、自慢の枕崎鰹節をたっぷりふりかけたもの。大衆酒場の定番おつまみながら、シンプルに美味しく、風土を感じる一品です。

 

焼酎の間に、ちょっと休憩。小生(400円)をもらって、ほっとひといき。非常に細かな泡で、グラスやサーバーの状態もよく、とても美味しい一杯です。

 

これも大変にシンプルな料理。地元の皆さんは朝食に食べたり、家飲みの定番なのだと女将さん。脂ののった鰹の旨さを納豆が包み込み、コクのある味わいがたまりません。

近隣で最も古い飲み屋ということもあり、老若男女、地元の方が集うにぎやかなお店です。人懐こく、旅行者とわかればいろいろな観光情報を教えてくれるお店の皆さんもとても素敵です。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

喜久家食堂
0993-72-0377
鹿児島県枕崎市折口町8
18:00~22:00(ランチ営業あり・水定休)
予算2,000円