鹿児島グルメといえば、錦江湾のキビナゴ、カツオ、ブリなどの海の幸と、薩摩黒豚のとんかつが有名です。甘味といえば、ミルクみぞれのフルーツかき氷・白熊も外せませんね。
氷白熊の本家、天文館のむじゃきは鹿児島食べ歩きに欠かせないスポットです。午前11時の開店にあわせて多くの観光客や地元の白熊好きの常連さんで喫茶フロアが賑わいます。
え、今日は甘味の話題?と思われたそこのあなた、ご安心を。ちゃんとこのあと乾杯しますから(笑)
2011年の九州新幹線の前線開業で、観光・出張の拠点はすっかり鹿児島中央駅周辺に移ったような印象がありますが、まだまだ天文館の賑わいにはかないません。とくにグルメ旅であれば、天文館に行かずして南九州を食べたとはいえないくらい、立派な繁華街です。お昼間の天文館はいまいち活気は抑え気味ですが、夜はとにかくお祭り騒ぎです。
鹿児島市中心部を流れる甲突川を挟む駅と天文館。川のある街並みは散歩も楽しく、高頻度でやってくる鹿児島市電が170円で結んでいてとても便利です。川沿いには史跡も多数。路面電車から大久保利通像もみられます。
むじゃきは喫茶店の氷白熊ばかりが知られていますが、もとは1946年(昭和21年)創業の街の小さな食堂から始まります。食堂の品書きのひとつにあった氷白熊が名物になり、いまや鹿児島を代表するスイーツへとなりました。そして、もともと食堂だったむじゃきは、甘味が別の業態となりながら、地元では引き続き和食処の食堂として脈々と続いてきました。
一階でかき氷を食べている人たちを横目に、ノンベエは奥のエレベーターへ。
「お昼から、飲めます。お一人でも、宴会でも」の張り紙が力強い。
<一人でも>の表記の通り、立派なカウンターがあります。午前11時、もうこの雰囲気のなかに身をおいてしまう自分は大丈夫なのか。いや、お昼から飲むことこそ贅沢だ、と言い聞かせて。
目の前に花板さんがたつので、お刺身などの調理風景を見ることが出来きて、ちょっとした会話も楽しめます。まさにカウンター酒場。
鹿児島は歴史的背景からサッポロを応援する店舗が古いところを中心に多い。日本人の手で初めてビールを醸造した開拓使麦酒醸造所(現サッポロビール)を札幌に造らせた村橋久成が鹿児島の出身というのも大きい。
2018年は明治維新150年目を迎える節目の年。歴史の中に思いを馳せながら、乾杯はサッポロ黒ラベルで。少し真面目なことを書いていましたが、それはそれとして、ここの生ビールは状態が良くて大変美味。鹿児島でお昼に喉が渇いたら、かき氷を食べずにビールもおすすめしたい。
そんなことよりも焼酎だ!という方も多いそうで、お昼から飲めるメニューにずらりと地元の銘柄が並びます。
390円からとリーズナブル。白波はメジャーですから、ここはさつま小鶴なんていかがですか。
創業時が食堂だったむじゃき。いまでこそ喫茶店ではカフェメニューが並びますが、味処むじゃき亭のほうが昔の内容に近いと板前さん。うどん、そば、いなりにカツ丼。まさに食堂飯という感じ。黒豚料理や鶏焼き、きびなごなども当たり前にあるので、あえて観光客狙いの店に行くよりもよいかもしれません。※むじゃき亭は地元率が高い。
錦江湾の海の幸、春にかつおや飛魚にいさき、夏はきびなごに真ダコ、秋はサバやカジキ、冬はブリ。通年タイやヒラメも水揚げされる素晴らしき天然の養殖場。漬けかつおに舌鼓を打つ。
かつおには焼酎がイイ!芋焼酎をジョカと呼ばれる独特な酒器で直火で燗をつけ、トトトとそそいできゅっと飲む。
そんな魚をたくさん使った薩摩揚げは絶品。こちらでは”つけ揚げ”のほうが一般的な呼び名。軽くすっと揚げてホクホク、フワフワで磯の風味と魚の旨味がここちよい。
もちろん揚げたてなので、熱くてハフハフなります。そこにすかさずビールをぐっと飲む。もう幸せ、このためだけに天文館に来たくなります。いえ、湯どうふも食べたいし、ほかにも好きなお店がいっぱいありますが…(笑)
勢いで頼んだ氷白熊。甘味は専門外なのでなにも語りませんが、”あまくておしいかったです”。
ミニサイズがありますので、甘辛両方お好きな方は〆に白熊を頼まれてみるのも良いかもしれません。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材協力/九州旅客鉄道株式会社)
むじゃき亭
099-222-6904
鹿児島県鹿児島市千日町5-8 むじゃきビル 4F
11:00~22:00(15:00~17:00中休み・基本無休)
予算2,000円