店名は四股名が由来。元力士がはじめた焼とんとちゃんこ鍋の店『たかぎ山』は、鶴見の隠れた名店。カウンター10席の小さな空間は、一度座ると居心地バツグン。大将と大将のお母さんが二人三脚でもてなしてくれます。
目次
高城山、国技館から鶴見へ
居酒屋の大将は意外な経歴を持つ人が多く、その人が歩んできた道が店の味となり個性をつくります。今回ご紹介する店は、国技館の土俵で取組をしていた元相撲力士がはじめた酒場です。
相撲力士が引退後に飲食店をはじめることはよく聞きますが、定番はちゃんこ鍋料理店です。ですが、こちらは大将が立てば厨房の半分がうまるほどの小箱のやきとん(もつ焼き)店。大将との距離が近く、お店全体が一体感に包まれる楽しい空間です。
JR鶴見駅から鶴見線の高架沿いに5分ほど南へ。鶴見大学歯学部附属病院のすぐ近く、トタン張のレトロな建物が、目的の『たかぎ山』です。
高島部屋に入り、初土俵が平成15年11月、最終場所 平成20年5月と、約4年半を力士・高城山として過ごし、引退後は東京都中野区野方にある人気やきとん店『秋元屋』で4年間働いた憲人さん。
その後、お母さんとともに2018年、故郷・鶴見でやきとん店『たかぎ山』を開業しました。
品書き
秋元屋から独立する人は多く、いまや東京のやきとんで「秋元屋系」はひとつのジャンルとなっています。『たかぎ山』もその一軒ではありますが、相撲部屋時代に覚えた力士料理や、お母さんがつくるチヂミやチャンシャなどもあり個性的です。
お酒
- 生ビール(キリン一番搾り):550円
- ホッピー(ホッピー・黒ホッピー)セット:400円
- 自家製レモンサワー:400円
- バイスサワー:400円
- トマトハイ:400円
- 金宮コーヒー豆乳割:500円
料理
- やきとん おまかせ:5本(提供制限あり)700円・10本1,200円
- 白レバ:150円
- 鳥ハツ:150円
- 肉まき牡蠣:600円
- 低温調理ハラミユッケ・低温調理タンユッケ・低温調理レバ刺:各350円
- ポテトサラダ:400円(チャンジャのせ+100円)
- 自家製チャンジャ:400円
- ニラチヂミ:300円
キリン一番搾り生ビール(550円)
鶴見といえば、日本最大規模のビール工場「キリンビール横浜工場」が約1世紀操業してきた街。たかぎ山のビールももちろんキリンです。それでは一番搾りで乾杯!
限定天然本鮪中落ち(300円)
お店の公式SNSで告知される、裏メニューであり名物料理のひとつになっているのが「マグロ」。しかも、戸井産(北海道函館の有名なマグロ水揚げ港)など産地表記ありの天然本鮪なのですからびっくりです。
食べてみて2度目の驚き。骨のまわりのしっとりとして脂がのった絶品の部位。これが300円なのには、企業秘密のカラクリあり。売り切れ御免の一品なので食べられたらラッキーです。
ポテトサラダチャンジャのせ(500円)
串焼きが大将の担当で、サイドメニューはお母さんの手作り。ポテトサラダはよく茹でた柔らかい芋を荒めに潰したもの。マヨネーズは最小限にしているようで優しい味付けです。ここの女将さんの得意料理、チャンジャを載せて食べると、それはもうお酒が進む最高の酒の肴に大変身。
黒ホッピー(400円)
ビールのお次は、大将のお気に入りでもある甲類焼酎キンミヤ(宮崎本店)をベースにした黒ホッピーをチョイス。
焼き上がるやきとんを前に、焼酎濃いめの黒ホッピー。準備万端です。
やきとん・串焼き おまかせ10本(1,200円)
串焼き(やきとん)はコース形式となっており、大将のおまかせで10本でてきます。まずはレバーから。塩で焼いてごま油とネギをトッピング。プリプリとした食感と、鮮度の良さを感じる爽やかな味わいです。
つづいて、秋元屋系の定番でもあるカシラの味噌焼きを。コクのある甘い味噌タレに浸しつつ焼いていきます。
これこれ、この甘味。甘いタレで焼くもつ焼きとはまた違った美味しさがあります。
マグロの脂がのった部位も炭火焼きにする、なんて贅沢なのでしょう。脂が垂れて炭に当たることで煙が上がり、それが燻製のような風味を加えています。
食べごたえある大きさ、そして濃厚な旨さ。とろっとした白レバ(鶏レバー)。甘いタレとの相性がとてもよく、満足感の高い逸品です。
10本セットの最後は、豚バラです。豚バラのプリプリとした脂と甘い味噌タレは最高の組み合わせ。ガツンとくる脂を流すために、自然とホッピーが進みます。
ナカ・キンミヤ焼酎(250円)
ホッピーのナカ(焼酎)のおかわりで注ぐ量は、希望者にはサービスしてくれるそうで、こんなにたっぷり。(利用者の自己責任と各々の適量の範囲内で)
「これじゃあ、ホッピーが減らないよー」という嬉しい声が聞こえてきます。
本日のちゃんこ(日替わり)
力士料理の代表、ちゃんこ鍋もあります。もちろん専門店のように鍋がドーンとでてくるのではなく、お椀に取り分けたサイズですから、〆にもぴったり。内容は日替わりで、大将が相撲部屋時代に教わった本場の味が楽しめます。※取り扱いがない日もあります。
ごちそうさま
温厚で終始ニコニコと接客している素敵な大将。地元鶴見愛が強く、相撲のことも気軽に教えてくれる話し上手な方でもあります。
10席しかなく、しかも駅からやや離れているため、確実に飲みに行きたい場合は予約されることをオススメします。
その場に居合わせたお客さんたちとの一体感も店の魅力で、あっという間に時間が過ぎていきました。
近くの酒場
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | たかぎ山 |
住所 | 神奈川県横浜市鶴見区豊岡町4-10 ビンゴ 1F |
営業時間 | 営業時間 17:00~23:00(L.O.22:40) 定休日 水・日曜日 |
開業年 | 2018年 |
公式サイト |