川崎北口、ラゾーナ川崎を抜けた先にある『味よし』。住宅街にぽつんと佇む酒場ですが、店は連日、常連さんたちで満員御礼の賑わい。ベテラン大将が継ぎ足し続けたタレをつけて焼く焼鳥や、女将さんの唐揚げなどの手料理が人気です。
目次
酒場に求める「あたたかさ」がここにある
川崎はJR川崎駅南口や京急川崎駅周辺に巨大な歓楽街が広がっています。インフラや工場、公的機関など24時間稼働する職場で働く人々が夜勤明けで集う昼酒処も多く、そうした独特な雰囲気が川崎の魅力ともなっています。
対する川崎駅の北西側はかつて広大な工場「東芝川崎事業所」があったため、2000年ころまで北口の駅舎前には東芝以外何もありませんでした。
その後跡地は再開発され、現在はラゾーナ川崎として川崎のあらたなショッピングエリアに生まれ変わりました。さて、今回目的の酒場はさらにその先です。いまはラゾーナ川崎の中を抜けていけるので便利になりました。きっと工場全盛期には工場作業員で溢れていただろう立地にあります。
店構え
ご主人が焼き台に立ち、女将さんが刺身や揚げ物を担当。お姉さんたちがお酒や配膳を行う、パパ&ママショップです。
何十年と続けていた店ならではの熱量を感じる佇まいに誘われ、店内へ。
店は奥へ長く、厨房に向いたL字カウンターは馴染み客という雰囲気の人々で埋まっています。
品書きが目立つ黄色の短冊、カウンターの飴色、タバコの煙や油、焼鳥の煙で燻された壁紙やポスター。樹木の年輪のように、酒場にも人の暮らしが年輪として積み重なっているように感じます。
乾杯は「アサヒマルエフ」か「サッポロ黒ラベル」
まずはビールで準備運動を。
樽生は珍しくアサヒとサッポロの2社揃え。アサヒはマルエフこと「アサヒ生ビール」、サッポロは「サッポロ生ビール黒ラベル」です。
どちらから飲みましょうか。それでは乾杯。
品書き
飲み物
ビールは、アサヒ生ビール、サッポロ黒ラベル(各中ジョッキ594円)、瓶はアサヒスーパードライ(大びん660円)、キリンラガー(大びん660円)。
料理
料理は厨房の棚にずらりと貼られた短冊と手元のメニューで確認します。お刺身などは貼られている情報しかない場合もあるので、隅々まで要チェック。
赤身本まぐろサシ(660円)、かんぱちサシ(550円)、真ダコ(418円)など。
串焼き
スタミナ焼き(153円)、ひな肉(132円)、つくね(110円)、手羽先(121円)、霜降り和牛の串焼き(440円)など。
揚げ物・魚料理
牛肉コロッケ(6個440円)、鳥のからあげ(440円)、まぐろのみそ漬け焼き(330円)など。
料理は50種類以上。品数の多さは店の優しさです。通うお客さんも多いですから、品数も重要なポイントのようです。
魚も串焼きも惣菜も
おいしいおから(330円)
「おいしいおから」という名前の一皿。文字通り、素朴ながら出汁が効いたおいしい料理です。
はまちサシ(550円)
焼鳥屋ですからご主人はひっきりなしに串を焼き続けていますが、女将さんはというと、こちらはまるで別の酒場のように、刺身に炒め物にと忙しくされています。
刺身は種類が多く値段も手頃で、串の前に頼む人が多いようです。
スタミナ、つくね、とりかわ
なんといっても、ここはタレが美味しいです。十分に育ったタレのコク深さは、ちょっとやそっとでは作れない味です。
グーンと脳裏に残るようなタレと、「スタミナ焼き」という名のニンニクを挟んだ串が抜群に美味しいです。
やげん(121円)
部位が多くて、あれもこれもと頼みたくなります。串は1本単位で注文できます。
黒ホッピー(462円)
氷なし、ソトとナカをわけたものではなく、予め注いで提供されるホッピー。飲み心地がいいと評判です。
豆乳ハイとレモンハイ(酎ハイ類は385円~)
酎ハイ類の種類の多さは魅力的です。製氷機の氷ではないゴツゴツとした氷をそれほど入れていないのも嬉しいポイント。焼酎は濃い目です。
鳥のからあげ(440円)
常連さんが次々と注文する「鳥のからあげ」。注文がはいる度に、漬け込んだ鶏肉を専用の粉がはいった容器の中でぐるぐるとまぶし、使い込んだ天ぷら鍋のキレイな油で豪快に揚げていきます。これは女将さんの担当です。
揚げたてサクサク、ニンニクが効いた旨味の強い味付けもクセになります。
カウンターに座っていると、店の皆さんのチームワークの良さにきっと驚くはず。阿吽の呼吸とはまさにこのこと、家族で次々とお客さんが求めるものを作り上げていきます。
そんな様子もお酒のおつまみです。ここは穴場のいい酒場。ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | 味よし |
住所 | 神奈川県川崎市幸区中幸町3丁目14 |
営業時間 | 16:30~22:30(水および第3火定休) |