福井『喜多亭』朝酒は卸売市場で!超豪快、丼ぶりの8割刺身の海鮮丼

福井『喜多亭』朝酒は卸売市場で!超豪快、丼ぶりの8割刺身の海鮮丼

2021年12月12日

丼の8割が魚介類!比率が逆転した海鮮丼を食べさせてくれる店『喜多亭』は、福井市場の中。朝5時から関係者で賑わう本物の市場食堂。仕事終わりの人に混じって、朝酒を楽しみましょう。

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魚が美味しい街は、早起きして市場へ

旅先、出張先の夜は宿に籠もってなどいられません。地域色あふれる飲み屋街を目一杯に楽しみたいものです。飲み歩きはその日だけに留まりません。翌朝も目指したい場所があります。主要都市ならば中央卸売市場などが、港町では漁協などが設置する漁港市場があり、施設内や周囲には総じて食堂があるものです。

市場併設の食堂は、深夜から早朝に働く市場・水産・物流関係者向けに朝からやっていますし、午前中からお酒を飲む人がいるため、朝酒が楽しめる定番スポットでもあります。

今回はそんな市場の朝酒を、2023年度の北陸新幹線開通で湧く福井市で満喫しました。

JR福井駅

東京から新幹線と在来線を乗り継ぎ、3時間15分の福井。北陸新幹線が延伸開通すると2時間台で到達(JRTT資料より)できるようになります。

2015年の北陸新幹線金沢延伸時、金沢が多くの想定を上回るビジネス・観光での来訪者で賑わったように、福井も新幹線効果が期待されています。

駅周辺の再開発は一段落し、恐竜ミュージアムさながらに動き吠える実物大恐竜(フクイサウルスなど)モニュメントが駅前に鎮座しています。

福井市中央卸売市場へ

市場までは、福井駅から路線バスで30分。バスが便利なので、中心街からやや離れているものの気になりません。

卸売市場法に基づき福井市が開設した中央卸売市場ですので、いわゆるおさかな市場的な観光用の雰囲気はありません。むしろ物流センターという表現のほうがあてはまります。

そうした市場内は一部が一般向けに開放されており、「ふくい鮮いちば」として営業しています。利用者の多くは近隣住民の方のようです。

全国の市場では、食堂棟や関連棟のような名称で呼ばれていることが多いです。小売向けですが、飲食店など少量の仕入れに訪れるプロの姿も多く見られます。

働く人の市場食堂『喜多亭』

外観

同エリアには7軒の飲食店があり、ご紹介する『喜多亭』もそのひとつ。

以前入居していた老舗食堂から引き継ぐかたちで、2016年にオープンしたお店です。長年飲食業界に携わってきたご主人と女将さんが切り盛りする家族経営の食堂です。

雑多な雰囲気、午前中の爽やかな日光が差し込む店内。市場の食堂は独特なムードがあり、朝酒特有の後ろめたさを打ち消します。

乾杯は瓶ビール「キリンラガー大瓶」

活気ある店内。厨房に向いたカウンターの席は、ジャンバー姿や長靴をはいた働く人達で賑わっています。テーブル席には家族連れの姿もあります。

お茶の用意を頂く前にすかさずビールをお願いし、ビアタンを勢いよく満たして乾杯。

品書き

飲み物

瓶ビール、日本酒、ハイボールなど。

丼・定食

海鮮丼(1,400円)、まかない丼(1,100円)、日替わり定食(1,000円)、刺身定食(1,200円)、朝定食(800円)など。福井名物でもある甘海老などをのせたえび丼(1,000円)も気になります。※土曜日限定

期間限定で、ズワイガニ丼(時価)、せいこ丼(時価)など。

単品はプラス一品のおかずとしてだけでなく、酒の肴としても魅力的です。すじ煮(500円)、しめ鯖(500円)、煮バイ貝(350円)など。取材時は黒板メニューでサザエ煮(700円)やあなご天(600円)もありました。

鮮度・盛り・内容、どれもずば抜けている海鮮丼

小鉢を摘んでいる間に、目の前ではこれでもかと魚が盛られていきます。

海鮮丼(1,400円)

思わずのけぞるほどインパクトがある海鮮丼。女将さんの優しい表情とは裏腹に、「これでもか」という豪快さに驚きを隠せません。

ひげがピンとした鮮度抜群の甘海老に、蟹脚、いくら、まぐろ赤身、まぐろトロ、まぐろすき身、ぶり、鯛、タチウオ、カツオ、タコ、イカなど、15品目ほどがずっしりと深い丼の底のほうまで入っています。

丼ぶりものといえば、当然ごはんが具材より多いものですが、『喜多亭』では逆転しています。

たま醤油

ごはんは酢飯ではありません。とはいえ、ほとんどがお刺身なので味付けの主役は醤油になります。そんな醤油は、大手銘柄ではなくご当地・福井で300年続く醤油蔵・山さきやの「たま醤油」です。

かつお

具材は季節や仕入れ次第でかわります。秋口の取材では、脂ののったカツオも入っていました。日本海でカツオといえば「迷い鰹」でしょうか。

切り身がどれも分厚く口いっぱいに頬張ることになります。

丼ぶりの上をかきわけると、さらに下から新たな刺身が発掘されます。何層にもなった丼ぶりは、もはや刺盛りといったところ。ビールや日本酒が進むことは言うまでもありません。

タコ

まだまだでてくる、新たな魚介。甘海老も有頭ではないものがたくさんでてきました。これだけで、エビ丼になりそうですし、カニ身だけで十分カニ丼と呼べるほどです。

全国の市場で海鮮丼を食べてきましたが、福井の『喜多亭』は抜きん出たボリュームと魚種の多さです。お刺身で朝からお腹いっぱい。ビールも進みました。

駅周辺のお店とはまた違ったダイナミックな魅力がある市場の朝酒です。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名喜多亭食堂
住所福井県福井市大和田1-1 福井市中央卸売市場
営業時間5:00~14:30(水日祝定休)
開業年2016年