桜木町『新京』野毛で約70年！街の変化を見続けてきた店も世代交代

野毛で約70年。安くて家庭的、カウンター飲みから座敷で宴会まで幅広く使える「新京（しんきょう）」。名物女将から息子さんに世代交代し、さらにパワフルになりました。

個性豊かで魅力的な店が集まる、神奈川県最大の飲み屋街「野毛」。この街ははしご酒を楽しむ人が多く、日常にあっては夜遅くまで人通りが絶えません。

話題の立ち飲み、行列ができる焼鳥店など、人気店をめぐるのも楽しい。でもそれだけで満足してはもったいないです。落ち着きある昔ながらの大衆居酒屋で飲むのも野毛の楽しさのひとつだと思います。

「新京」は、まだみなとみらいが三菱の造船所だった頃から続く老舗酒場です。昭和20年代にはじまり、桜木町・野毛の移り変わりを見続けてきたお店。

ちょっぴりディープで楽しい酒場

入り口はコンパクトですが、意外と中は広い。入ってすぐに調理場に向いたカウンター席があり、その後ろにテーブル席、奥は座敷になっています。さらに二階があり、料理やお酒を運ぶのはお客さんも手伝うような、ちょっとしたマニア心をくすぐるような雰囲気です。

名物女将の手料理の様子を眺めて飲む一人飲みのカウンターは、「あぁ、酒場っていいな」と感じさせてくれます。複数人での飲み会にも対応してくれるのもありがたいところ。

いまは息子さんが中心となって店を切り盛りされており、カウンターなどもリニューアルされました。

横浜のビール、キリンビールで乾杯！

貴重なナショナルメーカーの熱処理麦酒、キリンクラシックラガー。

「新京」は野毛の座れるお店の中ではとびきり安かったです。今でも嬉しいこの価格。たくさん飲む人に優しいです。

瓶ビール大瓶（キリンクラシックラガー）は550円、サワー類は300円。緑茶割りは昔から濁った抹茶割り風でおすすめです。定番酒は白鶴として、地酒もよく揃えられています。

料理の顔ぶれも「新京」を訪ねたくなる理由の一つ。刺身や珍味が多く、酒場でおなじみの茶色系も充実しています。あまりソートされていない品書きと、そのフォントも素敵。値段はお酒同様に良心価格で300円が中心です。ホタテ刺身や地ダコ刺しも350円。

餃子（300円）やハムカツ（300円）をよく頼みました。飛び抜けた高級品は、1,000円の特製かに玉。

ほっこりとした酒場料理の数々。ボリュームもちょうどよく、数人ならば安心して色々と注文できます。

ちびちびつまみたい料理が豊富です。

昔から、お刺身の品揃えが豊富でした。代替わりして、日本酒も強化されますますパワーアップしたように思います。

くじら料理は新京のロングセラー。10年数年前にはじめて新京で飲んだとき、カウンターで隣り合った年配の常連さんから新京のくじらは旨い！と教わりました。それ以来、毎回注文するようになりました。

最近は酒場タウンとして定着し週末になると若い酒場好きの方が大勢訪れる野毛。そんなこのまちにも、まだまだ昔の雰囲気を残すいいお店があります。

ごちそうさま。

（取材・文・撮影／塩見なゆ）