恵庭で評判の居酒屋「漁川」。近所の有力スーパーマーケット「うおはん」の直営店です。大量仕入れにより実現する安く豊富な品ぞろえは非常に魅力的。居酒屋好きを唸らす立派なカウンターも注目です。
漁川とは北海道恵庭市を流れる石狩川系・千歳川の支流である河川の名前。運営は恵庭市にある地元で人気の大型スーパー「うおはん」を運営する株式会社魚はんで、全国的にも珍しいスーパーマーケット直営の海鮮居酒屋です。
店は大きく立派ですが、いわゆる創作和食ダイニング寄りではなく、ぱりっとした大衆割烹のような趣があります。恵庭では評判の店の一軒として、一人客から家族連れ、職場の宴会まで、この街の人々が集う定番のお店のようです。
目次
立派なカウンターとショーケースに惹かれます
ここはJR恵庭駅。札幌通勤圏の一部で、新千歳空港を結ぶ快速列車も停車する主要駅です。空港まではわずか13分ほど。夜のフライトであれば、晩酌は札幌市内ではなく、あえて恵庭で途中下車して、この街で飲んでみるというのもおすすめです。
JR恵庭駅から駅前通りを5分ほど歩くと、木々に囲まれた立派な店舗が見えてきます。ここが漁川。お店がある栄恵町がこの街の中心街で、ほかにも20軒ほど飲食店があります。
立派な玄関の二重の扉を抜けると、10m近くある立派なカウンター席が目に飛び込んできます。
板前さんが立つ調理場に向いた贅沢なつくりで、冷蔵ケースには今日の魚介類がずらりと揃えられています。無垢板でつくられた立派なカウンターは奥行きがあり、座ると実に落ち着くつくりです。
入れ込み座敷は掘りごたつで、これまた広く作られています。加えて二階に宴会用の座敷があります。窓は大きく換気も十分。
恵庭で飲む、恵庭のビール
落ち着いたところで、さっそく生ビールをお願いしました。恵庭はサッポロビール北海道工場がある街で、ここで提供されるサッポロクラシックは当然・恵庭産です。
それでは乾杯!
敷き紙があるカウンターで飲むのは久しぶり。高級なのかと気になるところですが、生ビールは1杯380円(取材時は税抜表記・以下税抜)と、むしろ安いくらい。
お通しは日替わりで、今日はサンマの甘露煮など。
品書き
北海道らしさあふれるお酒の顔ぶれ
気になるメニューがこちら。樽生ビール、瓶ビールともにサッポロクラシック(中びん500円)。サワー類は400円均一で、夕張メロンサワーやリボンナポリンサワー、ハイカップサワーなど、北海道らしい内容です。
甲類(甲類乙類混和)で、旭川生まれの鍛高譚、サッポロビール社の焼酎トライアングルを置いています。
日本酒の充実ぶりも漁川の魅力です。上川大雪のような流行の銘柄から、ファンの多い國稀、定番の男山まで様々。
料理は100種類近い
つづいて料理をご紹介。品数が多くて迷ってしまいます。これもスーパーが母体がなせる技なのでしょうか。
まずは差し込みのおすすめ。刺身は板前さんと相談しながら決めるとして、焼き物なども非常に悩むところです。
ズワイガニ、たらばがに、カキフライに銀ガレイ。鶏の半身揚げやホエイ豚のスペアリブなど、肉料理も見逃せない内容です。
ここからは定番料理。まずはお刺身から。固定のメニューにこれだけお刺身が書かれているのはすごいこと。ひがわり入れて15品前後は常にあるそうです。
苫小牧が最多水揚げを誇るホッキ貝(550円)、北海道の貝の王様・帆立貝(550円)、牡丹海老や雲丹も定番とは恐れ入ります。
しまほっけにナメタガレイ、宗八鰈に穴子焼きなど、焼き物も多い。焼鳥(豚のやきとり含む)も豊富です。
一品料理はバター料理というのも北海道らしくて素敵です。函館風じゃがバター(580円)とは、ジャガバターに塩辛をのせた北海道ではおなじみの食べ方のこと。
ここにきて肉料理の項目が登場。生ラムは陶板焼き(680円)で。ザンギもいろいろあります。
悩んでいるうちにビールが空いてしまいました。千歳鶴(500円)の冷酒を1合。落ち着いた空間で、無垢のカウンターで飲むお酒は格別です。
お刺身5種盛り1,380円
道内産のホタテ、カンパチ、鯛、甘海老、鮭、マグロを盛り付けた、ちょっぴりサービスのお刺身盛り合わせの登場です。長年和食一筋という職人さんの包丁裁きが光ります。
生冷タラバ焼き(1,600円)
今回の渡道で一度も蟹を食べていなかったので、ここはひとつ奮発してと。太い脚を選んでもらって、じっくり焼いてもらいました。
鍛高譚
しそ焼酎の鍛高譚は、実は北海道のお酒。北海道白糠町のしそが実際に使われています。さっぱりとしていて、料理の間の一息つく時間にちょうどいい一杯です。
八角焼き(550円)
それほどお腹にためず、しっかりお酒を誘うご当地料理は…と相談したところ、おすすめ頂いたのがこの八角焼味噌田楽。
ろばた焼きなどで、よく開きの巨大な八角にたっぷりの味噌やネギを載せたものを想像し、それは多すぎると思っていましたが、こちらは小樽などでとれた小ぶりな八角にたっぷり塗った、ちびりとつまむ系の逸品でした。
深い味噌の甘さと八角のコクの強い脂の旨味がたまりません。
お酒も珍しいものがあるとのことで、お願いしたのは余市産のぶどう「ナイアガラ」の果汁と、同ぶどうからつくったぶどうスピリッツをあわせてつくったご当地系クラフトチューハイです。発売は宝酒造ながら、北海道限定で発売しているもの。香り高くぶどうのコクも感じられる味わいです。
積丹産あんこう鍋(一人前では1,500円)
一人なので普通の1品は食べきれないから…ということで出してくれた、お椀のあんこう鍋。よくあんきもと味噌をあわせてあり、実にいい味になっています。
それにしても、北海道各地の港から、複数の海の幸を集めたすごいお店です。一人客でもいろいろ食べられるようにしてくれて、だいたい3,000円くらいを目安に利用できますし、人数が多ければ、もっと多種多様な北海道を味わうことができそうです。
お店はやや寿司割烹風のつくりではあるものの特に寿司店というわけではありませんがお寿司もあり、〆に人気なのだそう。
近所のビールメーカーにお勤めの方もよく飲みに来るという、地元密着で不思議な魅力で満ちた一軒。
恵庭の街やビール庭園にお越しの際は、立ち寄られてみてはいかがですか。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | 漁川 |
住所 | 北海道恵庭市栄恵町63-1 |
営業時間 | 営業時間 日曜営業 定休日 水曜日 |