名古屋『珍串』1971年創業、味噌串かつが絶品。改札2分で昼飲み歓迎

名古屋『珍串』1971年創業、味噌串かつが絶品。改札2分で昼飲み歓迎

2022年12月13日

地下街エスカで最古の居酒屋『珍串』。お昼から夜まで通しで営業し、さらに基本的に無休。いつでもやっているこの店の串カツは絶品で、とくに辛口の味噌ダレは唯一無二の美味しさ。でも、一番の人気の理由は大将の人柄でしょう。

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地下街のコの字酒場として半世紀

外観

いまでこそ名古屋名物の飲食店が多く集まる名古屋「新幹線地下街エスカ」ですが、十数年前は味噌煮込みうどん、きしめん、中京ローカルのラーメンチェーンなどの麺類しかなかった気がします。いまは出張者や会社帰りの人々で賑わう飲み屋街の雰囲気もでており、以前より賑やかに感じます。

地下街の歴史は古く竣工は1971年。名鉄などの地元資本や名古屋市の出資でつくられました。当時から続く店は少なくなっていますが、串揚げ居酒屋の『珍串』は、数軒ある竣工当初から続いてきた店のひとつです。地下街のテナントとはいえ、創業から50余年。立派な老舗と言えます。

客層も店の歴史の分だけ落ち着いており、通いなれた人たちばかり。だからといって一見さんが入りにくい雰囲気は皆無で、そこは地下街商業施設の良さとも言えます。

内観

巨大ターミナル・名古屋駅の新幹線改札から徒歩2分の場所にあって、一歩『珍串』に入ると、コの字カウンターを中央に配した典型的な酒場スタイルであることに驚くはずです。

まだお昼過ぎだというのに、ランチを食べている人の合間にいい具合に出来上がった飲兵衛さんの姿もちらほら。

大将は以前『珍串』にお酒を納品する酒類卸に勤めていた方で、先代から店を引き継ぎました。現在は、ご夫婦で老舗暖簾を守っています。

暖簾に菊が描かれているのは灘の酒蔵・菊正宗の推しているお店だから。定番酒から季節銘柄まで菊正宗が複数揃っています。店のオススメといえば、ビールはサッポロ専売なのも特長のひとつ。サッポロビールにお勤めの方が、仕事だけでなくプライベートでも飲みに来るそうです。

品書き

ビールは樽生がサッポロ生ビール黒ラベル大ジョッキ:990円、中ジョッキ:770円と、サッポロヱビスプレミアムブラック グラス:490円。瓶ビールはサッポロラガー大瓶:820円、サッポロヱビス中瓶:750円。

日本酒は菊正宗330ml:770円、菊正宗生酒300ml:990円など。

本格焼酎各種:440円、レモンチューハイ:550円、ワイン赤・白360ml:1,210円など。

料理

味噌かつ:1,050円、串かつ盛り合6本:1,080円、揚げ物盛り合わせ:1,360円、エビフライ1尾:605円、焼き物盛り合わせ4本:750円、手羽先3本:605円、どて煮(牛):880円、ゲソ唐揚げ:605円など。

加えてホワイトボードで、まぐろ赤身:850円、イワシフライ:400円、生サンマ塩焼:850円など。

定食は味噌かつ定食:1,070円、串かつ定食:1,070円、カキフライ定食(日替わり):900円、サービスランチ ミックス定食:850円など。

味よし、雰囲気よし、利便性よし!

サッポロ生ビール黒ラベル(770円) 

改札を抜けて数分。電車で乾いた喉を潤すには、やっぱり生ビールでしょう。たっぷりはいる中ジョッキに注がれました。それでは乾杯!

お通しは日替わり。この日は揚げナスに肉味噌かけでした。八丁味噌味で、名古屋に来たことを味覚でも感じました。

串かつ盛り合わせ6本(1,080円)

看板メニューは『珍串』だけに、もちろん串揚げです。

注文すると大将が手際よく調理をはじめます。オープンキッチンのカウンターですから、調理風景がすべて見えます。まるで舞台を楽しんでいる気分。冷凍ものは一切使用していません。

豚・ねぎま・エビ・うずら、玉ねぎ、ナスの6本盛り。たっぷりのキャベツやパプリカを敷いた贅沢な内容です。

一人利用の昼飲みならば、これで十分満足できるボリュームでしょう。盛り付けも美しく、ベテラン大将の技が光っています。

パリッと仕上がったきつね色の衣が美しいです。そして、ここは名古屋ですから味噌ダレが用意されます。では、いただきましょう。ピタッと浸して…

一口。うん!味噌タレって甘く濃いイメージがありましたが、第一印象は控えめでマイルドな味噌味。それだけにエビや豚の旨味がかき消されず、むしろ引き出してくれる印象です。まるで洋食のソースのようです。

大将によると、どて煮など味噌を使う料理は多いですが、それぞれ甘さ、辛さを変えていると教えてくれました。話し好きの方で、次々お店のこだわりを教えてくれます。

サッポロラガービール大瓶(820円)

生ビールを飲み干したら、次はサッポロラガー。ビヤタンでちびりと飲みつつ、お客さんや大将と話をしていると、ここが名古屋駅前の地下街だということを忘れてしまいます。

焼きナスを頂きました。大きくてみずみずしい。野菜にも思い入れがあるそうで、確かに味が濃く、焼いただけなのに実にいい味です。

「ここのハムカツは一度食べてみて!分厚くて驚くから」と教えてくれたのは、お隣の常連さん。ランチタイムはすっかり過ぎていて、14時頃の店内は大将を含めてビールを飲んでいる人ばかり。お昼から飲んでいる人同士、自然と仲良くなります。

おすそ分けいただいたハムカツは、まるでトンカツのようでした。

菊正宗上撰300ml:770円

愉快な大将との楽しいひとときに、はしご酒好きの筆者もすっかり椅子に深く座ってしまいました。

スマートフォンできっぷを乗車変更。旅程を1時間繰り下げ、本格的に飲み始めることに――。菊正宗の上撰300mlを常温でカシュっとあけたら、時間がすぎるのはあっという間。

そろそろ電車に乗らないと次の予定に遅れてしまいます。珍串でお昼飲みをすると、すぐに夕方になってしまいます。

ごちそうさま。

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(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名串揚げ 珍串
住所愛知県名古屋市中村区椿町6−9エスカ地下街
営業時間営業時間
10:30~22:00(L.O.21:30)
日曜営業
定休日
1月1日(元旦)/2月第3木曜日/9月第2木曜日
開業年1971年