大正元年創業。「中位に栄えれば良い」が店名の由来である『中栄』は、豊洲市場で働く人のオアシスです。手作りにこだわる「印度カレー」は、インドと名乗っていて典型的な日本のカレーで、キリン一番搾りと相性ぴったり。早朝に豊洲へ行ったら、カレーという選択はいかがですか。
目次
市場関係者が1世紀通い続けてきたカレー店
時刻は午前4時30分。今日は市場の取材で豊洲市場に来ています。都心とはいえ、銀座も豊洲も真っ暗ですが、豊洲市場だけは活気に満ちています。いざ、スウェット、パーカー、長靴で場内へ。※取材のため、市場関係者の案内で特別に入場しています。
水産仲卸売場棟の一階は、建物の名称の通りいくつもの仲卸が集まる、巨大な魚売り場です。
まだ5時前だというのに日中のような賑わい。まるで縁日のようですが、これが毎日繰り広げられているのですから驚きます。手鉤で100kg超の大物(マグロなど)を持ち上げたり、重たいトロ箱を移動したりと大変な重労働です。世界中から集まる魚を安定した品質・価格で食べることができるのは市場の皆さんのおかげ。感謝しかありません。
3時間ほど場内でカメラ片手に仲卸さんに密着させてもらったところで、お腹が空いてきました。そうだ、こんなときこそ、あの店です。水産仲卸エリアの真上にある3階・関連飲食店フロアへ移動しましょう。
あの店とは、『中栄』。市場関係者が代々通い続けている名店。日本橋魚河岸で創業し、築地市場を経て豊洲にやってきた魚河岸の職域食堂です。創業1912年(大正元年)。
インバウンドや遠方から食べに来た観光客で賑わう場内の寿司店とは異なり、こちらは市場関係者の割合が半数以上。市場関係者は顔なじみが多いようで、着席する前から盛り付けが始まります。作業着・ウインドブレーカー・パーカー姿の人たちがサッと平らげていく姿はカッコいい!
品書き
お酒
キリン一番搾り小瓶:300円のみ。
料理
炙りチャーシュー:400円、合がけ(カレーやハヤシを2種類選べる):800円、印度カレー:700円、ビーフカレー:700円、ハヤシライス:700円、築地魚河岸シーフードカレー(紅ズワイガニ、エビ、ホタテ、イカ、アサリなど):1,200円など。
働いたあとのカレーとビールは「癒やし」そのもの
キリン一番搾り小瓶(300円)
エネルギーチャージに来る人だけではありません。仕事終わりにやってくる関係者は、慣れた手付きでキリン一番搾りの小瓶を傾け、注いだビールをキュッと喉に流しています。
今日の私は取材とはいえ、場内で仕事をした身。いまなら市場の皆さんの気分を体験できると思い、キリン一番搾りを1本。それでは乾杯!
うーん!早朝から働いた後のビールは最高です。
合がけ(800円)
カレーは注文して1分以内にでてきます。さすが市場、何もかも仕事が早いです。
注文したのは、「合がけ」という二種類のカレーやハヤシが楽しめる「ハーフ&ハーフ」です。真ん中のご飯が塞き止めています。定番の印度カレーとハヤシライスをチョイスしました。
印度カレーと言いつつ、お馴染みの日本的なポークカレーで、玉ねぎの旨味がしっかり。食べあきません。チャキチャキな市場の皆さんが好物にしているのが甘く優しいカレーというのは、なんだか素敵な話です。
中央にキャベツの山があるのが中栄スタイル。築地市場時代にキャベツは常連さんが考案したものだと聞きました。ビールとキャベツカレーという組み合わせに癒やされます。
ハヤシライスはコクがあり濃厚な美味しさ。ボリュームあるご飯もどんどん減っていきます。
特製目玉焼き切り落としチャーシュートッピング(+100円)
トッピングを追加すると、より「カレーのアタマ飲み」気分が盛り上がります。100円で目玉焼きとチャーシュー切り落としが載るのでオススメ!
セリ場や仲卸の売り場は魚の鮮度を守るためにかなり冷えています。長靴を履いていても足の裏からジワジワと寒さが体を包みました。そんな「冷蔵庫」から外の世界へ戻ってきて食べるカレーとビールは、もう最高でした。
ごちそうさま。
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(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | 印度カレー中栄 |
住所 | 東京都江東区豊洲6丁目5−1 水産仲卸売場棟3階18 ※関連飲食店にはどなたでも入れます。場内へは見学ルート以外、一般の方は入れません。 |
営業時間 | 営業時間 5:00~14:00 定休日 水曜日、日曜日(他不定休あり、基本市場休業日) |
開業年 | 1912年 |
公式サイト | http://www.nakaei.com/ |