長崎『あじ盛』朝から飲める!70年続く魚河岸の食堂で刺身と焼き飯を

長崎『あじ盛』朝から飲める!70年続く魚河岸の食堂で刺身と焼き飯を

2022年11月28日

長崎・築町市場に隣接する場所で70年間、市場関係者や近隣住民の胃袋を支えてきた『あじ盛食堂』。朝から夜まで休みなく営業しており、界隈では貴重な朝酒・昼酒場所となっています。食堂といってもお酒やおつまみが充実しており、地物の新鮮な魚も人気です。

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明治37年開設の築町市場は、今も昔も長崎の食の真ん中にある


(教科書で見た出島の扇形構造そのままの川岸)

1636年から200年間、日本で唯一、西洋の玄関口となっていた長崎。海・川・山が複雑に入り組むわずかな平地に異国情緒が混じり合い、唯一無二の街並みをつくり出しています。徒歩と路面電車、路線バスで巡れるぎゅっと凝縮された街は歩いて楽しいですし、どこでカメラのシャッターを切っても絵になります。


(西九州新幹線開通もあり、観光客で賑わう長崎出島ワーフ)


(長崎湾からの眺め)

大波止場から長崎湾を臨めば奥には巨大な造船所が見えています。それらの街並みを眺めつつ歩いていると自然と街の中心にやってきました。

ぎゅっと凝縮された街並みは、なんだかジオラマの世界のよう。路面電車がガタゴトと街にリズムを刻みます。

長崎の街の中心には、明治37年から続く歴史ある市場がありました。埋立地「築町」にできた市場だから「築町市場」。昭和50年には長崎郊外に公設市場が開設され、築町市場の機能が移されましたが、市民の台所としての築町市場は現役です。今も鮮魚店、青果店などが朝から営業しています。

さてさて、前置きが長くなりましたが、市場といえば朝からやっている食堂が楽しみの一つ。築町の食堂といえば『あじ盛』です。創業は約70年前だそう。2代目、3代目が切り盛りする家族経営の店です。

外観

営業時間は朝8時30分から夜20時まで。なんと中休みがありません。明け番(夜勤明け)の人が朝からお酒を楽しむ姿もみられる、「朝から飲んでいい店」なのです。長崎は午前中から飲める個人店は限られているため、貴重な存在というわけです。

もちろん、「ちゃんぽんの店」とある通り、長崎名物のちゃんぽんや皿うどんだけを目当ての利用が一般的です。

内観

店内は調理場に向いたカウンターが数席とテレビを眺められるテーブル席。テレビは長崎ローカルの情報番組が流れています。新聞を広げて寛ぐ市場の魚屋さんか八百屋さん風の大将の隣のテーブルに座り、ほっと一息。はじめての店でもホッとする、個人店の食堂はやはりいいものです。

品書き

お酒

大樽(樽生)ビールテイスト飲料は淡麗極上〈生〉:550円。瓶ビールはキリンラガービールで、小瓶:520円、中瓶:650円、大瓶:720円。

焼酎は壱岐:480円など、日本酒は大関:450円、冷酒:850円。その他、レモンサワー:520円、角ハイボール:520円など。

一品料理

おかず小鉢ポテトサラダひじき煮冷奴など):220円、長皿アジフライ唐揚げ真鯛煮付け):360円。刺身きびなあじたこなど):420円~、湯豆腐:480円、ハムエッグ:450円、豚ニラ炒め:620円、貝汁:220円など。

麺類・飯類は、ちゃんぽん:850円、皿うどん(細麺・太麺):850円~、焼きそば:850円、焼き飯:700円、オムライス:800円など。

キラキラと輝くきびなを肴に、食堂飲みを満喫

大樽 淡麗極上〈生〉(550円)

女将さんがにっこりと笑顔で運んでくれた「樽生淡麗」は、日差しを浴びて黄金色に光っています。それでは乾杯!

きびな刺し(420円)

「おつまみはこっちにあるから選んでね」と女将さん。ショーケースの中にアジやイサキ、タイなどの刺身が並んでいます。揚げ物コーナーには刺身用と同じ大きな生アジをつかったアジフライもあります。これはテンションがあがります。

中でもきびな刺しのハリと透明感、そしてまばゆいくらいの輝きに惹かれました。これほど鮮度が良いものが食べられるとは。まさに、産地の市場食堂の醍醐味です。全国的には「きびなご」ですが、長崎は伝統的に「きびな」の名で呼ばれています。

プリプリで噛むと上品な香りが鼻にすっと抜けます。鮮度が良いので、旨味というよりは歯ごたえを楽しむ魚。酢味噌で味を引き出していただきます。

焼き飯(700円)

刺身と焼き飯。違和感のある組み合わせだと思うかもしれませんが、『あじ盛』のお客さんは煮魚と皿うどんだったり、刺身とオムライスという組み合わせをする人が多いようです。市場の食堂で食べる中華って美味しいですよね。

しっとり系で、旨味濃いめ。ちゃんぽん用の出汁を使っているのでしょうか。コクがあって淡麗や焼酎が進みます。具材はシンプルに焼豚と紅かまぼこ、玉子、玉ねぎ。

貝汁(220円)

朝の食堂飲みは、汁物で〆るとほっとします。貝汁という文字にひかれて頼んでみました。お椀の底にたっぷりアサリが沈んでいます。

長崎の食材が揃い、好きな時間に飲んで食べられる老舗食堂『あじ盛』。築町という街の背景もお酒を美味しくします。

ごちそうさま。

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(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名あじ盛
住所長崎県長崎市築町4−26
営業時間8:30~20:00
日曜営業
不定休(水曜日が多い)
開業年1950年頃