函館「津軽屋食堂」 陸繋島、愛しの昼酒食堂で地魚つまみにゆるゆるり。

函館「津軽屋食堂」 陸繋島、愛しの昼酒食堂で地魚つまみにゆるゆるり。

2016年5月25日

DSC09763

今日は北海道の玄関、函館でお昼酒。年間500万人が訪れる観光都市で、最近の話題といえばなんといっても北海道新幹線の開通です。東京から函館まで、乗り換えることなく来れるなんて素晴らしい。ということで、東京から東北・北海道新幹線「はやぶさ」に乗って飲みにやってきました。

以前きたときは、東北新幹線から特急列車を乗り継いでやっとの思いで”辿り着いた”という印象でしたが、新幹線は楽ちん。その話はまた別の機会にお話するとして、今回は函館にお昼についたらどこで飲む?という疑問に答える食堂を紹介いたします。

駅から徒歩5分。繁華街にありますがオフシーズンは人通りもまばらな場所。昭和がそのまま残るようなこの店構え。食堂飲みを愛する人ならばひとめで「これはイイ!」と感じるはず。古いけど掃除の行き届いた入り口、名食堂の基本です。植木があるのがまたたまらない。

 

DSC09779

北国の食堂、やはり店内には巨大なだるまストーブがでんと置かれています。無機質なパイプ椅子と蛍光灯の明かりなのになぜか暖かさを感じます。

 

DSC09764

時刻は14時。少し遅めのお昼ごはん、いやいや、お昼酒とまいりましょう。北海道はサッポロビール、ということで、ビールといえば星マークがでてきます。いいねいいね、まずは小びん黒ラベルから。

では乾杯!

 

DSC09765

品書きは短冊メニューと、自分で選べるショーケースから。冷奴100円、きんぴらは170円、焼き魚、煮魚も300円から400円と素敵な大衆価格です。

 

DSC09766

いか甘煮やそいなど、東京や大阪の食堂には見られない食材も普通に並ぶのが地方食堂の魅力。そいの半身で370円、実に美味しそう。

 

DSC09773

お酒は北海道の日本酒「國稀」と「千歳鶴」。ビールは小びんで400円など。チューハイ類はなく、渋くかっこいい。

 

DSC09774

高倉健さんのような男性がもりもりと食べているカツ丼が美味しそう。丼ぶり、ラーメン、そばにうどん。大衆食堂ですね。

 

DSC09768

大きいババカレイの煮付け(400円)をつまみに選びました。食べる前に温めなおしてくれるので、あったかほくほく、ビールが進みます。

ババカレイは津軽海峡の地場の魚で、煮付けは函館の家庭料理なのだそう。あぶらののりがよく、それでいてあっさりとした味で、煮付けにぱったりの魚です。

 

DSC09769

中瓶ではなく、なんとなく小びんで刻んでいきます。軽く飲もうかな、いや、もうちょっと飲もう。気持ちよくなってきたので、さらにもう1本もらっちゃおう。時間に縛られず、午後の日差しが差し込む食堂で、地魚つまみにちびちびと瓶ビール。

 

DSC09771

お客さんは入れ替わりで食事をしていく人が出入りする他、同じようにのんびり新聞を読みながら昼酒を楽しむ紳士の姿も。遠方からの客は私だけで、あとは皆さん地元の常連さん。51年目を迎えた津軽屋食堂。青森の食堂と同じように、やはり北の玄関口、交通の要所として栄えてきた街は、港湾関係や鉄道関係者、漁師など港や交通系のお客さんが多い。早くからやっている駅近くの食堂の存在意義は、いまも色濃く残っています。

 

DSC09778

函館のコリコリとした鮮度抜群のやりいかを贅沢に塩辛にしているのですが、これが小鉢80円だというのだから驚きです。合わせるお酒は増毛の地酒「国稀」を。キリっと辛口の日本酒をビヤタンに注いで、塩辛をなめながらきゅっと飲む。

地元のお父さんたちが楽しむ組み合わせはイイに決まっています。

 

DSC09772

ちょうど夕刊が届きました。午後のひととき、食堂で新聞片手にコップ酒、大人になれた気がします。

函館山と坂の町、路面電車が走るムードたっぷりの函館ですが、混みあう観光地ではなく、こういう食堂にこそ、本質的な土地の魅力があるのかもしれません。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)