姫路『すし宗』昭和4年創業!老舗の蒸穴子と秋のコノシロを肴にお昼酒

姫路『すし宗』昭和4年創業!老舗の蒸穴子と秋のコノシロを肴にお昼酒

2022年10月26日

歴史ある姫路の街に似合う関西寿司の老舗『すし宗(すしそう)』。創業はなんと1929年。姫路名物の穴子を筆頭に播磨灘であがる季節の魚介類が楽しめます。営業時間はお昼のみ。通い慣れたベテランのお客さんが多く、落ち着いた雰囲気です。

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お昼しか食べられない、絶品の蒸し穴子寿司を求めて途中下車

築城400年の歴史を持つ白鷺城こと「姫路城」のお膝元に広がる姫路市中心街。播磨平野に広がる歴史ある街です。江戸時代以前から東西を移動する交通の要衝として、文化、経済が発展しました。

1888年、姫路城の城下町に現在のJR山陽本線となる姫路駅が開業。以降、東西の移動の主役が鉄道に移ると、姫路は鉄道の要衝として新たな開発が進むことになります。駅と姫路城の間、1kmにかけてが姫路の繁華街となり、大小様々な商店街が形成されました。JR姫路駅こそ近代的な駅舎に生まれ変わりましたが、駅前の商店街は昭和の面影を色濃く残しています。それでいて、しっかりと活気があり、飲食店が集まるエリアでは新旧様々な飲食店が賑わいを見せています。

そんな姫路のメインストリートである「大手前通り」に面した場所で、1929年(昭和4年)から営業している寿司店が、今回訪ねる『すし宗』です。現在店を守るのは4代目。

堂々とした店構えに吸い寄せられます。営業時間は非常に短く、11時の開店以降、品切れになるまでの営業というスタイル。だいたい14時には売り切れてしまいます。

営業時間が短いからといって寂しい感じは皆無で、昼食に合わせて次々と常連さんが訪れ、取材時も満卓近い賑わいとなりました。

外観

店先に「あなごすし」の幟がある通り、ここの名物は穴子ずし。すし宗の名物というよりは、姫路市全体の郷土料理が「穴子料理」なのです。

姫路は瀬戸内海 播磨灘に面した都市で、古くから穴子漁が盛んだった場所。近年は海岸線の開発などで天然の穴子は数を減らしているそうですが、いまも姫路の中心街には穴子を看板料理に掲げる店がいくつもあります。

内観

親しみやすく丁寧な接客の女将さんに迎えられ、店の奥へ。使い込まれた店舗ですが、清掃が行き届いており、窓から差し込む明かりもあって、とても朗らかな印象です。

口開けに訪ねましたが、通い慣れたお客さんや名物の穴子ずしを食べに来た旅行者がやってきて、帰る頃にはテーブルが埋まりました。

品書き

お酒

ビール(アサヒスーパードライ)大瓶:660円、小瓶:460円。日本酒(大関):650円、冷酒:640円~。

料理

穴子鮓(すし)は、穴子ちらし:2,420円、蒸し穴子3個:1,320円、穴子巻:1,230円、穴子箱すし:1,210円。

関西鮓は、ばってら:840円、三色箱鮓:1,210円、海老箱すし:1,320円、小鯛雀すし:1,860円、鰆の押しずし:2月中旬より、鮎の姿ずし:5月下旬より、このしろすし:9月中旬より 880円。

その他、焼きあ穴子突き出し:1,320円、穴きゅう巻:800円、大阪すし:1,300円、ちらしすし:1,450円、上にぎり:2,420円など。

穴子巻:1,230円、蒸し穴子にぎり:2,700円、巻とにぎり:1,650円など。

腹開きでふかふかの蒸し穴子、季節のこのしろもいい仕事

日本酒(650円)

以前は夜も営業していたようですが、現在は昼食時間帯のみ開いています。ですがしっかりお酒が揃っているのか嬉しいところ。寿司には日本酒をあわせたいので、日本酒の冷を1合いただきました。それでは乾杯。

蒸し穴子(1,350円)とこのしろすしハーフ(440円)

春は鰆(さわら)、夏は鮎(あゆ)、秋はこのしろ(コハダ)と、季節ごとに旬の寿司を用意するのが店の長年のこだわりだそう。となれば、このしろ寿司(秋の取材)は外せません。でも、やっぱり名物の穴子すしも食べてみたい!

そんな思いを女将さんに相談したところ、穴子は「蒸し穴子」が3貫に、このしろは半分を盛り合わせという提案をしてくれました。穴子は3貫でちょうど1尾分になります。

代々受け継がれてきた穴子の調理法は、腹側から開いて蒸し上げるというもの。関東は背開きなので、穴子の調理法にも東西の違いがありますね。

ふっくらと仕上がった身は口に入れた途端、ほろほろと溶けていきます。しつこさはなく、ぎゅっと濃縮された上品な旨味が感じられます。

このしろ酢は、播州秋祭りの頃に食べられてきた伝統食です。秋の姫路を訪れたらぜひ食べておきたい土地の味。女将さんに産地を訪ねたら、もちろん播磨灘だと教えてくれました。秋に旬を迎えるそうで、脂がのっています。

包丁の入れ方が独特で、成長したこのしろでも皮の厚みはそれほど感じません。東京で食べるコハダの握りより甘めですが、これはこれで日本酒が進む味付けです。

女将さん、お酒もう1本ください。

姫路駅から徒歩5分。姫路をお昼ごろ経由する旅程の際は、ぜひ訪ねてほしい一軒です。

ごちそうさま。

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(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名すし宗
住所兵庫県姫路市南町58
営業時間11:00~売り切れ次第閉店※14:00頃(水定休)
開業年1929年