約半世紀続いてきた大衆酒場『遠州家』。南砂の住宅街にポツンと灯る赤提灯の店で、周囲に駅や飲み屋街はありません。それでも、開店直後から近隣で暮らす人々によってカウンターが埋まってしまう、地域密着の超人気店なのです。名物の煮込みや手頃な酒場料理を肴に、色付き焼酎ハイボールを楽しみます。
目次
ふたつの入り口。あなたは赤、青?
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東京メトロ東西線の南砂町駅から、徒歩6分ほど。または仙気稲荷通りを走る都営バス[亀21系統]の福島橋停留所下車すぐ。戸建てやアパートが立ち並ぶ城東エリアらしい住宅密集地の中に、遠州家はあります。
住宅街の“ぽつんと赤提灯”は、広域から集まる人が大勢行き交う駅前の酒場とはまったく客層や雰囲気が異なり、より一層アットホームな雰囲気で満ちています。ここ遠州家も、食卓の延長線上にあるような一軒です。
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ふたつのテントが張られていて、パッと見たところ異なる店のように見えますが、左右合わせて『大衆酒場遠州家』と書かれています。そして、暖簾の向こうからは大勢の人の気配。時刻はまだ17時過ぎだというのに、すでに常連さんは定位置についています。
右の青いテントの入り口はカウンター席で、左側の赤いテントはテーブル席。早い時間はお一人でいらっしゃる常連さんが多く、青いほうが混むようです。私は左の赤い側に入り、同行者とともにテーブル席につきました。
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店の歴史がぎゅっとつまった飴色の空間です。一瞬で昭和にタイムスリップした気分。奥には厨房があり、大将が忙しそうに料理をつくっています。女将さんは隣部屋のカウンターを担当していました。
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両側は店内の小さな扉で行き来ができますが、空間としては完全に独立しています。
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お相撲好きの常連さんが多いようで、隣のカウンターからは相撲中継の音声とともに相撲話が聞こえてきました。こちら側にはテレビがないので、それで皆さん隣にいらっしゃるのかな。
品書き
お酒
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樽生ビール(アサヒ生ビール):570円、瓶ビール(アサヒスーパードライ)。
酎ハイ類はチューハイ(色付き):380円、梅液ハイボール:380円、レモンハイ:380円、トマトハイ:400円、梅干しつぶ入りハイ:450円、お茶ハイ:400円、ホッピーセット(ホッピー・黒ホッピー):430円、バイスサワー:400円など。
その他、お酒:380円、冷酒:680円、本格焼酎(黒霧島):380円、白ワイン:950円。
料理
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まぐろブツ:400円、たこブツ:380円、牛にこみ:450円、肉豆ふ:400円、いり豚:650円、ニラレバ炒め:600円、上豚かつ:680円、カキフライ:480円、皮つきじゃがいもフライ:400円など。あげ焼きそば:750円、みそ石松ラーメン:700円といった中華麺料理もあり、意外と人気のようです。
ホワイトボードには、鳥スペアリブ揚げ:480円、ウインナーエッグ:480円、はる巻:400円、トロたく納豆のり付:500円など。
レトロな酒場のほっこりする料理
アサヒ生ビール(570円)
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まずは生ビールで乾杯!
状態のよいアサヒ生ビールです。スーパードライではありません。実は大将のこだわりなのだそう。
1987年にスーパードライが誕生しアサヒビールのメインブランドとなりましたが、『大衆酒場遠州家』では長年スーパードライではなく、「マルエフ」こと「アサヒ生ビール」を扱い続けてきたそうです。
まぐろブツ(400円)
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酒場の一品目はお刺身がいいですね!定番のまぐろブツをいただきます。
チューハイ(380円)
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遠州家のチューハイは、隅田川以東の酒場に多いオリジナルの風味や色がついた、いわゆる「元祖焼酎ハイボール」です。甘味系の香りがわずかにありますが、甘さはなくドライな味わいです。
牛にこみ(450円)
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色付きの酎ハイがでてくると、欲しくなるのが煮込みです。店の提灯にも書かれた看板料理で、豚ではなく牛のホルモンが使われています。甘めの味付けで、戦前から続く老舗のもつ煮込み店に多い味付け。
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トロトロとした食感とアブラの旨味があとを引きます。
梅液ハイボール(380円)
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チュウハイとそっくりな、梅液でつくるハイボール。こちらのほうが甘めです。味違いのしょうち
ニラレバ炒め(600円)
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ぷりぷり食感のレバをたっぷりの野菜とともに炒めたニラレバ炒めは、濃い味でお酒が進むこと間違いなし。牛にこみ同様、このレバーも老舗ならではの安定感のある味です。
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地元の人達のオアシスに、ちょっとだけお邪魔させてもらい、皆さんの楽しい時間を共有させてもらう――。住宅街にある酒場の独特な魅力を知ると、こうしたお店がますます好きになります。
明るい女将さんと、朗らかで優しい大将の店です。お近くでしたらぜひ。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | 遠州家 |
住所 | 東京都江東区南砂4-7-14 |
営業時間 | 17:00~23:00(日定休) |