新橋『むらまつ酒商類』レアなお酒あり。創業200年の酒屋がはじめた角打ち

1818年（文化15年）創業の老舗酒販店、新橋の『むらまつ酒商類』が角打ち営業をしています。珍しい地酒やワイン、リキュール類を取り揃え、ここでしかグラス売りしていないお酒も多数。新橋西口商店街からも近く、はしご酒のゼロ軒目に最適なお店です。

旧東海道に面した歴史ある酒販店

日本橋から銀座、新橋を経由し遠く京都は三条大橋へと伸びる東海道。歴史ある大幹線に面した酒屋といえば、なかなかの名門だとわかります。店の名は『むらまつ酒商類』。現在も第一京浜沿いで変わらず店を構えており、専門店ならではのこだわりの地酒を丁寧に販売しています。

JR新橋駅からは徒歩5分ほど。日本一の居酒屋密集地帯・新橋の繁華街を向かいに見る場所にあり、新橋はしご酒の一軒としても気軽に立ち寄れる立地です。

店はビル（村松ビル）に建て替わっており、その一階が酒販店コーナーになっています。

新橋でよく飲む人も、このお店が角打ち営業をしていることを知っている人は多くはないのではないでしょうか。毎週水・木・金の16時30分から20時までの日時限定で角打ちスペースが設けられています。

昔は店で買ったお酒を、とくにルールもなく店頭で飲んでいく人が多かったと店の方は話します。それを発展・整備するかたちで、店内で飲酒できるスペースを用意。せっかくならばこだわりのお酒を楽しんでもらおうと、珍しいお酒の一杯売りに力を入れ始めたそうです。

昔から続く家族で経営している街の酒屋さんです。店内の雰囲気も、どこか懐かしい雰囲気。

昨今、お酒はスーパーなどの量販店で購入することがほとんどですが、町の酒屋さんにはここにしかない魅力がいっぱいつまっています。例えば、棚に並ぶお酒の顔ぶれ。大量仕入れで価格を抑えた銘柄ではなく、酒屋の店主のこだわりが感じられるお酒がずらりと並んでいます。

嗜好品は様々なジャンルで専門店化が進んでいますが、酒屋は昔からある身近な酒のプロの店です。近年、街の酒屋さんの価値が見直されてきています。

角打ちは、筆者にとっては「お酒のテーマパーク」です。

店内に並ぶお酒はワイン、缶ビール、RTD（チューハイやハイボール）は、どれでも店内飲酒が可能。加えて、小型ビールサーバー「タップマルシェ」で提供されるクラフトビールも味わえます。

飲酒スペースは立ち飲みです。店頭に向いたテーブルなどで、6人ほどは余裕で利用可能。店の方が飲んでいる間も程よい距離感で会話をしてくれますので、一人で立ち寄っても楽しめます。

タップマルシェのクラフトビールは小：390円～、大700円。銘柄が簡単に変えられるため銘柄がかわることもありますが、取材時は 伊勢角屋麦酒イセカドペールエールと、常陸野ネストビール ホワイトエールが用意されていました。

サンマリノ共和国から独自に輸入している神社おみきワイン 赤・白：390円も気になります。

缶ビール・RTDは小売価格から+100円、日本酒4合瓶やボトルワインは抜栓料が500円かかります。

日本酒はおちょこ60ml300円から。レジ横の冷蔵ケースに並ぶお酒が今日用意されている銘柄です。

まずはビールから。伊勢角ペールエールを選びました。支払いは都度払い。Suicaなどの交通系電子マネーも利用できます。

店の前は、一直線に虎ノ門へと伸びる「新虎通り」こと、環状二号線。西日がビル群にあたり、都会的な夕暮れの美しさに包まれています。そんな“チルい”雰囲気のなか、のんびりとエールビールをいただきます。なんだか、ホッとします。

2011年の震災後、追悼のためにイタリア半島の小さな国・サンマリノにヨーロッパ初の神社が建立され、「サンマリノ神社」と呼ばれているそうです。神社おみきワインは、その境内にあるぶどう畑で収穫された葡萄を原料にしたという、かなり珍しい御神酒のワインです。

飲み心地は軽く、香りは豊かなワインです。

おつまみは乾き物がメインです。おなじみ、スティックチーズ。

宝クラフトチューハイ（抜栓料100円）

冷蔵庫で冷えているチューハイ類もチェックしようと見てみると、あまり見かけない宝酒造のクラフトチューハイを発見。数種類用意されています。大手のビール、ハイボールなどもありますが、せっかくならば珍しいお酒を飲んでみたいですね。

熱心な皆さんで切り盛りする、元気な家族経営の酒販店でした。新橋で飲む際は立ち寄られてみてはいかがでしょう。

ごちそうさま。

（取材・文・撮影／塩見なゆ）