大阪・本町『サル食堂』昼食堂 夜酒場。トンテキはナンバー2ではない

大阪・本町『サル食堂』昼食堂 夜酒場。トンテキはナンバー2ではない

2021年12月14日

5周年を迎えてもなお行列が途切れない、大阪・本町の名物店『サル食堂』。看板料理のトンテキは、洋食店でこれまで食べてきたイメージを覆す衝撃的な逸品でした。

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大阪グルメのイメージにパッチを当てられた

外観

大阪グルメといえば、串カツ、たこ焼き、お好み焼き。いまだに「ソース味」と「くいだおれ」のイメージは大きいものです。

また、酒場に関しても、飲む場所は京橋・天満、大阪駅前ビルに阿倍野・新世界。そして、朝から飲める酒場や激安の立ち飲みというのが、筆者の考える大阪飲み歩きでした。ですが、ここ数年で大阪の飲食は立地も料理も猛烈に進化していたのです。そんな大阪の飲食のイメージをアップデートする「パッチ」的な一軒が、『サル食堂』です。

串カツでも牛すじでもありません。看板料理はトンテキ。

洋食店の料理といえば、ハンバーグや海老フライ、オムレツなどが浮かびますが、ナンバー1といえばビーフステーキでしょう。それが、『サル食堂』では準主役のトンテキが主役の座に輝いています。

内観

2016年に開店した『サル食堂』。洋食店と酒場をミックスした昼夜兼用のネオ大衆店です。

運営は、2011年に大阪・江坂でドイツ料理・ソーセージ&麦酒の店『サル・ベーコン』で創業したごちそうさま株式会社。『サル食堂』のサルは、スピンオフ元の『サル・ベーコン』からきています。

普段から近隣のビジネスパーソンで昼も夜も満卓。開業から5年経過していることを感じさせない人気ぶりに、地域に根づいていることがよくわかります。

学校の教室ほどの大きな空間に、厨房を半分、客席を半分とし、広い空間は料理の熱気とお客さんたちの活気で満ちています。

乾杯は生ビール「サッポロ黒ラベル」で

カウンター席目の前にはビールタップがあります。

カウンター席に通された私は、ビールを注文後に注ぐ様子を眺めていると、独特な注ぎ方であることに気づきました。ビールメーカーが推奨するジョッキを傾けて液を入れる方式ではなく、垂直に液を注ぎ落とし泡立てています。

こだわりの注ぎ方で完成。ほどよくガスが抜けた優しい味わいの生ビール(サッポロ黒ラベル)です。では、乾杯。

品書き

飲み物

生ビールはサッポロ黒ラベル(中ジョッキ549円)、瓶ビールはサッポロラガー(赤星大びん 715円)。

ブドー酒(ワイン)は、大阪・柏原のカタシモワイナリーがつくる「キングセルビー」(白/赤 550円)。

ほかには、デュワーズハイボール(495円)、清酒菊正宗(495円)、チューハイ(429円)など。

夜の献立

看板料理のトンテキ。トンテキ定食として一枚肉をソテー(単品は750円)していますが、夜はつまみやすい串トンテキ(5本429円)も登場。

他には、自家製ロースハム切り落とし(429円)、ビーフカツ(979円)、海老フライ(429円)、粗挽き鉄板ハンバーグ(759円)、カッパ汁(肉吸い風・牛の部位「カッパ」の意味・275円)など。

夜定食

ランチだけでなく、夜も定食があります。夕食がてら、定食に軽く1・2杯のビールをあわせて晩酌を楽しむ常連さんの姿もありました。

210gのトンテキ・だし巻オムレツ・ライスがついたトンテキ定食(990円)、トンテキ2/3・海老フライ・ベーコンエッグなどがついたB定食(1,280円)など。

毎月18日「サルの日」限定メニュー

サ[3] ル[6]で、3×6=18=サルの日、というノリの良さで、毎月18日は、串ザルセットが登場。生ビール2杯、トンテキ10本、アテ3種盛りで、2,200円。約900円もお得です。2人でわけることもできますから、一人あたり約千円と大変リーズナブル。

これがトンテキ!?がこんなに美味しいとは

トンテキ(10本825円)

本町界隈の人を虜にするトンテキ、ドーンと10本登場。厚さ1cm以上あるトンテキを四角柱状にし串を打ったものです。口に運びやすい形状で、思っていたよりもだいぶ噛みやすいことに驚きます。

部位の選定や包丁の入れ具合が絶妙なのでしょう。歯ごたえはあるのですが、軽い力で噛むだけで”ぶりぶり”とした食感でほぐれていきます。

中から滲み出てくる肉汁とソースの味のバランスが秀逸で、少食の人でもきっと5本は余裕でしょう。これは別腹と、きっとお代わりしたくなるに違いありません。

「スゴイぞトンテキ!見直したぞ!」と心の中で叫びながら、ビールもおかわりしてぐんぐんと食べていきます。トンテキはナンバー2じゃない、主役になれる逸品です。

この独特なウスターソースの風味はなにかと思っていると、目の前に揚げ物用のテーブル調味料として用意された、大阪・西成のソース「ヒシ梅ソース ウスター」を発見。味付けはお店のオリジナルですが、ベースのウスターソースの選定にもこだわりを感じます。

ブドー酒(グラス赤550円)

人気店の夜のピークタイム。猫の手も借りたそうな忙しさですが、ワインは手元で注いでくれます。溢れんばかりの演出が嬉しいですね。ウスターソース味には赤ワインがよく合います。

毎月18日「サルの日」限定の串ザルセットのアテ三種

一ヶ月に一度の特別な盛り合わせ。アテ三種は単品のローストビーフ(550円)、ポテトラ(429円)、それと隣接する系列店の汁食堂のお惣菜です。

トンテキが目立つので影が薄い印象がありますが、このローストビーフもなかなか。しっとりとした肉とよく染みた香辛料。お酒を進ませるためのおつまみ用の味付けです。

大阪グルメの進化はとまらない

従来の大阪グルメの粋に収まらない、猛烈進化中の大阪の外食トレンド。「店で飲むのは楽しい!」と改めて気づかせてくれる酒場や食堂が続々登場しています。

『サル食堂』はいわゆるネオ大衆系ながらも、なじんだオペレーションとオフィス街立地の落ち着いた客層中心もあって、飲み慣れた人も居心地よく感じられそうです。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名サル食堂
住所大阪府大阪市中央区備後町4-3-4 大阪タイガービル 1F
営業時間<店内営業>
10:50 ~ 15:00
17:00 ~ 22:30
※ フード 21:30 L.O. / ドリンク 22:00 L.O.

<テイクアウト>
11:00 ~完売まで
17:00 ~21:30 L.O.
定休日
日曜日
開業年2016年3月