新鹿沼『三久食道』創業40余年。甘辛い料理は土地の味。

新鹿沼『三久食道』創業40余年。甘辛い料理は土地の味。

2020年12月4日

浅草から東武鉄道の特急で1時間30分。世界遺産・日光東照宮を繋ぐ経路上にある新鹿沼。かつては日光街道の宿場町として栄え、現在も日光を結ぶ東武鉄道の主要駅として、地域の中心的な存在です。

本陣ほかをはじめ、旅籠は21軒と日光街道では大きな宿場町であった鹿沼は、いまも往時の面影を残す建物が点在しています。また、観光拠点として「まちの駅 新・鹿沼宿」などが整備され、昨今観光にテコ入れか行われています。

今日はそんな新鹿沼から、創業40年以上、ベテランご夫婦が切り盛りする大衆酒場「三久食道」をご紹介します。

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歴史ある街の路地にあるいぶし銀酒場

鹿沼には酒蔵は現存していませんでしたが、街の酒販店が中心となって地酒「鹿沼娘」が復活しました。古峯神社の湧水と鹿沼産飯米で仕込んでいます。

駅前は国道沿いに沿って昔ながらの町並みが続いています。緩やかに蛇行するこの国道は、日光例幣使街道であり、江戸の頃から使われている日光を結ぶ道。少し入ったところに三久食道はあります。

渋い店構え。縄のれんごしで聞こえる店内からのお客さんたちの会話が、「ここはいい店」というムードを醸し出しています。

L字のカウンターとテーブル席を配置したつくり。板前のご主人とそれを手伝う女将さんが二人三脚で営むお店です。駅から徒歩10分ほど。お世辞にも人通りの多い場所とは言えませんが、店内は地元の常連さんや近隣で働く人でなかなかの賑わい。

海なし県でも魚介が充実

瓶ビールと、今日のおすすめというイカ刺しを頼んで、まずはほっと一息。それでは乾杯!

ビールは瓶ビール大びんがキリンラガー(650円)、酎ハイ類は450円。常連さんはボトルキープがほとんどです。

食道」というだけあって、ご飯物が充実しています。夜も食事だけの利用は可能だそうですが、皆さん宴の真っ最中です。甘辛い系の肉料理の多さに、北関東の酒場らしさを感じます。

ホワイトボードの品書きが非常に充実しています。刺身が5種類ほど。煮魚、焼き魚などは主に茨城・鹿島灘から。

内陸部にあっても茨城に引けを取らない、鮮度の良いものを出すというのがご主人のこだわり。とれたての活イカや、長年の目利き力で選ぶカツオ刺しなど。お刺身にはずれなしと常連さん。

イカ刺しのキモとゲソはホイル焼き

イカは胴はお刺身に。下足はキモとあえてホイル焼きにしてもらいました。

お酒(末廣)のお燗をもらって、カウンターでのんびりとした時間に浸ります。BGMなどのない落ち着いた店内、ベテランの方ばかりなので、静かに酒場の空間を味わえます。

名物は竜田揚げの卵とじ

名物の竜田揚げの卵綴じ煮(700円)。甘辛くしっかり濃い目の味つけにお酒が誘われます。竜田揚げを綴る料理は珍しいですが、サクサクの衣の食感が残っていて歯ごたえのコントラストも楽しい一品です。

生レモンサワー(500円)。鹿沼くらいだと東京からは日帰り圏内ですが、こうしてかつての宿場町にある老舗の酒場に浸っていると旅情を感じてくるものです。

三久食道の二階には、県外からも音楽通が通うジャズ喫茶があります。ハイエンドオーディオの音色に包まれてハイネケンやギネスを飲むひとときは最高です。二店舗をはしごするのが、筆者のおすすめ。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名三久食道
住所栃木県鹿沼市下田町1-1041
営業時間17:30~22:00(ランチあり・日定休)
開業年1970年代から