小山「青柳川魚店」伝統的な川魚文化を味わい、地酒・雄東で酔う

小山「青柳川魚店」伝統的な川魚文化を味わい、地酒・雄東で酔う

2020年5月30日

鬼怒川をはじめ、思川など利根川水系が悠々と流れ、大小様々な沼や湖がある栃木県は、昔から川魚の食文化が根付いてきた地域です。

そんな土地柄、街道沿いの宿場町や城下町には老舗の川魚専門店が数多あり、土地の味をいまに伝えています。川魚の店といえば、一般的にはうなぎ屋のイメージですが、ここにはうなぎ専門店とはまた違った田園地帯の情緒を感じるお店があります。

今回は小山の城山町にて三代続く老舗「青柳川魚店」で、旅の途中の昼酒を楽しんできました。

 

上野からJR宇都宮線で1時間20分。栃木県第二の都市、小山に到着。下野国の宿場、日光街道12番目の宿場町として栄えた小山。旧脇本陣は現在のJR小山駅前にあり、宿場町はレトロな飲み屋街、小さな歓楽街に姿を変え、今も街の賑わいの中心街です。

 

駅から500mほど離れたところ、思川に隣接して小山城址があります。関東富士見百景のひとつに選ばれていると案内がありましたが、残念ながらこの日は富士山をみることはできず。

 

目指す「青柳川魚店」は、この小山城址にほど近い場所にあります。

 

気さくな接客で迎えてくれるベテランのスタッフさんやご主人。午後の日差し差し込むテーブル席に座り、ほっとひといき。

 

テーブル、小上がり、あわせて22席。お昼から飲みに来ているご夫婦がいらっしゃるなど、お昼から人気です。

 

お昼から飲んじゃうの?はい、いいお天気ですから!

ということで、ビール(アサヒスーパードライ・550円)を出してもらって、それでは乾杯!

 

お酒は小山の造り酒屋・杉田酒造がつくる地域消費のお酒「雄東」(400円)。お酒の由来は、鑑評会優等賞受賞を記念し、税務署長から「関東の英雄」と評されたことから「雄東」となったそう。

 

お昼は主にうな重を食べる鰻屋、夜は川魚で一献楽しむ飲み屋になる青柳川魚店。スタンダードなおつまみメニューには、なまず天やだし巻き卵など酒の肴も並びます。

 

鰻を頼む前に、ここはぜひ栃木の郷土食材のひとつ、川魚の「アイソ」を味わってみたいです。”鯎”と書いて「ウグイ」とも呼ばれる淡水魚です。

 

体長10センチほど。たっぷりはいり、野菜も添えて盛り合わせ400円。琵琶湖の高級魚「モロコ」にも似ていますが、こちらはぐっと庶民的ですね。

 

塩、または大根おろしに醤油をさして食べるのが一般的なのだそう。ホクホクの身は身離れがよく、ほどよく脂が乗った優しい甘さと余韻の旨味が特長的です。旬の梅雨の前後は脂ののりが増し、一層美味しいのだそう。

 

地酒雄東(400円)をひとつ。ビアタンブラーでぐいっと。

同じ利根川水系で育ち、投網でとれたアイソをおつまみにして、飲むお酒もまた利根川水系で仕込んだもの…。水が同じというのは良きことです。

 

注文に合わせ活うなぎから捌き、時間をかけてふっくら焼き上げていく鰻。備長炭の香りをまとって非常に美味しそう。白焼きもよいですが、ごはんを薄く敷いてもらったうな重(2,500円)も、これまたお酒の肴だと思います。

 

ぽくぽくな身から滴る上品な脂。タレの甘さの具合もちょうどよく、お酒が進む味わいです。

 

小山市で長い歴史をもつ老舗の一軒。歴史があるだけでなく、地域のお客さんで賑わっていることもお店の魅力のひとつです。

「またいらしてください」と、笑顔で見送ってくれる、昔ながらの雰囲気。小山を訪ねた際はお昼に一献、いかがですか。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ ※外出自粛要請以前に取材)

 

青柳川魚店
0285-22-0701
栃木県小山市城山町1-2-1
11:00~14:00・17:00~20:00(水定休)
予算2,800円