宇都宮「みよしや」 街が誇る郷土の味・かぶと揚げで笑顔に

宇都宮「みよしや」 街が誇る郷土の味・かぶと揚げで笑顔に

2017年2月14日

これだけ交通が発達し、インターネットによって情報が手に取るように収集できるような時代なのに、飲食店の地域性は均等化されず、まだまだ全国各地に大都市圏ではあまり知られていない料理や酒場があります。なんと素晴らしいことでしょう。

わざわざ足を運びたくなる、旅のきっかけになるような酒場や肴を求めて全国へ。

例えば唐揚げ。丸亀の骨付鳥、北海道のザンギ、信州の山賊焼き。あげれば次々とでてくるもので、例えば宇都宮ならば「かぶと揚げ」です。

宇都宮で生まれ育った人は一度は食べたことがあると言われる、まさしく土地の味。その発祥となったお店が「みよしや」です。

 

いまでこそ、宇都宮市内の飲食店では定番のメニューになっていますが、原点は1963年(昭和38年)に初代の鈴木礼二氏が考案したメニュー。高度経済成長の真っ只中、とにかく食べごたえのあるものをというコンセプトだったそうです。

本店は街の中心部から北へ5キロほどのロードサイドにありますが、支店は駅やビジネスホテルからのアクセスも良好な県庁と東武宇都宮の間にあります。

 

ビールはキリン。栃木は2000年代までキリンビールの工場があった経緯から、古いお店を中心にキリンの飲用文化が根付いているようです。

生ビールは一番搾りで480円、瓶ビールはラガー(RL)の大びんで600円。酎ハイ類は450円。

 

しっかり、たっぷりはいるジョッキが嬉しい一番搾りで、まずは乾杯!

工場こそなくなれど、宇都宮の老舗に似合うビールです。

 

お通しはいつもお漬物。かぶと揚げは調理に多少時間がかかるのですが、この一皿をつついていると丁度いい。濃い目の味でビールが進みます。

 

なにより驚くのが、「みよしや」のメニューはかなり絞られているということ。本当に看板メニューのかぶと揚げと、鳥もつ串などしかない。そして突如でてくる手打ちそばです。

みよしやの手打ちそばを飲みの〆にできれば、宇都宮ノンベエの仲間入り。

 

街の中心部のシンボルロード店では、さすがにかぶと揚げだけでは…ということて、とりあえずの一品と唐揚げ、干物が加わっています。

 

名物の鳥刺身を高温の油にさっと潜らせて塩コショウで味を整えた鶏ささみ唐揚げ(550円)。さくっとした衣と、ふんわりとした身が口の中で楽しい食感。唐揚げなのに軽い感じでつい箸が進む一品です。

 

おまちどうさま。かぶと揚げができました。みてください、このインパクト。宇都宮の人がハレの日を楽しむといえばこれ。誕生日などの記念日の定番と聞きます。クリスマスシーズンは大変なことになるのだとか。

生後40日の若鶏を手羽もついたまま、高温でさくさくに揚げたもの。職人が鶏の大きさや形状にあわせて上下回転させながら火を通していきます。かぶと揚げの由来は、兜のような形状だからだそう。

1人だとこれひとつで大満足。塩コショウしか味を加えていないというのですが、とにかく美味。二軒目にだって、二人ならばぺろりと食べきってしまうほど。外はカリカリ、中はじゅわっと。

 

途中にすっきりとしたものを挟みつつ。

 

上品ぶらないで、わしわしと手で節って頬張りたいかぶと揚げ。はふはふしながら、ハイボールをくいっと。

 

駅にも近いシンボルロード店、モダンで今風の店構えですが、カウンター中心で接客も身近に感じられ、大衆酒場といって間違いありません。

若き職人が技を受け継ぎ、これからもずっと宇都宮の味を守ってくれそうです。餃子もいいけれど、酒場の味もお試しあれ。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材協力/キリンビール株式会社)

 

みよしや シンボルロード店
028-612-5889
栃木県宇都宮市池上町2-11
17:00~24:00(月定休)
予算2,500円