【移転】休店記事:神田「大衆酒場食堂ななつぼし」 ワンコインの刺身が驚くほど上等。

2020年11月10日
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以下は古い記事です

世の中が大きく変わるなか、外食にも新しい取り組みが増えています。

そのひとつが「間借り」という営業形態。もともと開いているお店が営業時間外に店舗を他者に貸し出すというもの。もともと”二毛作”をしているテナントはありましたが、マッチングサービスの登場もあって、この動きが加速中です。

今日は、神田駅徒歩1分、ワンコインとは思えない豪華な刺盛りや、手頃な価格で本格料理を楽しませてくれる酒場「大衆酒場食堂ななつぼし」をご紹介します。

もともとここはハンバーグ専門店として営業しています。ランチのみ営業するレストランが、夜や土曜日の日中に「大衆酒場食堂ななつぼし」にお店を貸し出すというもの。

駅からすぐのJR高架下。大きな暖簾でハンバーグ店の看板は覆われることで、どこからどうみても小箱の大衆酒場です。藍色のせんべろの文字が目立ちます。

カウンター4席、奥にテーブル席で合計8席というコンパクトな作り。ご主人の水澤さんとお手伝いのスタッフさんが二人で切り盛りしています。

メニューやホワイトボードも「ななつぼし」仕様に。

「間借り」業態では樽生サーバーの貸し出しが難しいということで、ビールは瓶(中びん500円以下税別)のみ。銘柄はサッポロ黒ラベルです。それでは乾杯。

ホッピーは白・黒用意で400円と手頃な価格。品書きの注目点は、「トーインの部」や「コダマサワーの部」など、割材メーカー別になっているところ。トーインのオリジナル割材「ハイ辛」、コダマのオリジナル「バイス」と、両社の個性ある酎ハイが楽しめます。

濃厚狭山緑茶割りなどおもしろい酎ハイが多く、あれこれと飲んでせんべろ金額を越えてしまうかも。※お酒は適量で。

ご主人の経歴から、和洋折衷なんでもござれ!といった献立です。300円ほどのメニューが中心。そんな中にあって、最も高級なのは「おまかせ炒飯」(800円)。土曜日に限り、10時30分から17時までランチ・昼飲み営業をしているので、食事メニューの需要はそこにあるのでしょうか。

看板料理は「さかなの部」から、売り切れごめんの「せんべろ刺身盛り」、なんと500円(税別)。写真はもちろん1人前です。

一人飲みが大好きというご主人が、江東区の人気立ち飲み店に通い、「自分のお店でもこんな看板メニューがつくれたら…」という想いをかたちにしたものです。様々な魚種を少しずつ色々つまみたいという、のんべえ目線にたった盛り付けが嬉しいです。

活け〆の平目、宮城のかつお、佐島のわらさ、ブリ、鱸、赤烏賊、赤えびなど、大盤振る舞い。

縁側は塩をつけても美味しい。お皿の雰囲気とも相まって、かなりのお値打ち感があります。

予想以上に立派な刺盛りを頂けたので、これは日本酒の出番です。品書きには日本酒の表記はないものの、店内に「日本酒あります」と書かれていたので聞いてみると、今日のお酒は広島県呉の酒蔵・榎酒造がつくる「華鳩(純米吟醸番外編メリメロ)」(500円)とのこと。

ずいぶんとアッパーなお酒が登場し、驚きました。日本酒とお刺身盛り合わせで1,000円(外税)。看板料理を楽しませてもらったら、他にも色々頼まなくてはいけませんね。

さてさて、店内を見渡すと、壁一杯に割材のポスターなどが貼られています。

幼い頃によく食べていたポリエチレン詰め棒状氷菓を思い出す、ファンシーな色をした割材。これだけ揃えているお店は、神田には他にないでしょう。

コダマは大田区羽田のメーカー。対するこちらは中野のメーカー「東京飲料」。東京はラムネを製造していた会社がお酒用の割材をつくるようになり、いまのように多種多様な瓶詰め割材が存在しています。

たっぷりキンミヤを注いで登場、トーインのハイ辛(200ml)。唐辛子とジンジャーをいれた甘さ控えめの個性派割材。中野ではジョニーウォーカーを割って「ナカボール」として提供されているものです。

薬草系サワーに似た独特な風味がクセになる一杯。ナカ(200円)をおかわりして、二杯飲んで丁度いい比率です。

おつまみは、もう一品、青菜のにんにく炒め(300円)。にんにくたっぷり味しっかり、ハイ辛にあわせて丁度いいお酒の肴です。

水澤さんは、飲食業界一筋。横浜に本社を構える大手居酒屋チェーンを経て、空港のレストランを切り盛りされていた方です。

空港という場所柄、コロナ禍によって仕事を失ってしまったそうです。そんなときに、「間借り」(シェアレストラン)というやり方を知り、このような時代でありながら、夢を叶えたいと「ななつぼし」を開業。ピンチを乗り切るための挑戦がはじまりました。

大変フレンドリーで、お客さんに気さくに話しかける水澤さん。お客さん同士の心の距離も近づき、気づけばみんないっしょになって楽しい乾杯をしていました。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

(メモ)老舗酒場が次々と閉業してしまい、土曜の昼飲みが難しくなっていた神田にお昼酒スポットついに登場。