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正直、ここまで晩杯屋が拡大するとは思っていませんでした。現在25店舗。神奈川県初出店は、東急東横線・新丸子駅改札からと徒歩30秒の場所です。
本店がある武蔵小山へは東急目黒線で一本ですし、東横線沿線にだって祐天寺と学芸大学にもあるわけで、昔のように電車に乗って晩杯屋へ行くという感覚からは変わりつつあります。とはいえ、家の近所に出来たらやっぱり嬉しい晩杯屋。武蔵小杉・新丸子沿線の立ち飲み好き・昼酒愛好家にとって朗報ではないでしょうか。
数ある晩杯屋のなかでもひときわ間口が狭いですが、明るい袖看板や提灯・暖簾のおかげもあって、初めての人や女性でも入りやすい雰囲気になっているのは流石です。
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25店舗、すべての店を取材してきていますが、試行錯誤のなかで改善が進み、ますます洗練されてきていることを感じます。逆に言えば、武蔵小山の旧本店のような掘っ立て小屋感がなくなって、酒場マニアの心をくすぐる要素が減ってきていますが、それも仕方がないことかなと。裾のを広げて、みんなで楽しむ立ち飲み文化です。
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メニューはFC店と直営店でドリンクなどに一部差があるものの、基本的には全店共通です。新丸子店のオープンは2017年2月17日(金)、ほぼ同じタイミングで開いた保谷店と同一の内容となっています。
ビールはキリン、人気の度数の高さと濃厚な緑色が特長の緑茶割り、下町ハイボールをイメージして開発された宝ゴールデンが人気。最近登場の馬ハイや馬トニ(ホワイトホース+トニックウォーター)や山手生まれの幻のエキス「ホイス」も取り扱い。チューハイのレモンは、武蔵小山のハイサワーです。
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いつも通り、まずは生ビールから。キリンの一番搾りが500mlジョッキに入っています。中ジョッキとひとことで言ってもサイズは様々。晩杯屋では、昔ながらの500ジョッキを使っているのに410円という値段はオトク。リッターあたりいくら…あ、そういう計算をするのは酒場では野暮ですね。
では乾杯!
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まぐろ刺しを筆頭に、市場の仕入れ状況によってかわる刺身はブリやかつお、アジにしめ鯖など常時5種類ほど。冬季はたっぷり入ったカキ酢が登場し、安すぎるカキ酢として昔は話題になりました。店にはさくの状態で入り、それを厨房できって盛り付ける方式。切り置きで山積みになっていますが、スピード重視ということで、昔からの晩杯屋スタイル。
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最近の新メニュー、究極バリバリ春巻き。薄い皮はぱりっぱりで、箸をいれると砕けるほど。中からはとろみのある具がたっぷりでてきます。食べごたえがある一品で、250円とやや高めではあるものの試してみてはいかがでしょう。最近は、大エビフライもそうですが、ボリューム型が増えてきました。
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宝ゴールデンやハイスキー、ジンジャーハイボールにコイハイなど、飴色のシュワシュワ系がたくさんある晩杯屋。いろいろ飲み比べてお気に入りをみつけてみませんか。私の好みはこの際置いておいて。(笑)
晩杯屋は本店に樽詰めの生ホッピーが、ここ新丸子店をはじめ各店でもホッピーがセット370円で飲めますので、ホッピーを愛飲する人にも定番となりました。焼酎のナカは計量されていますので、うっかり”メタメタ”的なこともなく安心。
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L字カウンターと対面にはグループ用のテーブルが数宅。厨房はほぼ丸見えというつくり。ラーメン業態しか入れないような小さな立地でも効率的な配置で飲み屋を生み出せる晩杯屋。もともと4坪から始まっただけに、これでもゆとりある配置です。
ご近所の立ち飲み好きの皆さま、軽く千円でほろ酔いになりたいときに、ふらっと立ち寄れるお店はいかがでしょう。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)