「天狗」や「テング酒場」、「神田屋」を展開するテンアライドが、初の本格ベトナム料理店『ベトナムキッチン Enjoy Vietnam』をオープン。発案はベトナム出身の正社員で、「留学生のために安心できる居場所と交流の場をつくる」という、これまでにない経緯で誕生しました。ベトナム出身のスタッフがつくる本格ベトナム料理が、テング酒場価格で気軽に楽しめます。
目次
なぜベトナム料理?テンアライドで働く外国人パートの9割が――
1969年創業とチェーン店としては歴史のあるテンアライド。本記事をご覧の方は、一度は同社の系列店で飲んだことがあるのではないでしようか。現在、天狗、テング酒場、神田屋、テング大ホールなどを支えるパート従業員の4人に1人は外国籍で、その9割はベトナム人です。同社の屋台骨を支えているといっても過言ではありません。
そのため、ベトナム出身者向けの採用・研修セクションを設けることとなり、その過程で『ベトナムキッチン Enjoy Vietnam』は誕生しました。開店は2022年7月28日。JR上野駅徒歩2分にある「テング酒場上野浅草口店」の一画がそのスペースです。語学学校が多く関東各地からのアクセスの良さなどから上野が選ばれたといいます。
ぱっと見たところ、普通のテング酒場ですが
飲食店ビル「FUNDES上野」内にあり、外からはテング酒場にしか見えません。エレベーターホールにいくと確かに「4Fテング酒場となり ベトナムキッチン Enjoy Vietnam」の掲示がありました。
エレベーターを降りると、テング酒場とダブルネームでバインミーを模した「ベトナムキッチン Enjoy Vietnam」のキャラクターイラストが迎えてくれます。
(テング酒場側)
レジを境に分かれており、右側は通常のテング酒場のスペース。落ち着いた雰囲気で、お昼から夜まで中休みなく営業しています。
(ベトナム料理業態側)
左側にはネオン風の電照看板が灯り、内装はテング酒場と異なりアジアンテイストとなっています。営業時間はテング酒場と共通です。
ゆったりとしたスペースです。今風のベトナム料理店とかわらない雰囲気。照明もこだわっています。
見たことがない調味料が飾られていました。
主にベトナム人正社員が運営している採用・研修センターを兼ねており、取材時も多くの外国人スタッフの方が働かれていました。近年、チェーン飲食業界では新入社員の研修を兼ねた「トレーニングセンター店」を出店する企業が増えていますが、この店舗はさらに外国人スタッフ向けに特化しています。
公式の資料には「メインの客層はベトナム人留学生。利益追求よりも彼らが安心して楽しめる居場所づくりに注力」とあります。もちろん、テング好き、エスニック酒場好きの日本人も大歓迎の店舗です。
品書き
エスニック料理店のお酒は比較的割高感を感じることが多いですが、同店のお酒は基本的にテング価格。サワー類は280円(308円)と良心的です。
お酒
樽生ビールは天狗オリジナルのビアブラウン:462円と、サッポロ生ビール黒ラベル:462円。ベトナムビールで、タイガーや333(バーバーバー)など:550円。
ソーダ割り類はレモンサワーなど:308円、デュワーズハイボール:438円。その他、ワイン赤・白:418円、酒(大山本醸造):319円など。
料理
海老とアボカド生春巻き:539円、豚肉と海老生春巻き:539円、えびせん:209円、青パパイヤサラダ:649円、バインミー:759円、牛肉のフォー:759円、キーマカレー:759円、炭火焼肉つけ麺:825円など。
当初は定番料理だけですが、今後成長していく店
ビアブラウン生ビール(462円)
天狗のビールといえば、同社限定のオリジナルビール「ビアブラウン」です。1992年(平成4年)に登場し、当時珍しかった麦芽100%を採用。製造はサッポロビールに委託されていますが、天狗でしか飲めない貴重なビールです。ベトナム料理業態でも手頃な価格で用意されていましたので、頼むしかないでしょう。
それでは乾杯!
海老とアボカド生春巻き(539円)
ベトナムから来た元気なスタッフの方が丁寧に巻いてくれた生春巻き。品書きの印象よりもボリュームがあり、食べごたえがあります。
海老やアボカドのバランスがよく、ニョクマムをベースにしたソースとのバランスも完璧。もちもちとした薄皮の食感も楽しいです。
味にメリハリをつけたい場合は、テーブルに用意されているヌックマムやチリソースをお好みで加えます。
マッサマンカレー(759円)とデュワーズハイボール(438円)
ビールに続いて、デュワーズハイボールを1杯。テングの一画ですが、完全に別のお店で飲んでいる気分です。あわせた料理は、昼食を兼ねていたこともありマッサマンカレーにしました。パクチーがしっかり載っているのが嬉しいです。※パクチーなしも可能。
エスニック料理店って、結構アルコールを揃えていますよね。本格カレーとハイボールやビールという組み合わせを楽しむ人は多いです。同店では留学生でも利用しやすい価格設定になっていることもあり、アルコール飲料を合わせてもお手頃感があります。
フォーとブンチャー
(写真提供:テンアライド)
(写真提供:テンアライド)
細い米麺「ブン」をつかったベトナムではおなじみのブンチャー(炭火焼肉のつけ麺)や、人気のフォーも用意されています。
現在、品書きは終日変わらず、お酒に合わせるおつまみは多くはありません。店長さんによると、品揃え順次増加予定とのこと。ベトナム料理で気軽に飲める「ベトナムキッチン Enjoy Vietnam」の今後の成長が楽しみです。まずは昼食を兼ねたお昼酒で利用してみませんか。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | ベトナムキッチン Enjoy Vietnam |
住所 | 東京都台東区上野7-2-4FUNDES上野4F テング酒場 上野浅草口店内 |
営業時間 | 11:30~23:00(土は12:00~・日は21:30まで・無休) |
開業年 | 2022年7月28日 |
公式サイト | テンアライド |