【閉業】釜石「丸藤」 ラグビーと鉄と三陸料理の町で、ホタテ焼きに舌鼓を打つ

【閉業】釜石「丸藤」 ラグビーと鉄と三陸料理の町で、ホタテ焼きに舌鼓を打つ

2019年9月25日

ラクビーワールドカップ開催に沸く岩手県釜石市。三陸沿岸の他の町との違いは、なんといっても重工業の存在です。1880年(明治13年)に官営による製鉄所がつくられました。同じく鉄の町として知られる北九州の八幡製鉄よりも早く、近代製鉄業発祥の地と言われています。

漁業、林業、そして工業と揃う釜石は、JR釜石線で花巻へ、三陸鉄道で大船渡や宮古に繋がり交通の便もよく、町の規模も大きいです。

2019年9月25日・10月13日に開催、ラグビーワールドカップの会場の一つ、釜石鵜住居復興スタジアムへは、釜石駅から三陸鉄道で1駅というアクセス。

ラグビーファンも、工場萌えも、三陸の海の幸で飲みたい人も、ぜひ訪ねて欲しい釜石。ご紹介する飲み屋は、半世紀の歴史を持つ老舗「丸藤」です。

 

JR釜石駅前。東北新幹線の新花巻駅で釜石線に乗り換え、1時間30分ほどのローカル列車の旅。駅にはJR系列のホテルが併設され、タクシーや路線バス、モールなども整備されていて旅の拠点らしい佇まいです。

 

駅の正面には、巨大な製鉄所。社名変更で「日本製鉄」に戻り、改めて日本製鉄釜石製鉄所の名前となりました。同社の資料によると、主に線材の生産を行っているそうです。

 

鉄溶鉱炉は存在しませんが、煙突からのぼる煙に復興の力強さを感じます。

 

中心街は駅や製鉄所から甲子川を渡った対岸にあります。

 

釜石湾に近く、川を町が横切る釜石は3.11の津波被害が大きかった場所。現在は整備が進み、釜石市民ホール TETTOやショッピングモールを中心に、古くからの飲食店やビジネスホテルも賑わっています。

 

目指す「丸藤」は、甲子川沿いで暖簾を掲げる一軒。季節料理、生うに、釜めしを看板に掲げていますが、魚料理を中心とした大衆割烹です。お昼時は家族連れで海鮮丼やウニ丼を食べに来る人も多いです。※釜めしは要予約

 

カウンターの高さまで津波をかぶったと女将さんに教わりました。被災から4ヶ月後に復興し、地元の人々やボランティアの皆さんでいっぱいになったそう。酒場もまた、町の人々の暮らしに欠かせないアイテムです。

 

ビールはキリンラガー。大瓶を一本、ビアタンを満たして乾杯!

期間限定の「キリン秋味」や遠野のホップを使用したとれたてホップ一番搾りもタイミングが合えば飲めます。

 

生ビール(中500円)。瓶ビール大瓶750円、日本酒は地元の銘柄が揃います。

 

老舗のカウンターはいいですね。二代目のご主人が厨房で、女将さんがフロアを担当。素朴な雰囲気の中、ぼーっと飲むビールは最高です。

 

三陸はわかめの名産地。お通しのかわりに、軽くめかぶ(200円)の小鉢などをつまみに。お刺身は三陸ならではのものとして「マンボウ」はいかが。※夏が旬。海の状況によりない場合があります。

 

ほかには、マグロ、カツオ、サンマ、ヒラメなど。フライの海老とイカ盛り合わせや、冬季の牡蠣フライも人気と聞きます。

マツモやキク汁(タラの白子)、鮑の肝をつかうトシルなど、土地の味も豊富です。

 

ホタテバター焼きは、かなり大きなホタテをさばいて、野菜や味噌をいれた小鍋。目の前で加熱されること5分ほど。野菜やホタテから染み出してきた汁で満たされていきます。

 

葱がくたっとしてきたら出来上がり。一人でつまむには十分な小鍋風のおつまみです。ホタテがぷりっぷりで味が濃く、噛むほどに旨味が溢れます。

 

お店の前は甲子川。穏やかな北東北の緑に包まれています。

ラグビー観戦や出張、三陸鉄道での観光の合間に釜石の町を歩いてみませんか。繁華街も立派ですし、梯子酒も楽しめます。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

丸藤
0193-22-2035
岩手県釜石市大渡町2-1-7
11:00-14:00・16:00-21:00(日定休)
予算3,000円