京急本線 黄金町駅から徒歩1分。創業90年になる「和泉屋」は、横浜市民酒場のうちの一軒です。
この界隈きっての老舗酒場がいま、市民酒場を残し後世に伝えていくために様々な取り組みを行っています。いぶし銀の魅力というだけではなく、いつまでもにぎやかな店で有り続けるための取り組みを取材しました。
日ノ出町(野毛)から一駅となりの黄金町へ。
※本記事は、長年「市民酒場」と関係が深いキリンビール株式会社様の協賛でお送りしております。
市民酒場とは
中区曙町で戦前に創業した和泉屋は、その後、市民酒場に加わり営業することになります。
酒販店の直売による価格競争への対応や、戦中・戦後の食糧難を乗り切るために結成された市民酒場は、1938年頃の設立から解散の2010年に至るまで、実に70余年に渡り組合が続きました。最盛期には200店あまりが加盟していたそうです。
和泉屋は中支部に加盟していた店舗で、2代目までは組合として活動し、3代目の秋津 清剛さんも同じく市民酒場に加盟していた各店との交流を続けているそうです。
市民酒場の特長は、配給時代の名残からビールは主にキリンビール。そしてフグ料理を出すお店も多く、大衆割烹寄りのお店が多いです。
和泉屋も魚介料理が大変充実しています。戦後の混乱期は、鶏とどじょう、レバーくらいしか食材がないなか試行錯誤をしていたのだそう。現在もその当時から続くメニューとして、若鶏唐揚げとどじょう料理が看板メニューになっています。
厨房に面したL字のカウンターと、それを囲むテーブル席。二階は昔懐かしい、いかにも『酒場の二階」といった風情のある座敷があります。
地域のビール、キリンで乾杯
まだビールが配給品で、銘柄・ブランド名がなく「麥酒」としか書かれていなかったころも、配給のビールは横浜・生麦のキリンビール横浜工場生産品だったそう。それから70年ほど……、こうして今も市民酒場にはキリンがでてくることは、そんな歴史と土地に根付いた食文化とも言えそうです。
それでは、キリン一番搾り(中ジョッキ580円・以下税抜)で乾杯。
瓶ビールでは、昭和40年代頃から続く味、キリンの定番で唯一の熱処理ビール(生ビールではない)「キリンクラシックラガー」(CL・中瓶580円)もあります。日本酒は月桂冠(450円)や剣菱(500円)など、さすが老舗のどっしりした顔ぶれです。
酎ハイは390円から、ホッピーはセットで450円。
先代が守り続けてきたどじょう料理やレバテキなどのメニューに加え、和泉屋はいま、ちょっとおしゃれな料理や洋食も並んでいます。
品数が多く、悩んでいる間に生ビールが一杯乾いてしまいそうなほど。横浜は穴子漁が盛んだった場所、一本穴子の天ぷら(780円)も気なります。お刺身も充実しています。
洋食は海鮮グラタン(830円)、自家製ハンバーグ(830円)、ピザになんと和牛サーロインステーキ(3,300円)まであります。
クオリティの高い刺身3点盛りは必ず食べて
お刺身3点盛り(830円)は、この通り大変立派なもの。3代目が修行時代に横浜中央卸売市場で築いた関係などもあり、魚介類は店の自慢。いまも毎日市場に通い仕入れてきているのだそう。
こちらは貝ぬた(580円)。爽やかな味と鮮度抜群のぷりっとした貝類の食感がお酒を誘います。
シュッポ!と音を立てて開けられる王冠。
トクトクと注いで、ほら美味しそう。キリンクラシックラガーで改めて乾杯。
どっしりとした苦味に、これぞ昔からのキリン味!と感じつつ、あわせる料理はどじょう鍋。まるでやっていただき、柳川風に卵で綴じています。甘いみりんや醤油味の料理には、日本のレトロビールが本当によく似合います。
クラフトビールも飲めます
ここまでは、歴史を楽しむ市民酒場「和泉屋」。ここからは、新しい世代に繋いでいきたいという挑戦の「和泉屋」。
なんと市民酒場ではじめて、クラフトビール(680円)の提供がはじまりました。メーカーはもちろんキリンビールなのですが、配給麦酒→キリンラガー→一番搾りと繋いできて、ここでクラフトビールの”タップマルシェ”が入るのは、結構記念すべきことと思います。
「新しいお客さんにも気軽に来てほしい」
これまでの料理に加えて洋食やクラフトビールを揃えることで、新しい層にも知ってもらい市民酒場を残していきたい。そんな考えから導入を決めたそうです。
キリングループのスプリングバレーブルワリーの「496」など個性豊かなビール。あわせるおつまみを考えるのもおもしろいです。例えば、揚げ物ならば「イワシの梅じそ揚げ」(480円)。
同行いただいたキリンビール 横浜支社の藤島さんのおすすめは、手作りカニクリームコロッケ(500円)。サクサクの衣に熱々のクリーム。辛子をちょこんと、ソースはあえてつけずに食べて。
洋食で修行したご主人らしい料理の数々
刺身に焼き魚、揚げ物などありますが、ぜひ試してみてほしい逸品は、「牛ホホ肉の赤ワイン煮」(900円)。これにあうクラフトビールを探ってみるのも楽しいです。そしてなにより、本格洋食店にも引けを取らない美味しさ。
三代目は都内の和食業態で修行の後、横浜のホテルレストランでステーキなどを手かげてきた洋食の経験を積まれてきた方。二代目のあとを継ぎ、現在は和泉屋に新しい味を加えています。
秋津 清剛さんと和泉屋の暖簾。
老若男女、誰もが気軽に飲みに行けるよき酒場です。人気店ですので、数人の場合は予約が安心です。お一人ならばカウンターで常連さんたちに並んで、気軽に一献いかがでしょう。
老舗酒場ながら、Go To Eatの対象店です。
ごちそうさま。
市民酒場特設ページ
(取材・文・撮影/塩見 なゆ タイアップ/キリンビール株式会社)
店名 | 和泉屋 |
住所 | 神奈川県横浜市中区初音町3-62 |
営業時間 | 営業時間 [月~金] ランチ 11:30~14:00 ディナー 16:30~23:00(L.O.22:30) [土] 16:30~23:00(L.O.22:30) 定休日 日曜日、第1月曜日、第3月曜日は休みです。 |
開業年 | 1930年頃 |
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