半蔵門駅から徒歩0分。「三貴苑」は、その立地から国会議員が出前をとることもある街の中華屋さん。店先に止まる岡持ち付きのスーパーカブが大活躍しています。
お昼から通しで営業中。ラーメンや炒飯などのご飯物だけでなく、点心が豊富に揃っていることから、15時を過ぎるとじわじわ飲み屋利用をするお客さんが増えてきます。
人懐こい感じのご主人が迎えてくれるその雰囲気は、いわゆる町中華の雰囲気そのもの。ここが東京のまん真ん中であることを忘れてしまいそうになります。
店先に並ぶのは、最近路面店ではみかけなくなりつつある食品サンプルたち。
カウンター6席ほど、コンパクトな4人テーブルが3つで、合計18席ほどのコンパクトなお店。壁のいたる所にはられた飲み物の短冊と、中国テイストの装飾品のアンバランスさが醸し出す雰囲気が、筆者にはたまりません。
ビールは樽生(中ジョッキ500円)、ビン(中ビン600円)ともにアサヒスーパードライ。今日はちびりと飲めるビンの気分。それでは乾杯!
一杯目のビールにはザーサイがついてきます。
さてさて、何を食べましょう。店先の食品サンプルで予習しておいても、店内に入ればさらに迷うこと間違いなし。気になる料理が大量のPOPとホワイトボードを使って「食べて」とアピールしてきます。
点心類は400円から500円。餃子、水餃子にシュウマイ、春巻き、ワンタン、どれも魅力的。かつて麹町には日本テレビがあり、三貴苑の出前を愛用していたテレビ関係者は、ここの餃子や炒飯が美味しいとメディアで語っています。
点心と小皿料理の違いはなんだろう…と、心の中でつぶやきつつ、小皿料理のメニューもチェック。なんこつのピリパリとうがらしや棒々鶏、黒酢酢豚など600円均一で揃っています。
肉シュウマイ(3個600円)は、いかがでしょうか。かなり大きく、一口では食べられません。中央に載っているのは枝豆。ほくほくに蒸し上がり、豚肉の汁が口の中でほろほろと溶け広がります。みなさんは街の中華のおつまみは、餃子派ですか、シュウマイ派ですか。
ビールのつぎは、ここはやっぱり紹興酒を。18時までのサービスで1杯200円。壺だしのもので、深く広がる味が楽しめます。
チェイサービールも差し替えて、さぁ、本日のメインディッシュ、とん足(600円)の登場です。五香粉に似た独特な中華味で整えられています。
なかなかのボリュームで、この一皿だけで紹興酒を何杯もおかわりしてしまうはず。皮の部分の濃い味も美味しいし、骨のまわりのゼラチン質な部位もいい。キャベツにもかけられている甘じょっぱいタレとも相性がよいです。
ちょっと飲みたいけど、大皿の炒めものを頼むほどお腹は空いていない。そんなニーズにも応えてくれる中華屋さんです。
びしっと3ピースのスーツを着た初老の紳士も、ここでは好物と向き合いお酒を楽しむオフタイム。誰もがほっとする空間です。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
三貴苑
03-3234-1247
東京都千代田区麹町1丁目8-8
11:00~21:30(無休)
予算1,800円