大阪市生野区田島。今里筋から一本曲がったところにある「淡路屋直売所」は、老舗の酒場を愛する人にはイチオシの一軒です。
最寄り駅は、JR大和路線東部市場前駅。ここから20分ほど歩く場所にあります。そういった立地ながら、16時の開店から次々とお客さんで席が埋まり、世間が飲み始める17時には、もう満席なんていうことも珍しくない繁盛店です。
生野区今里筋周辺は昔ながらの風情を残す商店街と、そこにはいくつもの老舗の酒場がのれんを掲げており、飲み屋好きの心をくすぐるエリアです。
便利なアクセスは、あべの橋(天王寺)からBRT(バス・ラピット・トランジット)「今里ライナー」の利用です。途中のバス停は1つだけ、10分少々で田島につきます。
黄昏時に飲み屋の明かりは美しく、何かの物語が始まりそうな雰囲気すらあります。
創業から60余年。もともと酒販店からスタートし、角打ちが着席型の居酒屋へと変化してきたそうです。
気候がよいときは入り口が開放され、穏やかな風がカウンターに座るお客さんを優しく包みます。
L字のカウンターが20席ほど。奥にちょっとしたテーブル席がひとつ置かれています。角にはぐつぐつ煮えるおでんが出番待ち。
ビールはサッポロ黒ラベル。店内には、西田敏行さんがイメージキャラクターをされていた時代のものなど、年代物のサッポロのポスターが貼られています。瓶ビールは黒ラベルとサッポロラガーを置いています。
なにもカッコつけずに、さっと出される生が極上な一杯というのが嬉しいです。
それでは乾杯!
カウンターの前に置かれた冷蔵ケースには、すぐでる小皿が並んでいます。カウンター中央付近にあるので、何があるか、店の中へと探検です。選んだおつまみは、枝豆とチャプチェ。
生駒り上田酒造がつくる生長など、地元の日本酒がいくつか用意されています。にごり酒をひとつ。チロリに正一合いれて提供されます。
ポークチャップ(850円)。煮込みハンバーグなど、どこか懐かしい洋食屋の料理があります。添えられた卵入りポテトサラダも懐かしい味でいいものです。
つぎつぎ入る注文をマルチタスクでこなすご主人。にこにこと接客しながらも、手元は止まることなくお造り、フライパン料理、揚げ物料理をつぎつぎ仕上げていきます。
奈良県北葛城郡広陵町の長龍酒造がつくる瓶詰め樽酒。この徳利形の緑ビンが好きなんです。吉野産杉樽を使用し、心地よい香りが漂う一杯です。
和牛イチボステーキがあれば、キンメの煮付けもある。はも鍋だって用意しています。もちろんどて焼きも。お刺身はマグロにクエ、活サバ、赤貝、生ダコなど色々ありますし、とにかく料理のバリエーションが豊かです。料理全般は600円ほど、お刺身は800円ほど。ボリュームがそれぞれしっかりあります。
次に選んだのは、エビのソテー。どんな料理かと思えば、かなりダイナミックな一品。
チューハイをもらってクールダウン。淡路屋直売所のカウンターから感じる「美味しい料理つくります!」というパワーと、そうしてつくられる豪快な料理に圧倒されっぱなしです。
いい酒場には熱量がある。それを心底感じる淡路屋直売所。名店です。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
淡路屋直売所
06-6754-1490
大阪府大阪市生野区田島3-5-37
16:00~22:00(日定休)
予算2,500円